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2006年06月22日

 ■ マイケル・ポーター教授の3つの基本戦略
レイナ:「タツヤ先輩、近頃XYZ物産が新規で参入してきて競争が激しくなってきましたね。部長もシェア低下で頭を悩ませてましたよ。」

タツヤ:「XYZ物産はうちよりも規模の大きい手ごわい相手だからね。競争で優位に立つには何らかの戦略を持って戦わなきゃいけないね。」

レイナ:「でもうまい戦略ってあるのかしら?」

タツヤ:「基本的には競争を優位に進めるには3つの基本戦略があると言われているんだ。これは提唱した教授の名前からポーターの競争戦略って呼ばれているんだけどね。」

レイナ:「ポーターの競争戦略?」

タツヤ:「そう。ポーターの競争戦略っていうのはさっき言ったように競争力向上ための戦略で3つの柱から成り立っているんだ。」

レイナ:「3つの柱ですか?それはどんなものなんでしょうか?」

タツヤ:「うん。『コストリーダーシップ』、『差別化』、『集中』の3つなんだよ。」

レイナ:「『コストリーダーシップ』、『差別化』、『集中』の基本戦略で他社との競争を優位にしていくんですね。」

タツヤ:「そう。まずはコストリーダーシップ戦略からだけど、この戦略については大規模な生産設備で大量生産を行うなど規模の経済を利用したり、技術の優秀さ、原材料入手の優位性などを利用することにより低いコストでの生産を実現する戦略なんだ。」

レイナ:「とすると、ユニクロなんかがコストリーダーシップの事例になるのかしら。ユニクロは自社でデザインを行ったり、中国で大量生産したりしてサプライチェーンを効率化して低コストで生産可能な体制を整備しているものね。」

タツヤ:「そうだね。特にユニクロの流通形態はSpeciality Store Retailer of Private Label Apparel、略称SPAと呼ばれて自社で商品開発から製造、販売までを手掛けるものでアメリカの衣料大手GAPが初めて構築して以来世界に広まった仕組みだからね。」

レイナ:「SPAか。SPAの下、大量生産を行って更にコストを下げることが可能になるのね。この大量生産という観点に立てば、コストリーダーシップは大衆商品や標準商品、必需品を取扱う業界に有効な戦略と言えそうね。でも、いかにコストリーダーシップを発揮して低価格の商品を実現できても『安かろう悪かろう』では消費者は認めてくれないわよね。」

タツヤ:「そうだね。レイナちゃんが言ったようにコストリーダーシップ戦略は消費者が最低でも他社と同等の商品であると認めてくれないと成り立たないんだよ。そういった意味からもポーターは差別化を無視できないとしているんだ。」

レイナ:「差別化ですか。差別化戦略っていうのは自社商品を他社が真似できないようなユニークな商品に仕立て上げ、より高い価格で販売することを実現する戦略ですよね。実際にはルイ・ヴィトンやエルメスなどのブランド品は他社に真似できない商品を提供して顧客を魅了し差別化に成功しているって言えそうね。でも、どのようにしたらこの差別化を実現できるんですか?」

タツヤ:「うん。差別化の方法は実はいろいろとあって、製品自体を差別化したり、物流の方法や、プロモーションなどのマーケティング方法でも実現可能なんだ。ただ、注意しなければいけないのは、この戦略を採ろうとする企業は常にコスト効率に目を光らせていなければ競争優位を失う可能性があるということなんだ。」

レイナ:「そうか。たとえば製品自体を差別化するにしたって、他社の製品にはない機能を付加するからそれだけコストがかかるし、宣伝なんかで差別化するにしたって莫大な広告費用が必要だものね。そのようなコストをかけて消費者が差別化を理解できなければ、その企業の存亡に関わってくるってことか。」

タツヤ:「その通りだよ。コストリーダーシップ戦略ではコスト構造のみに注意すればよかったけど、この差別化戦略ではより多くの要因に注意しなきゃいけないから実現するにはより多くの労力を必要とするんだよ。」

レイナ:「製品や流通や宣伝など、どれか一つで差別化できればいいけどなかなかそううまくはいかないものね。」

タツヤ:「そうだね。そして最後の集中戦略はこれら2つの戦略とは異なって、非常に狭い市場で競争する戦略なんだ。たとえば、自動車メーカーのフェラーリなどは高級スポーツカーに特化する『集中』戦略を採用している典型的な企業と言えるんだ。」

レイナ:「狭い市場に経営資源を集中させることによって、より効果的な経営が行え、競争をより優位に進められるってことですね。」

タツヤ:「そうだね。このようにポーターの3つの基本戦略は企業の環境にあわせて最適な戦略を採用すれば厳しい競争をより優位に進めていく事が可能になるんだよ。」

レイナ:「そうするとうちは規模的にはXYZ物産に敵わないし、商品には自信があるから差別化戦略が妥当と言うところかしら。後で部長に伝えとくわ。」



【MBA講座:今回のTake Away】
 
◆ポーターの3つの競争戦略とは?
ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が唱える理論で、企業が競争を優位に進めるためには『コストリーダーシップ』、『差別化』、『集中』の3つの戦略のうちいずれかを採用する必要があるというもの。

◆コストリーダーシップ戦略
→大規模な生産設備で大量生産を行うなど規模の経済を利用したり、技術の優秀さ、原材料入手の優位性などを利用することにより低いコストでの生産を実現する戦略。(事例:ユニクロ、GAP、IKEAなど)

◆差別化戦略
→自社商品を他社が真似できないようなユニークな商品に仕立て上げ、より高い価格で販売することを実現する戦略。(事例:ルイ・ヴィトン、シャネル、エルメスなど)

◆集中戦略
→特定の分野に経営資源を集中させ、より効果的な経営が行い、競争を優位に進める戦略。(事例:フェラーリ、ポルシェ、シャープなど)

投稿者 MBA : 2006年06月22日 14:04