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2006年07月20日

 ■ コーポレートガバナンス:不祥事で名を上げる企業と名を下げる企業の違いとは?
レイナ:「タツヤ先輩、最近湯沸かし器の故障事故で多くの人が亡くなったことが話題になっていますね。」

タツヤ:「そうだね。何でも20年以上前に最初の死亡事故が起きているのに企業側でほとんど対策を怠っていたというずさんな事件だね。」

レイナ:「そういえば。去年松下電器も同じような死亡事故があったわね。確か古い石油ファンヒーターによる一酸化炭素中毒だったと思うけど・・・」

タツヤ:「松下電器の場合は死亡事故の報告を受けた段階で経営陣が草の根を分けてでも全石油ファンヒーターの存在を明らかにして今後同じようなことが無いように可能な限りの手段と資金を使って対応したんだ。」

レイナ:「そうね。テレビのCMや新聞での全面広告、果ては郵便局の配達地域指定郵便というサービスを利用して日本の全戸に注意を促していたわね。」

タツヤ:「だろう。このような企業側の素早い真摯な対応は、死亡事故を起こしたというマイナス面を補って、逆に松下電器に対して信頼感を高めたという消費者もいるくらいなんだよ。」

レイナ:「それに比べたら今回のパロマの対応は物足りなさを感じるわね。でも企業によってどうしてこんな対応の違いが生じてしまうのかしら?」

タツヤ:「うん。それはやっぱりコーポレート・ガバナンスの問題なんだよ。」

レイナ:「コーポレート・ガバナンス?それってどういうことですか?」

タツヤ:「うん。コーポレート・ガバナンスっていうのは『企業統治』とも呼ばれるんだけど、企業の意思決定の主体やその仕組みのことを言うんだ。」

レイナ:「企業を統治する人々や統治する仕組みのことですね。」

タツヤ:「そう。法律なんかでは株主が企業の所有者と定められているから、統治の主役は株主っていうことになるけど、実際のところ企業の運営は経営者に任されているから、その経営者による企業運営をどう監査・統治するかがコーポレート・ガバナンスでは重要な問題になってくるんだ。」

レイナ:「でもパロマのように非上場で同族企業の場合なんかは企業の運営のあり方を監査することは難しいんじゃないかしら。」

タツヤ:「そうだね。加えて日本の企業の場合は経営者と親密な関係にある者が監査役を担当することが多いから、企業経営を正常に監査・統治することは非常に難しい状況にあるんだ。」

レイナ:「そのような場合はどうすればいいんですか?」

タツヤ:「一つの解決策とすると社外から取締役を迎えるケースもあるんだ。」

レイナ:「新聞でもたまに目にするけど、社外取締役を受け入れるってケースも増えてきていますね。でも、多くのパターンはその社外取締役が経営者の友人であったり、経営情報を十分に公開していなかったりと有効に機能しているとは言い難い状況じゃないんですか。」

タツヤ:「確かにそんな問題もあるよね。加えてある特定の経営者が長く実権を握り続けると、経営の私物化が起こって、コーポレート・ガバナンスは外部の者にとってよりわかりにくい状況になって不祥事を未然に防ぐということがさらに難しくなるということも深刻な問題なんだよ。」

レイナ:「今回の件も今タツヤ先輩が言ったようなことが背景にありそうね。」

タツヤ:「日本では特に長期間にわたって経営の実権を握る経営者が多くて、そのような経営者の中には企業の本来の所有者である株主やそこで働く従業員、商品やサービスの提供を受ける顧客などの利益を無視して自分自身の利益を追求するモラルハザードが発生してしまうんだ。」

レイナ:「それじゃあ、どうすれば株主側から健全なコーポレート・ガバナンスを維持させることができるんですか?」

タツヤ:「うん。実際のところ、経営者=株主という場合は難しいけど、そうでなければ何点かの対策はあるんだ。」

レイナ:「一体どんな対策なんですか?」

タツヤ:「まずは株主総会の際に企業運営にふさわしい経営者を選出し、経営にふさわしくないと判断すれば解任請求を行うこと。次に社外取締役を選任して執行役員を監視させること。そして最後は選出した経営者が株主の意向に沿って経営しているかを常に監視して、もし株主の利益を損なうような経営が発覚した場合はすぐに株主代表訴訟を起こす姿勢を示すことなんだ。」

レイナ:「株主にとっては企業運営にふさわしい経営者を選出して、その後も常に監視の目を光らせていくことが重要なんですね。それから、顧客の側からも企業の対応に非があれば、マスメディアなどを通して訴えていくというプレッシャーを企業側に与えることも効果があるかもしれませんね。」

タツヤ:「そうだね。以前東芝で担当者が一顧客に対して不適切な対応を行った時にインターネットを利用してその顧客が東芝から謝罪を勝ち取ったこともあったよね。特にWeb2.0と呼ばれる現代では消費者のメディアパワーも馬鹿にできないから、企業側にとってはコーポレート・ガンバナスを維持する上でいいプレッシャーになると思うよ。」

レイナ:「そうですね。ところで経営者側からは健全なコーポレート・ガバナンスを実施するポイントというのはあるんですか?」

タツヤ:「うん。経営者側から健全なコーポレート・ガバナンスを実施するには、まずは経営情報を隠すことなく開示することが最も重要なポイントとなるんだ。それから独立した監査機関を設置したり、従業員を含めた企業をとりまく利害関係者と協調して進めることもポイントとなると思うよ。」

レイナ:「企業の不祥事は隠せば隠すほど、それが発覚した時に世間の信頼を失うことになるものね。それよりも企業にとって不利益な情報でも素早く開示して、それに対する対策を一生懸命実行している姿勢を世の中に示すことが重要になってくるということですね。」 



【MBA講座:今回のTake Away】
 

◆コーポレート・ガバナンスとは?
→企業経営の際の意思決定の主体およびその仕組み

◆日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの問題点
1.経営者と監査役が親密な関係にある。
2.社外取締役に対する情報開示が不十分。
3.経営者が長期に実権を握り、外部からは意思決定方法がわかりにくい。

◆株主によるコーポレートガバナンスのチェック方法
1.企業運営にふさわしい経営者を選出する。
2.社外取締役に経営の健全性を監視させる。
3.自ら経営状態をチェックし、不当な行為は訴訟を起こす。

◆健全なコーポレート・ガバナンスのポイント
1.十分な経営情報を開示する。
2.独立した監査機関を設置する。
3.企業を取り巻くステークホルダーとの協調を推進する。

投稿者 MBA : 2006年07月20日 12:28