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2006年08月03日
■ 果たして敵対的買収(TOB)は成功するのか?
レイナ:「タツヤ先輩、新聞では王子製紙が北越製紙の敵対的買収を行うって話題になっていますね。」タツヤ:「そうだね。王子製紙は製紙業界を再編するという目的で高級紙に強く、利益率の高い北越製紙を傘下に収めたいという思惑で北越製紙株のTOBを実施すると発表したよね。」
レイナ:「ところでそのTOBって何なんですか?」
タツヤ:「うん。TOBっていうのはTake Over Bidの略で株式を公開に買い付けることを言うんだ。上場企業などでは市場外で5%以上の株式を買い付ける場合には原則TOBを実施する必要があるんだよ。TOBでは買い付け目的や期間、買い付け価格を新聞公告などで公表して売主を求めるんだ。」
レイナ:「今回は相手企業の承諾なしにそのTOBを実施するから敵対的な買収になるわけね。」
タツヤ:「そうだね。王子製紙が提示したTOB価格も先月の650円程度から20%以上も高い800円という価格を提示しているからそれなりの勝算はあるかもしれないね。」
レイナ:「でも今回の敵対的買収には三菱商事も絡んでいるのよね。」
タツヤ:「うん。北越製紙は三菱商事に対して新潟工場の増設設備資金として300億円の第三者割当増資を行うことを発表しているんだ。」
レイナ:「第三者割当増資?」
タツヤ:「そう。株式で資金を調達する場合には一般の投資家から資金を調達する公募増資と特定の第三者から資金を調達する第三者割当増資があるんだ。」
レイナ:「今回は後者のパターンになるわけね。でもどうして第三者割当増資なんですか?」
タツヤ:「第三者割当増資は会社の経営が悪化して株価が下落し公募増資が難しい場合や資本提携先と関係を強化する場合があるんだけど、今回の北越製紙の場合は原材料の仕入れや製品の販売などで三菱商事との関係を強化するために行うものなんだ。」
レイナ:「ということは今回は三菱商事が敵対的買収に対するホワイトナイトってことなのかしら?」
タツヤ:「実際のところはそうでもないんだ。北越製紙と三菱商事の提携の話は敵対的買収の前からあるからね。ただ、この第三者割当増資は問題点があって、三菱商事に607円で5千万株を割り当てることによって実に30%も発行済み株式数が増えるんだけどダイリューションが起こってしまう可能性が高いんだ。」
レイナ:「ダイリューション?」
タツヤ:「そう。ダイリューションっていうのは株式の価値が希薄化していくことなんだ。株主にとって一株当たりの利益は非常に重要な指標だけど一気に株式数が増えることによって一株当たりの利益は極端に低下していくんだ。」
レイナ:「要は今回の第三者割当増資で北越製紙の株式の価値が下がっていく可能性が高いってことね。」
タツヤ:「今回調達した資金で急激に利益水準を向上させればいいけどなかなかそういうわけにはいかないからね。」
レイナ:「そうすると、北越製紙の既存株主は王子製紙のTOBに応じた方が得策ということも考えられるわね。」
タツヤ:「そうだね。上場企業が株主の場合、株主にメリットのあるTOBに応じなかったら株主代表訴訟で訴えられるということも考えられるしね。」
レイナ:「王子製紙、北越製紙、三菱商事の三社もそうだけど、大株主も難しい判断を迫られるってことか。」
タツヤ:「これまで日本では敵対的買収の成功した事例はほとんどないけど、今回は状況からいって少なからず成功の可能性があるわけだから今後の動向が注目されるね。」
【MBA講座:今回のTake Away】
◆TOBとは?
→株式公開買付のこと。証券取引所の上場企業や、未上場でも一定の条件を満たす企業の株を市場外で5%以上買う場合、原則、TOBによって買い付けなければいけない。また、市場外で株式買取後の議決権が全体の3分の1以上になる場合には、TOBが強制的に適用される。
◆第三者割当増資とは?
→特定の第三者に株式を割り当てて資金を調達する方法。会社の経営が悪化して株価が下落し公募増資が難しい場合や資本提携先と関係を強化する場合に利用される。既存の株主に対する利益を損なう可能性があるので、発行条件を含めて株主総会で特別決議を経る必要がある。
◆ダイリューションとは?
→株式の価値の希薄化が発生すること。新株の発行により一株当たりの当期利益などが低下してしまう現象。
投稿者 MBA : 2006年08月03日 12:21
