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2006年09月28日
 ■ 株式投資判断指標その1:PERとPBR

レイナ:「タツヤ先輩、最近景気回復のお陰で株式市場が堅調に推移してますよね。私もお小遣いをちょっとした株式投資に充てようと思うんですけどどんな株に投資すればいいか何か判断するコツみたいなものはないんですか?」

 

タツヤ:「株式投資か。株っていうのは玄人でも利益を上げ続けるのは難しいから、レイナちゃんみたいな素人は少ない資金でまずは練習から始めるといいよね。」

 

レイナ:「今ではミニ株のようにちょっとした資金で株式投資ができるって言うじゃないですか。でも銘柄の選定に迷っちゃって。」

 

タツヤ:「そうか。それじゃあ、株式銘柄を選ぶ際の基本について見ていくことにしようか。大体、投資家が株に投資する際にはいくつかの指標を用いて投資する株が割安か割高かを判断しているんだ。」

 

レイナ:「それってどんな指標なんですか?」

 

タツヤ:「ああ、まずはPERと言って1株当たりの収益と株価を比較して株価水準が割安なのか割高なのかを判断する指標があるんだ。このPERは株価を1株当たりの収益で割ってその倍率を見ていくことになるんだよ。」

 

レイナ:「PERですか。」

 

タツヤ:「そう。じゃあ、実際にPERを算出して株価水準の比較をしてみようか。たとえば、発行済み株式数が1万株の企業が1億円の収益を上げたとするだろう。その企業の株価が現在1万円だったとすると、1株当たりの収益は1万円だからPERは1万円を1万円で割って1倍ということになる。一方で発行済み株式数が5千株の企業が1億円の収益を上げていて株価が3万円だったとすると、株価3万円を1株当たりの収益2万円で割って1.5倍。この時2社のPERを比べて低い方が割安の株ということになるんだ。」

 

レイナ:「そうするとこの場合1株当たりの収益と株価水準を見ていくとPER1.5倍の企業の方が1倍の企業よりも市場で高く評価されているってことですね。だからPERが低い1倍の会社の株の方が割安株っていうことができるんですね。」

 

タツヤ:「そう。次の指標はPBRと言って株価を1株当たりの純資産で割ってその水準を測るんだ。たとえば、株価と1株当たりの純資産が等しければPBRは1となって、もしこの企業がその時点で解散することになっても、企業には株主資本と同等の資産価値があるから株主はとりっぱぐれることがないってことになるんだよ。」

 

レイナ:「ということはPBRっていうのは高ければ割高だし、1より小さければ割安ってことになるんですね。」

 

タツヤ:「そうだね。ただPBRっていうのは通常1より小さいってことは考えられないんだ。もし1より小さければ全ての株式をそこで購入して解散すれば、その瞬間利益を得ることができるからね。ただ、バブル崩壊後の日本では不動産や株式などが下落しているから帳簿に記載されている簿価と時価の間に乖離が発生している場合があるだろう。そうなると、その簿価を時価に引き直して1株当たりの純資産を求める必要があるんだ。」

 

レイナ:「バブル期に不動産や有価証券を高値で掴んだ企業は今その資産が値下がりしているから、資産を時価で見ないとPBRを計算して割安だと思ってたら不良資産を抱えている企業だったってことになりかねないですね。」

 

タツヤ:「そう。このPBRも簡単な事例で紹介すると、たとえば、株式総数100株の企業の株価が1千円で、その純資産が5万円とすると1株当たりの純資産は500円だからPBRは1千円を500円で割って2倍となる。一方で株式総数200株の企業の株価が900円で、その純資産が12万円とすると1株当たりの純資産は600円だから900円を600円で割って1.5倍ということになる。」

 

レイナ:「そうするとPBRは前者が2倍、後者が1.5倍ですから、後者の方が割安と結論付けることができるわけですね。」

 

タツヤ:「その通り。他にもいくつかの指標があるから次回は残りの指標についても見ていくことにしよう。」

 

【MBA講座:今回のTake Away】

◆PERとは?

→1株当たりの収益と株価を比較して株価水準が割安なのか割高なのかを判断する指標。株価を1株当たりの収益で割ってその倍率を求める

 

◆PERのの事例

発行済み株式数:1万株

収益:1億円

株価:1万円

PER=1万円/(1億円÷1万株)=1.0

 

発行済み株式数:5千株

収益:1億円

株価:3万円

PER=3万円/(1億円÷5千株)=1.5

 

→PERの低い株の方が割安となる。

 

◆PBRとは?

→株価を1株当たりの純資産で割ってその株価水準を測る指標。

 

◆PERのの事例

株式総数:100株

株価:1千円

純資産:5万円

PBR=1千円/(5万円÷100株)=2.0

 

株式総数:200株

株価:900円

純資産:12万円

PBR=900円/(12万円÷200株)=1.5

 

→PBRの低い方が割安となる。

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2006年09月21日
 ■ バリューチェーンの活用法

タツヤ:「レイナちゃん、前回はバリューチェーンの概要について説明したけど憶えているかな?」


レイナ:「ええ、バリューチェーンっていうのは企業の内部環境を分析するツールで、企業が製品の付加価値を高めていく過程を『購買物流』、『製造』、『出荷物流』、『販売・マーケティング』、『サービス』という主活動と『全般管理』、『人事・労務管理』、『技術開発』、『調達活動』という支援活動に分類して自社の強みや弱みを細かく把握していく方法でしたよね。」


タツヤ:「そうだね。今回はそのバリューチェーンが実際にビジネスでどのように役立つか事例を見ていくことにしよう。」


レイナ:「前回の説明でバリューチェーンの枠組みはわかりましたけど、理論を身につけた上で実戦でどのように役立てるかの方が重要ですからね。」


タツヤ:「それじゃあ、まずはバリューチェーンを使って“活動を省く”ことにより、顧客に対する価値を向上させることを考えていこうか。」


レイナ:「“活動を省く”ですか?」


タツヤ:「そう。バリューチェーンの中で活動を省くことによってコストを削減できる余地がないか分析し、改善することによって価値を高めることができる場合があるんだ。」


レイナ:「たとえば?」


タツヤ:「たとえば、パソコンメーカーであれば『販売・マーケティング』プロセスでこれまで問屋を通して商品を流通させるバリューチェーンが構築されていたんだ。そのようなプロセスは確かに広く販売店に商品を置いてもらうには有効かもしれないけど、在庫を抱えるリスクも高く、結果的にはそのリスク分のコストを消費者に転嫁して高価格の原因にもなるんだ。ところが、この問屋というプロセスを省いて、オンラインで直接消費者から注文を受けてから製造し、販売すれば在庫を持つ必要もなく、その分価格も安くできて、更に消費者に価値を提供することができるようになるだろう。」


レイナ:「テレビや新聞、インターネットを通じてお客さんに商品を直接販売する、いわゆる“デル・モデル”って呼ばれる方法ですね。」


タツヤ:「そう。これらの店舗や営業員を省いてコストを削減し、低価格でマーケットシェアを獲得したのは、何もコンピューターメーカーのデルだけでなく、生保業界でもアフラックやアリコなどが同じように“活動を省く”ことによって急成長を遂げているんだ。」


レイナ:「そういえば、テレビでも日本生命や第一生命と違って、アフラックやアリコのCMは“お申し込みは今すぐ!”なんて言ってフリーダイヤルの番号を連呼していますよね。」


タツヤ:「そうだろう。そして“活動を省く”とは逆に“活動を加える”ことによっても価値を高めることができるんだ。」


レイナ:「今度は“活動を加える”ですね。」


タツヤ:「ああ、たとえば、さっきの事例では問屋や販売店という流通網を省くことにより、コストを削減させるということだったけど、これにオンライン販売という新たな流通手段を“加える”ことによって初めて顧客の利便性を向上させることができるだろう。」


レイナ:「そうですね。販売店を省くだけでは、顧客が商品を手にできる選択肢が少なくなるだけで、価値は向上していかないけど、オンラインショップという新たな流通手段を加えるだけで、24時間好きな時に注文ができて、お店に足を運ぶことなく商品を手にすることができますよね。」


タツヤ:「また、オンラインショップでいえば、検索という機能を加えるだけで、商品を探す手間を省くことができて、その分顧客の利便性も向上していくことになるね。」


レイナ:「そういえば、実際の店舗で商品を探す手間っていうのもありますし、お店に行って目当てのものが置いていないということもありますからね。」


タツヤ:「このように新たな活動を加えることでも顧客に対する価値を向上させることができるんだ。また、その他にもバリューチェーンを使って“活動を束ねる”っていうのもあるんだ。」


レイナ:「活動を束ねる?」


タツヤ:「そう。たとえば、かつて銀行は預金や融資などが主なサービスだったけど、最近では証券会社が行っていた投資信託を販売したり、保険会社が行っていた終身保険を販売したり、様々なサービスを“束ねる”ことによって顧客の利便性を増し、サービスの価値を向上させているんだよ。」


レイナ:「そういえば、今では銀行に寄ればワンストップで様々な金融サービスが受けられますよね。このように“活動を束ねる”ことも顧客にとっての価値を高めるためには有効なことなんですね。」


タツヤ:「そういうこと。それじゃあ、最後のバリューチェーンの活用法で“活動を選択する”について説明しようか。」


レイナ:「最後は活動を選択することなんですか?」


タツヤ:「ああ、活動を選択するってことはバリューチェーンのそれぞれのプロセス、たとえば、購買物流でも製造でも出荷物流でも、どんなプロセスでもいいんだけど、自社で行う場合と外注した場合のコストを比較して、自社で行う方がコストが高ければ、外注を選択してコストを削減し、最終的に価値を高めることもできるんだ。」


レイナ:「たとえば、原材料を運搬するにはトラックなどが必要になりますけど自社でトラックを購入して運搬する方法と運送会社に外注して運搬する方法を比較してコストの安い方を選択すればいいってことになりますね。」


タツヤ:「そう。他にも製造のプロセスで工場を建設して製品を製造する場合と外注して製造する場合を比較して外注の方がコストが低ければ全てを外注して製造するって選択もありだよね。このような企業はファブレスカンパニーって呼ばれているんだけど、ナイキなんかは自社で製造工場を持たずに全て外注に出しているんだよ。」


レイナ:「ふーん。こうしてみるとバリューチェーン分析を通していろいろな方法で価値を高めていくことが可能なんですね。」

【MBA講座:今回のTake Away】

◆バリューチェーンとは?
→企業が製品の付加価値を高めていく過程を『購買物流』、『製造』、『出荷物流』、『販売・マーケティング』、『サービス』という主活動と『全般管理』、『人事・労務管理』、『技術開発』、『調達活動』という支援活動に分類して自社の強みや弱みを細かく把握していくためのツール。


◆バリューチェーンにより“行動を省く”
→バリューチェーン分析により企業活動の無駄を省くことで顧客に対する価値を向上させることができる。たとえば、コンピューターメーカのデルは販売店というプロセスを省いて在庫などにかかるコストを削減し、低価格を実現できた。


◆バリューチェーンにより“行動を加える”
→省くとは逆に加えることでも価値の向上を図ることができる。オンライン販売という顧客に対する販売チャネルを加えることで24時間好きな時に商品を購入できるという利便性が増し、顧客に対する価値は向上する。


◆バリューチェーンにより“行動を束ねる”
→自社の取り扱うサービスを束ねていくことにより価値を向上させることができる。銀行では従来の預金、融資に加え、投資信託や終身保険の販売を束ねていくことでワンストップで金融商品が購入できるという顧客にとっての利便性を高めることが可能となった。


◆バリューチェーンにより“行動を選択”
→バリューチェーンのプロセス一つひとつと外注のコストとを比較することにより価値を高めることができる。ナイキなどは製造過程で全てを外注に出しており、経営資源をマーケティングに集中させ価値を高めている。

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2006年09月14日
 ■ バリューチェーン分析とは?

レイナ:「タツヤ先輩、我社のパソコン販売事業、販売店などの流通網が確保できずに苦戦しているみたいね。」

タツヤ:「そうみたいだね。一度バリューチェーンを見直してビジネスモデルを再構築した方がいいかもしれないね。」

レイナ:「バリューチェーン?それってフランチャイズチェーンのようなものなんですか?」

タツヤ:「違うよ!バリューチェーンっていうのはハーバードビジネススクールのポーター教授が考案したフレームワークで企業の内部環境を分析するものなんだ。」

レイナ:「内部環境を分析するフレームワーク?」

タツヤ:「そう。企業っていうのは原材料を仕入れて、それを製造・加工して付加価値を高めることによって収益を上げているわけだけど、その収益を上げるプロセスを細かく分類したものがバリューチェーンになるんだよ。」

レイナ:「具体的にはどのような分類になるんですか?」

タツヤ:「ああ、企業っていうのは今言ったようにまずは原材料を仕入れる必要があるだろう。バリューチェーンはその原材料を仕入れて工場まで運ぶ『購買物流』から始まるんだ。そして、その原材料を工場で『製造』して製品が完成すると、販売店へ納入する『出荷物流』を経て、販売店で『販売・マーケティング』が行われる。それから商品が売れた後にも修理やメンテナンスなどの『サービス』を提供することによって原材料とは比べ物にならないくらいの価格で商品が売れ、収益を確保することができるっていう流れになるんだ。」

レイナ:「そうするとバリューチェーンっていうのは『購買物流』→『製造』→『出荷物流』→『販売・マーケティング』→『サービス』という連鎖で企業に収益をもたらすっていうことなのね。」

タツヤ:「そう。今レイナちゃんが言った連鎖はバリューチェーンの『主活動』に当たるんだ。」

レイナ:「バリューチェーンの『主活動』ってことは他にも価値を生むための活動があるってことですね?」

タツヤ:「そうだね。価値っていうのは『主活動』に挙げたような企業の活動だけじゃ創造できないだろう。たとえば、事業にかかわるヒトも必要だし、資金や製品の技術開発、原材料の調達など主活動を支援する『支援活動』もバリューチェーンの重要な要素になっているんだ。」

レイナ:「『支援活動』ですか?。」

タツヤ:「ああ、『支援活動』には今言ったような財務や法務を含めた『全般管理』、人材を管理する『人事・労務管理』、製品の開発を支援する『技術開発』、原材料を仕入れる『調達活動』の4つが挙げられるんだよ。」

レイナ:「ということは主活動の5つのプロセスに4つの支援活動がうまく機能して初めて企業は製品に価値を加えることができるっていうわけね。」

タツヤ:「そう。そして思い通りの収益が上がらないのはこのバリューチェーンのどこかに問題があるっていうことなんだ。」

レイナ:「バリューチェーンによる自社分析は、価値を創造していく過程を9つに分類しているから、細かくどこに問題が発生しているか把握しやすくなるんですね。」

タツヤ:「そういうこと。バリューチェーン分析はそれぞれの活動の収益貢献度とコストの関係を細かく把握することができるから、たとえば、収益貢献度よりコストの方が高くつくものについてはアウトソースするなどより強固なビジネスモデルを構築するのに役立つんだよ。」

レイナ:「バリューチェーン分析ではそのように自社の価値創造活動でどの部分が強みなのか、そして弱みなのかを発見できるってことですね。」

※次週につづく・・・


【MBA講座:今回のTake Away】

◆バリューチェーンとは?
→ハーバードビジネスクールのマイケルポーター教授による自社の製品の価値を生むプロセスを細かく分析するためのフレームワーク。

◆バリューチェーンの主活動
→自社の製品が顧客の手に渡って価値を生むまでの活動の連鎖。製品は原材料を仕入れて工場に運ばれる『購買物流』に始まり、原材料を工場で組み立てる『製造』、出来上がった製品を販売店まで運搬する『出荷物流』、販売店での『販売・マーケティング』を経て顧客の手に渡る。また、製品のメンテナンスや修理などの『サービス』を提供することにより更に製品の価値を向上させることが可能になる。この『購買物流』→『製造』→『出荷物流』→『販売・マーケティング』→『サービス』という一連の流れがバリューチェーンの主活動となる。

◆バリューチェーンの支援活動
→製品の価値を高めることは主活動のみでは成しえない。事業にかかわるカネやヒト、製品の技術開発、原材料の調達などそれに付随する業務も重要な要素になっている。これら『全般管理』、『人事・労務管理』、『技術開発』、『調達活動』はバリューチェーンでは主活動を側面から支える支援活動となる。

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2006年09月07日
 ■ ファイブフォース分析とは?

タツヤ:「レイナちゃん、それじゃあ前回に続いてファイブフォース分析の残りの要因について見ていくことにしようか。」

レイナ:「ファイブフォース分析っていうのは業界の競争構造や収益性を分析するフレームワークで『買い手の力』、『売り手の力』、『代替品の脅威』、『新規参入業者の脅威』、『業界内競合の程度』の5つの観点から分析する手法でしたね。」

タツヤ:「そう。前回はうちの会社がコンピューター製造業に参入するに当たって、業界を『買い手の力』と『売り手の力』から分析したんだけど、今回は『代替品の脅威』、『新規参入業者の脅威』、『業界内競合の程度』から見ていくことにしよう。」

レイナ:「前回、販売先である『買い手の力』と仕入れ業者の『売り手の力』はコンピューター製造業者にとっては不利な条件だったから、今回の分析は楽しみだわ。」

タツヤ:「それじゃあ、『代替品の脅威』なんだけど、コンピューターにとってはどんなものが代替品になるだろう?」

レイナ:「そうね。コンピューターといえば、メールやインターネット、ワープロ、表計算などで必需品ですよね。そんなコンピューターの代替品なんてあるのかしら?」

タツヤ:「たとえば、メールやインターネットなどの機能で言えば今や携帯電
話で代用する人が多くなってきただろう。」

レイナ:「そう言えばそうね。私なんかもパソコンは起動させるまでに時間がかかって面倒だから、携帯でメールやインターネットを済ますことも多いもの。」

タツヤ:「そうした面から、携帯電話って言うのは1億台近い端末が普及しているけど、パソコンの代用品ということができるんだ。」

レイナ:「携帯電話って言うのは機能も日々進化しているし、端末によってはほぼ無料で手に入るものもあるから、代替品としては本当に脅威になりますね。」

タツヤ:「ということはパソコンて言うのは代替品の観点からも競争が厳しいということになるね。次の『新規参入の脅威』はどうだろう?」

レイナ:「やっぱり、コンピューターを組み立てるには大規模な工場が必要だから誰でも参入できるってわけじゃないですよね。」

タツヤ:「実はそうでもないんだ。コンピューターっていうのは言ってみれば規格品だから材料さえあれば誰でも作ることができるんだよ。」

レイナ:「そう言えば『自作パソコン』みたいなタイトルで本もたくさん出てますしね。」

タツヤ:「だから大規模な工場が無くてもパソコン製造業は始められるんだ。実際に自宅の倉庫のようなところで始めて大きくなったパソコンメーカーもあるからね。」

レイナ:「ということはパソコン製造が儲かるビジネスだということになればどんどんと新規に業者が参入してくるってことになるのね。」

タツヤ:「そういうこと。だから『新規参入の脅威』という観点からもコンピューター製造業はうまみがないっていうことになるんだ。」

レイナ:「それじゃあ、最後の『業界内での競争の程度』はどうなのかしら?」

タツヤ:「さっき言ったようにパソコンと言うのは規格品だろう。ということは差別化が非常に難しいから、自ずと価格競争になって、業界内での競争は非常に厳しいものになるのは火を見るより明らかだね。」

レイナ:「実際に採算が厳しくて撤退するメーカーもあるくらいですからね。」

タツヤ:「そう。こうして5つの観点からコンピューター製造業という業界を分析してみるといかに競争が激しく、収益を上げにくい環境であるかが一目瞭然だろう。」

レイナ:「そうですね。事前にこのような厳しい環境がわかっていれば、パソコン製造業に新規参入することは難しいと言わざるを得ませんね。」



【MBA講座:今回のTake Away】

◆ファイブフォース分析とは?
→ハーバードビジネスクールのマイケルポーター教授による業界の競争構造を分析するフレームワーク。業界を『買い手の力』、『売り手の力』、『代替品の脅威』、『新規参入業者の脅威』、『業界内競合の程度』の5つの観点から分析し、競争や収益性の程度を測る。


◆買い手の力
→商品やサービスを購入するグループの相対的な力関係を分析する。次のような場合に買い手の力は強くなる。

1.買い手側で大手企業の寡占が進んでいたり、大量購入できる体力のある企業が存在する場合
2.自社の扱う商品が標準的なもの、もしくは十分に差別化されていない場合
3.買い手にとって自社の製品やサービスがあまり重要でない場合


◆売り手の力
→原材料を供給する企業との相対的な力関係を分析する。次のような場合に売り手の力は強くなる。

1.供給業者側が少数の業者によって支配されている場合
2.供給業者側の製品の独自性が強い、もしくは差別化されている場合
3.供給業者を変更する時に掛かるコストが非常に高い場合


◆代替品の脅威
→自社の提供する商品やサービスと形は異なるが機能が同じものと比較をする。次のような場合代替品の脅威は増す。

1.顧客のニーズを満たす製品やサービスが多い場合
2.代替品へ切り替える際に発生するコストが少ない場合


◆新規参入業者の脅威
→参入障壁の程度を分析する。次のような場合は参入障壁が高くなる。

1.事業に多額の投資が必要な場合
2.製品の製造に特別のスキルやノウハウが必要な場合
3.先行する企業に絶対的なブランド力があり、ブランドの確立に多大な資金が必要な場合
4.製品の流通チャネルが既存の競合他社に抑えられていて新たにチャネルを開拓するのにコストがかかる場合
5.新規参入を規制する法律などが存在する場合


◆業界内競合の程度
→業界内での競争の程度を分析する。次のような場合業界内の競争が激しくなる。

1.業界内の企業数が多い場合
2.需要が停滞している場合
3.業界に法的な規制がない場合
4.業界の技術革新が続いている場合
5.業界を圧倒的に支配する企業が存在しない場合

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