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2006年10月12日

 ■ 株式交換による買収のメリットとは?

レイナ:「タツヤ先輩、インターネット検索大手のGoogleが無料動画配信で成長著しい新興企業YouTubeを買収するって発表がありましたね。」


タツヤ:「そうだね。Googleはアメリカでは圧倒的な人気を誇る検索エンジンだし、YouTubeはビジネスモデルが確定していないという面はあるけど無料動画配信では50%のシェアを握る勢いのある企業だから今後一緒になってどんなサービスが展開されるか楽しみだね。」


レイナ:「買収価格は16億5千万ドルですって。日本円にするとおよそ1950億円ってとこかしら。潤沢なキャッシュを持つGoogleだからできることですよね。」


タツヤ:「でも今回の買収ではキャッシュは全く使わないんだ。」


レイナ:「16億5千万ドルの買収なのに、キャッシュを使わないってどういうことですか?」


タツヤ:「今回の買収は株式交換で行われるんだ。だからキャッシュは全く使わないってことさ。」


レイナ:「株式交換?」


タツヤ:「そう。株式交換っていうのは買収元企業が新たに株式を発行して、買収先企業の株主の持っている株と交換して買収先の企業を100%子会社にするという方法なんだ。この株式交換を利用すれば買収元の企業はいかに多額の買収でもキャッシュを用意する必要がないってことさ。」


レイナ:「つまり今回Googleは新たに株式を発行してYouTubeの株主の持つ株と交換をするってことですね。そうするとYouTubeはGoogleの100%子会社になるし、YouTubeの株主は株式を交換することによって今度はGoogleの株主になるんですね。」


タツヤ:「そういうこと。加えてこの株式交換はキャッシュを用意しなくていい他にもメリットがあるんだ。」


レイナ:「どんなメリットですか?」


タツヤ:「うん。まずは合併に比べて手続きが簡単にできるということなんだ。合併では法律に基づいて様々な手続きが必要になるけど、株式交換ではケースによっては完全親会社の株主総会の承認決議を経ないで行うことができる“簡易な株式交換手続”という規定もあるんだ。」


レイナ:「法律に基づいた手続きってなんだか面倒くさそうですからね。」


タツヤ:「そう。他にもメリットがあって株式交換による買収では法律的には別法人という形になっているから、別法人としての運営が可能になるんだ。だから買収先の企業の従業員や取引先の心理的抵抗は合併に比べて低くなるんだよ。」


レイナ:「そういえば、ニュースを見るとYouTubeの経営者はこれまで売却を否定してきたけど、独立の道が確保できたので売却に踏み切ったってことを言っていたわね。」


タツヤ:「まだまだ株式交換のメリットはあって、株価が上昇局面では結果的に割安で企業買収を行えるっていうことなんだ。今回の買収でも実際にGoogleがYouTube買収の憶測が市場に流れてからGoogle株は2%値上がりして2日間で時価総額が40億ドルほど増えているんだ。」


レイナ:「40億ドルっていうと今回の買収の2倍以上の金額になりますね。こうしてみると株式交換による買収はメリットばかりのようですけど・・・」


タツヤ:「もちろん、デメリットもあるよ。株価が低水準で推移している場合は割高になる可能性だってあるし、いくら手続きが合併に比べて簡単と言えどもやはりキャッシュで買うよりは煩雑な手続きが必要になるんだ。他にも部門の買収という部分的な買収はできないから、債務などを含めて企業一切を引き受けなきゃいけないんだ。」


レイナ:「企業側とすると状況に応じて最適な買収方法を選択するオプションがあるんですね。」

 

 【MBA講座:今回のTake Away】

◆株式交換とは?
→買収元企業が新たに株式を発行して、買収先企業の株主の持っている株と交換して買収先の企業を100%子会社にするという方法。


◆株式交換の手続き
1.株式交換契約書を作成
2.両当事会社において株主総会の承認決議

→ケースによっては親会社の株主総会の承認決議を経ないで行うことができる“簡易な株式交換手続”の規定もある。


◆株式交換のメリット
1.現金を用意する必要がない。
2.合併に比べて手続きが簡単。
3.法律的には別法人のため、別法人としての運営が可能。
4.別法人のため、取引先や従業員の抵抗が少ない。
5.株式が高水準の場合は割安で買収が行える。


◆株式交換のデメリット
1.株価が低水準で推移している場合は割高になる場合がある。
2.キャッシュによる買収に比べれば手続きが煩雑。
3.一部門の買収はできない。債務などを含めて全てを引き継がなければいけない。

投稿者 MBA : 2006年10月12日 18:29