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2006年11月30日
 ■ 爆発的な需要を創出する2段階マーケティングとは?(前編)

レイナ:「タツヤ先輩、ソニーのPS3が遂に発売されましたね。私はゲームファンって訳じゃないんだけど、最新のブルーレイディスクを搭載して6万円程度だからなんだか欲しくなってきちゃったわ。」


タツヤ:「そうだね。ある調査機関によれば、実際のコストは10万円程度かかっているそうだから、非常にお得感はあるよね。」


レイナ:「コストが10万円で価格が6万円?そんなビジネスってありえるんですか?」


タツヤ:「場合によってはPS3に限らず、当初のコストが販売価格を上回るってビジネスはありえる話なんだよ。たとえば、今回のPS3の場合は当初赤字でも低価格で需要を喚起すれば大量生産が可能になってその分コストが引き下げられるだろう。そうすると徐々に本体でも利益を上げることができるようになるんだよ。」


レイナ:「そうか。今はまだ新しい技術開発でコスト高になってるけど、これがこなれてくれば原価は安くできるっていうソニーの読みがあるのね。」


タツヤ:「そう。たとえばソニーのPS2は全世界で1億台以上売れているし、同じようにPS3が売れると予測するといずれは原価が大幅に下がることが予測できるからね。まあ、ゲームの場合は他の要因もあるんだけどね・・・」


レイナ:「他の要因って?」


タツヤ:「ああ、たとえばゲーム機本体だけを好き好んで買う人っていうのはまずい無いだろう。」


レイナ:「そりゃそうよ。いくら最新のブルーレイディスクが使えると言ってもあくまでもPS3を購入する人の目的はゲームでしょう。」


タツヤ:「ということは購入者にとってはゲーム機本体はイニシャルコストであって、他にソフトウェアというランニングコストが必要になってくるだろう。」


レイナ:「PS3を購入したら、PS3専用のソフトウェアを買い足していくっていうことですね。」


タツヤ:「そう。だからソニーとするとハードウェアを多くの人にまず購入してもらうのはその後のソフトウェアを売るために必須のことなんだ。特にソフトウェアっていうのは自社が開発してヒットすれば利益率は高いし、他社の開発したゲームではロイヤリティが入ってくるしね。」


レイナ:「だから、まずは赤字でもPS3というハードを売って次のソフトで儲ければいいって戦略なのね。」


タツヤ:「そういうこと。ただ、さっきも言ったように、このような2段構えのマーケティング戦略はPS3特有のものではないんだよ。」


レイナ:「ということは他にも最初は赤字でも次の段階で利益を確保する業界や商品があるってことですか?」


タツヤ:「ああ。それについては次回の説明していくことにしよう。」


<次回に続く・・・>

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2006年11月23日
 ■ CRM戦略とライフタイムバリュー

レイナ:「「タツヤ先輩、インターネットってほんとに便利ですね。今まで安いと思っていたお店のブランド品がインターネットで価格を比較してみたら1番安いってわけじゃないことがわかったわ。これからはやっぱりインターネットで事前に価格を調査して商品を購入すべきね。」


タツヤ:「そうだね。消費者の立場からするとインターネットや情報技術の発達によってより多くの選択肢を入手できるようになって利便性が飛躍的に向上したよね。ところが、販売する企業側にとっては、情報技術の進展は新たな顧客を低コストで獲得できる機会が増えるといういい面もあるけど、長年の顧客さえ簡単に奪われる激しい競争の中に否応無く巻き込まれるという深刻な危機に直面することになるから一概に喜ばしいことではないんだけどね。」


レイナ:「そうね。商品が同じであれば、お店の信用っていう問題もあるけど、やっぱり価格が1円でも安いところを選ぶって消費者も多いものね。」


タツヤ:「そういう意味では今や商品やサービスを選択する主導権は企業から顧客に移って、顧客が最適な企業を選ぶ時代になったと言えるんだ。だから企業としては顧客主導のビジネス構造へ転換できるかどうかがビジネスの成功の鍵を握っていると言っても過言じゃないくらいなんだよ。」


レイナ:「以前の大量生産・大量消費の時代は企業主導で作れば売れる時代だったけど、これからは消費者の立場に立ったビジネスモデルを構築した企業しか生き残れなくなるのね。」


タツヤ:「その通りだよ。これまでのマーケティングではプロダクトに焦点を当てた分析やプロモーションを核とした戦略が中心となっていたんだけど、これからは企業活動を行う上で最も重要な情報の1つである顧客情報に焦点を当てて、その情報を有効活用したマーケティング戦略の確立が企業存続にとって不可欠のものとなってくるんだ。このマーケティング戦略が俗に言うCRMなんだよ。」


レイナ:「CRM?」


タツヤ:「そう。CRMっていうのは“Customer Relationship Management”の略で、顧客と良好な関係を構築・維持して獲得収益を最大化させるために、自社にとって収益をもたらしてくれる顧客群を明確に定義した上で、その顧客群に対して最適なマーケティングミックスを適用する戦略のことなんだ。」


レイナ:「ということは、CRM戦略っていうのはすべての顧客ではなく、自社にとって収益をもたらしてくれる顧客に対してマーケティングミックスを最適化する戦略ってことですね。」


タツヤ:「そうだね。そしてこのCRM戦略を立案する上で鍵になる概念が“ライフタイムバリュー”と呼ばれるものなんだ。」


レイナ:「ライフタイムバリュー?」


タツヤ:「そう。ライフタイムバリューっていうのは略してLTVとか日本語で顧客価値とも呼ばれているんだけど、一人当たりの顧客がその企業に対して生涯にもたらす価値、もしくは利益のことを表すんだ。たとえば、顧客が生涯に1回の買物をして1万円の利益を企業にもたらせばLTVは1万円だし、2回の買物をして2万円の利益をもたらせばLTVは2万円と言うことになる。」


レイナ:「ということは、ライフタイムバリューっていうのは長い期間取引してもらったり、利幅の大きい商品やサービスを購入してもらうことによって向上させることができるってことですね。」


タツヤ:「そうだね。特に今は価格競争も厳しくて顧客を獲得するのにキャンペーンなどを行って、初回の取引は赤字という場合も珍しくないんだ。だからCRM戦略でリピート購入を促して最終的に利益を確保するという戦略も必要になってくるんだよ。」


レイナ:「つまり、CRM戦略によって長い間顧客に支持される仕組みを作ってライフタイムバリューを向上させるのがすごく重要だってことね。」


タツヤ:「その通りだよ。そして、このような顧客を中心に据えたマーケティングマネジメントでは顧客価値の向上こそが企業価値の向上を意味するようになるんだ。」

 
【MBA講座:今回のTake Away】


◆CRMとは?
→“Customer Relationship Management”の略で、顧客との関係構築・維持から獲得収益を極大化するために、自社にとって収益をもたらしてくれる顧客群を明確に定義して、その顧客群に対して最適なマーケティングミックスを適用する戦略。


◆CRMの特徴
→すべての顧客ではなく、自社にとって収益をもたらしてくれる顧客に対してマーケティングミックスを最適化する。


◆CRM戦略の鍵になる概念
→ライフタイムバリュー


◆ライフタイムバリューとは?
→LTV、もしくは顧客価値とも呼ばれる。一人当たりの顧客がその企業に対して生涯にもたらす価値、もしくは利益のこと。

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2006年11月16日
 ■ TOBによる企業買収

レイナ:「タツヤ先輩、ここ最近明星食品のM&Aのニュースが話題になっていますね。」


タツヤ:「そうだね。アメリカの投資ファンド、スティール・パートナーズが明星食品に対して仕掛けた敵対的TOBに対して、同業界トップの日清食品が友好的TOBを実施したからね。」


レイナ:「そのTOBって一体何なんですか?」


タツヤ:「ああ、TOBっていうのは『Take Over Bid』の略で、M&A対象企業の株式の公開買い付けを行うことなんだ。」


レイナ:「株式の公開買い付け?」


タツヤ:「そう。上場企業の株式を市場外で5%以上購入する時は原則このTOBを実施する必要があるんだ。また、市場外の株式購入で買取後の議決権が全体の1/3以上になる時には必ずTOBで行わなきゃいけないんだよ。」


レイナ:「今回スティール・パートナーズは明星食品の全株を市場外で取得しようとしているからTOBを実施することになったのね。でもTOBって具体的にはどのようなプロセスになるんですか?」


タツヤ:「うん。TOBでは、企業買収を目指す投資家が、買取の株式数や期間、価格などを公に発表して、不特定多数の株主から市場を通さずに売買の募集を行うんだよ。」


レイナ:「株式市場を通さないってことはどのようにして株の売買価格を決定するんでしょう?」


タツヤ:「通常は市場価格より若干高い価格を提示して多くの株主から幅広く申込を受けるのが通例なんだ。」


レイナ:「そうか。その価格の上乗せ分がプレミアムと呼ばれるものなんですね。今回のスティール・パートナーズは1ヶ月の終値平均に14.6%を上乗せした700円をTOB価格に設定したと新聞に載ってましたよ。」


タツヤ:「そうだね。スティール・パートナーズには彼らなりの思惑があるんだろうけど、一般的に成功するTOBのプレミアムは市場価格の30%程度なんだ。実際に資本提携を目指して友好的なTOBを仕掛けた日清食品の買い付け価格は870円だからね。」


レイナ:「でもスティール・パートナーズや日清食品は、なぜ市場価格より高い買い付け価格を提示してTOBを実施する必要があるんでしょう?そんな面倒なことをしなくても市場で購入すれば済む話なのに・・・」


タツヤ:「うん。たとえば市場で大量の株式を買い集めるとすると、需要と供給のバランスに伴って株価が上昇し、最終的に買収コストがかさむリスクがあるんだ。このようなリスクを避けるにはTOBが有効で、それが多くの企業で利用されるようになった理由でもあるんだ。」


レイナ:「ふーん。そうすると市場での株式購入は買収価格が予測できないけど、TOBっていうのは一定の価格で短期間に大量の株式を購入できるメリットがあるってことね。」


タツヤ:「そう。加えて今回のスティール・パートナーズによる明星食品に対するTOBは経営陣に同業他社との提携を促して、低迷している株価を引き上げる意図もあったかもしれないね。」


レイナ:「日清食品のTOBにスティール・パートナーズが応じれば、多額の売買益を手にすることができるって訳ですね。」


【MBA講座:今回のTake Away】


◆TOBとは?
→『Take Over Bid』の略で、M&A対象企業の株式の公開買い付けを行うこと。上場企業の株式を市場外で5%以上購入する時は原則TOBが行われ、また株式買取後の議決権が全体の1/3以上になる時にはTOBを実施しなければいけない。


◆TOBのプロセス
→企業買収を目指す投資家が、買取の株式数や期間、価格などを公に発表して、不特定多数の株主から市場を通さずに売買の募集を行う。


◆TOBの買付株価
→一般的に市場価格の30%程度のプレミアムが上乗せされる。


◆TOBのメリット
→市場を通しての株式購入では大量の買い注文につられて株価が上昇するリスクがあるが、TOBでは一定の価格で短期間に大量の株式を購入できる。

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2006年11月09日
 ■ セールスフォースを最適化する方法とは?

レイナ:「タツヤ先輩、営業部の部長が嘆いてましたけど、大半の売上を一人の社員が上げていて、他に匹敵する者が現れてこないんですって。を上げるというような営業部門の問題はどのように解決すればいいんでしょうか?」


タツヤ:「そうか。どこの会社の営業部でもスーパースター的なセールスパーソンが会社の大半の売上を占めているっていう問題は発生しがちだよね。このように個人の成績で会社の業績が決まるというのは企業にとっても大変頭の痛い問題なんだ。だから、企業の収益性を今後さらに安定的に向上させるための戦略としては、セールスパーソン個人の業績の伸びに頼るより、組織全体としての業績をいかに伸ばすかが重要になってくるんだ。だから企業とすると所属するすべてのセールスパーソンが一定以上の成果を上げられる仕組みを作ることが重要な成功要因になるんだよ。」


レイナ:「でもそういうことって実際に可能なんですか?」


タツヤ:「うん。その答えは『スキルアップ』と『チーム・セリング』にあるんだ。」


レイナ:「『スキルアップ』と『チーム・セリング』?」


タツヤ:「そう。優秀なセールスパーソンの行動を分析して、どの行動が成果に結びついているかを発見し、全員がその成功パターンに沿った行動を行うことができれば、セールスパーソン全体がスキルアップして業績の向上が見込めるだろう。そのような成果の上がる営業マニュアルを確立すれば計画的にセールス活動を行うことができるようになるから、進捗状況に合わせて、上司からの適切な指導や同行訪問、営業サポートなどチームとして販売活動を行うことが可能になるんだ。」


レイナ:「今まで個人の才能に頼ってきた営業活動をマニュアルに沿ったものに変更して、さらにチームで営業活動を行えばすべてのセールスパーソンが一定以上の成果を上げるっていうことも不可能ではないってわけね。」


タツヤ:「そうだね。また購買意思決定に関わる先方担当者が多い大企業の場合や複雑なニーズを持つ顧客に対応する場合はセールスパーソン個人では対応しきれないことがあるから、そんな時は部門横断的に販売・マーケティング・開発・財務・テクニカルサポートなどの部門から適切なメンバーを選出してチームを組んで対応すると効果を発揮するっていうこともあるんだよ。」


レイナ:「そうね。販売っていうのはその営業の人達の信頼っていうのも重要な要素だから、専門家チームを組んで顧客のニーズに対応するっていうのも大切なことだと思うわ。」


タツヤ:「それから企業としてセールスパーソンが本来の営業活動に専念するために、組織内での活動状況や入手情報を共有化する仕組みを構築したり、提案書作成や顧客リレーション確保の作業分担を見直したり、無駄のない訪問活動を行うための担当制の見直しを行ったりする必要があるんだよ。」


レイナ:「このような営業活動の見直しを行うことによって企業はセールスプロセスを最適化して、組織全体として安定的な売り上げの確保が可能になってくるわけですね。」


【MBA講座:今回のTake Away】


◆セールスフォースに対して企業の抱える問題
→特定のセールスパーソンに売上貢献度が偏っている。


◆セールスフォースの問題に対する対応策
→所属するすべてのセールスパーソンが一定以上の成果を上げられる仕組みを作る。

1.スキルアップ
優秀なセールスパーソンの行動を分析して、どの行動が成果に結びついているかを発見し、それに基づいて営業マニュアルを作成する。営業部員はマニュアルに基づいて計画的にセールスを行う。

2.チームセリング
複雑なニーズを持つ顧客に対応する場合など、セールスパーソン個人で対応するのではなく、部門横断的に販売・マーケティング・開発・財務・テクニカルサポートなどの部門から適切なメンバーを選出してチームを組んで対応する。

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2006年11月02日
 ■ 顧客データベース構築の重要性

レイナ:「タツヤ先輩、うちの営業部、今期は売上を上げるのにとても苦労しているみたいね。何かいい方法はないかしら。」


タツヤ:「そうだね。まずは顧客情報を収集して、顧客が真に何を望んでいるかを分析する必要があるね。」


レイナ:「顧客のニーズとウォンツを把握するってことですか。顧客の『生の声』を通して集められた情報の中に苦境を脱するヒントが隠されているんですね。」


タツヤ:「そういうこと。ただ、収集された情報を有効に活用するためには、情報を一元的にリアルタイムに管理する必要があるんだ。そしてこれを実現するためには顧客のデータベースを作らなきゃいけないんだよ。」


レイナ:「顧客のデータベース?」


タツヤ:「そう。企業が収集する顧客情報は大きく『顧客属性データ』と『取引データ』に分けることができるんだ。『顧客属性データ』には生年月日や性別などの静的なものと住所や電話番号などの動的なものあるんだ。一方で『取引データ』にはその顧客がそれまでに行ってきた取引の金額や種類、頻度、期間といった取引履歴や問い合わせ履歴、クレーム履歴などが含まれるんだよ。」


レイナ:「企業は『顧客属性データ』と『取引データ』から成る顧客のデータベースを構築しなきゃいけないってことか。」


タツヤ:「この『顧客属性データ』と『取引データ』を互いに組み合わせて、さらに統計解析ツールなどを用いて分析すれば、いろいろな観点からセグメント別の顧客の動向やニーズを把握することが可能になるんだ。加えて企業の顧客アプローチ方法の検証をすることもできるんだよ。」


レイナ:「企業としてはその分析結果を基にしてより有効なマーケティング施策を立案することも可能になるわね。」


タツヤ:「そうだね。ただ注意しなきゃいけないのはデータの分析が十分に行われたとしても、その結果が関連部門にフィードバックされなければ、さらに有効な施策の企画や立案もできず、マーケティング促進や顧客満足向上を実現することもできないんだ。」


レイナ:「ということは当たり前のことだけど顧客データベースの分析結果は商品開発部や営業部など関連部門に適切なタイミングでフィードバックしないと宝の持ち腐れになってしまうってことね。」


タツヤ:「その通り。だからデータベースを核にして、『情報収集→分析→仮説立案→実施→評価検証→フィードバック』というサイクルを全社横断的に実行できる仕組み作りが重要になってくるんだよ。」


【MBA講座:今回のTake Away】


◆顧客データベースの種類
1.顧客属性データ
 ・生年月日
 ・性別
 ・住所
 ・電話番号など

2.取引データ
 ・取引の金額や種類
 ・頻度
 ・期間
 ・問い合わせ履歴
 ・クレーム履歴など


◆顧客データベース分析のメリット
1.セグメント別の顧客の動向やニーズを把握できる。
2.企業の顧客アプローチ方法の検証ができる。


◆顧客データベース分析時の注意点
1.データ分析の結果を適切なタイミングで適切な部署にフィードバックしなければならない。
2.ータベースを核にして、情報収集→分析→仮説立案→実施→評価検証→フィードバックというサイクルを全社横断的に実行できる仕組み作りが重要になってくる。

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