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2006年12月07日

 ■ 爆発的な需要を創出する2段階マーケティングとは?(後編)

タツヤ:「レイナちゃん。前回は2段構えのマーケティングについて話をしたよね。」


レイナ:「そうね。ソニーのPS3は現状は売れば売るだけ赤字の商品だから、大量生産によるコスト削減か、ソフトウェアの利益でその赤字を埋め合わせる2段階のマーケティング戦略をとっているということでしたね。」


タツヤ:「他にも同じようなマーケティング戦略を採用している商品やサービスがあるんだけど、何か思い浮かばない?」


レイナ:「他にも最初赤字で後から利益を取り戻すマーケティングを行っている商品があるんですか?あまり思い浮かばないんですけど・・・」


タツヤ:「探してみると結構あるんだよ。たとえば、プリンターなんかはどうだろう?」


レイナ:「プリンターですか?そういえばここ数年でプリンターの価格って大幅に下がりましたね。10年ほど前は5万円近くしたものが今では1万円以下でも買えるようになりましたからね。」


タツヤ:「実は僕がアメリカにいた10年前でも一流メーカーのプリンターが20ドル、つまり2500円で売られていたんだ。」


レイナ:「2500円?そんな価格で儲けが出るんですか?」


タツヤ:「多分赤字だと思うよ。だから2段構えのマーケティングを採用するのさ。」


レイナ:「プリンターを買った人はランニングコストとしてインクを買わなきゃいけないからインクでハードの赤字を埋めるって事ですね。」


タツヤ:「そう。ただ、プリンターの場合はメーカーの誤算があって、他社からリサイクルのインクやインク補充液などが発売されて、当初の目論見どおりに行かなくなってきているんだ。」


レイナ:「そういえば、大手プリンターメーカーがリサイクルインクメーカーを相手取って裁判を起こしたりしているのを新聞で読んだことがあるわ。」


タツヤ:「プリンターの他にも携帯電話なんかも2段構えのマーケティング戦略の典型だね。」


レイナ:「携帯電話の本体なんてただで配っているものね。私なんてこの前テレビ付きの携帯をただでゲットしちゃいましたよ。」


タツヤ:「通常ウン万円の携帯端末をただであげるんだから、携帯キャリアは大赤字だろう。この赤字を通信料で埋め合わせることになるのさ。」


レイナ:「携帯各社にとっては端末を売って儲けるよりは、利用者を増やして通信料で儲けた方が割がいいってことなのね。」


タツヤ:「そう。同じようにインターネットプロバイダなんかも契約時に数万円のキャッシュをプレゼントしてまで契約を取りに行っているだろう。これなんかもそれ以降の契約料を見込んで最初は赤字でもいずれは利益に変わるという2段構えのマーケティングを見越してのことなんだ。」


レイナ:「こうしてみるといろんな会社がいろんな商品やサービスで2段構えのマーケティング戦略を実施しているのね。」


タツヤ:「そういうことになるね。ただ、このマーケティング戦略で気をつけなきゃいけないのはいつにも増して入念な調査と慎重な戦略の立案が必要になるってことなんだ。」


レイナ:「最初が大幅な赤字からスタートするだけに、次の段階の収穫期に思い通りの収益があげられなければ、企業として大きな痛手を負うことになりますからね。」


タツヤ:「そう。さっきも言ったようにプリンタメーカーなどは最初の計画から大幅な狂いが生じている例を見ても、現実に想定外のことが起こる可能性は非常に高いと言わざるを得ないんだ。」


レイナ:「2段構えのマーケティングっていうのは消費者の需要を喚起して一気に市場地図を塗り替えることも可能だけど、逆に事業にダメージを与える可能性も高いっていうことか。そういった意味ではまさに両刃の剣ってとこですね。」


【MBA講座:今回のTake Away】

◆2段構えのマーケティング戦略とは?
→イニシャルコストとランニングコストの発生する商品やサービスでイニシャルコストの部分を赤字で提供し需要を喚起した上で、ランニングコストの部分で収益を確保するマーケティング戦略。

◆2段構えのマーケティング戦略の事例
1. ゲーム機
2. プリンター
3. 携帯電話
4. インターネットプロバイダー など

◆2段構えのマーケティング戦略実行時の注意点
→市場価格よりも極端に安い商品やサービスを提供するので当初は大幅な赤字に陥りやすい。初期段階では経営体力が必要となる。
→イニシャルコストの部分は独占する必要がある。そういった意味で他社の参入を妨げる仕組みが必要。
→当初は赤字でスタートするため、いつも以上の入念な調査と慎重な戦略の構築が不可欠になる。

投稿者 MBA : 2006年12月07日 10:19