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2007年01月19日
 ■ 企業の不祥事を未然に防ぐコーポレートガバナンスとは?

レイナ:「タツヤ先輩、最近不二家が賞味期限切れの材料を使用していた問題が明るみになって大変な事態になっていますね。」


タツヤ:「そうだね。最初はシュークリームに賞味期限切れの牛乳を使っていたって事だったんだけど、次々に他の商品にまで賞味期限の材料を使っていることが発覚して、今ではシフォンケーキやスイートポテトなど10品目に亘るからね。」


レイナ:「大手スーパーやコンビニとか、小売店でも次々に不二家商品の販売を停止しているから、業績が急速に悪化する可能性が大きいですね。」


タツヤ:「ああ。雪印乳業も同じような事例だったけど、一旦消費者の信頼を損ねるようなことが起きれば、特に食品関係は競合他社も多いから信頼回復は非常に難しいね。」


レイナ:「雪印乳業の場合は結局そのままでは消費者の信頼回復が難しいということで、牛乳なんかは雪印ブランドを捨てて、メグミルクに変わりましたよね。でもどうしてこのような不祥事が頻発するんですかね?」


タツヤ:「そうだね。やっぱりコーポレートガバナンスに問題があるからなんだ。」


レイナ:「コーポレートガバナンス?」


タツヤ:「そう。コーポレート・ガバナンスっていうのは“企業統治”とも呼ばれるんだけど、企業の意思決定の主体やその仕組みのことを言うんだよ。」


レイナ:「コーポレートガバナンスっていうのは企業を統治する人々や統治する仕組みのことを指すんですか。」


タツヤ:「ああ。法律なんかでは株主が企業の所有者と定められているから、統治の主役は株主っていうことになるけど、実際のところ企業の運営は経営者に任されているから、その経営者による企業運営をどう監査・統治するかがコーポレート・ガバナンスでは重要な問題になってくるんだ。」


レイナ:「ただ、企業というのは多くの社員が働く組織だけに管理を徹底するっていうのは非常に困難が伴いますね。」


タツヤ:「そうだね。今回の不二家の場合は東証一部上場企業といえども創業者一族が経営する同族企業だから企業運営を監査・統治することは余計難しい状況じゃないのかな。」


レイナ:「そんな企業には厳しい外部の監査役が必要になってきますね。」


タツヤ:「ああ。ただ、日本の企業の場合は経営者と親密な関係にある者が監査役を担当することが多いから、企業が抱える問題を解決するには程遠いかもしれないね。」


レイナ:「そうね。でも最近は社外から取締役を迎えて企業の活動を監視するケースもあるんじゃないですか?」


タツヤ:「確かにそういう例も増えてきてはいるよね。でも、多くのパターンはその社外取締役が経営者の友人であったり、経営情報を十分に公開していなかったりと有効に機能しているとは言い難い状況なんだよ。」


レイナ:「ということは不二家の例もそうだと思うんだけど、ある特定の経営者が長く実権を握り続けると、経営の私物化が起こって、コーポレート・ガバナンスは外部の者にとってわかりにくい状況になって不祥事を未然に防ぐということがさらに難しくなるってことですか。」


タツヤ:「まさにレイナちゃんの言うとおりだよ。日本では特に長期間にわたって経営の実権を握る経営者が多く、そのような経営者の中には企業の本来の所有者である株主の利益を無視して自分自身の利益を追求するモラルハザードが発生する問題も深刻なんだ。」


レイナ:「それじゃあ、株主はどのようにして健全なコーポレート・ガバナンスを維持することができるんですか?」


タツヤ:「うん。実際のところ、これっていう決定打があるわけじゃないんだけど、何点かの対策はあるんだ。まず第一点目は株主総会の際に企業運営にふさわしい経営者を選出し、経営にふさわしくないと判断すれば解任請求を行うこと。第二点目は社外取締役を選任し執行役員を監視させること。そして最後の第三点目は選出した経営者が株主の意向に沿って経営しているかを常に監視し、もし株主の利益を損なうような経営が発覚した場合はすぐに株主代表訴訟を起こす姿勢を示すことなんだ。」


レイナ:「株主にとって企業運営にふさわしい経営者を選出して、その後も常に監視の目を光らせることが重要なんですね。ところで経営者側からは健全なコーポレート・ガバナンスを実施するポイントというのはあるんですか?」


タツヤ:「ああ。コーポレート・ガバナンスの基本原理の一つにコンプライアンスというものがあるんだ。」


レイナ:「コンプライアンス?」


タツヤ:「そう。コンプライアンスっていうのはもともと“要求などに従ったり、応じたりする”っていう意味なんだけど、ビジネスにおいては“法令遵守”って訳されているんだ。」


レイナ:「企業は法律や社会的な規則をきっちり守らなきゃいけないってことね。」


タツヤ:「そうだね。加えて社会的な規範や倫理も守る必要があるんだよ。」


レイナ:「お金儲けのために社会性に反する行動を取ってはいけないということですね。」


タツヤ:「そう。他にも健全なコーポレート・ガバナンスを維持するには、まずは経営情報を隠すことなく開示することが最も重要になるんだ。」


レイナ:「今回の不二家もそうだったけど、小出しに不祥事が発覚してきて、消費者の不信感はピークに達したことからもそのポイントはわかりますね。」


タツヤ:「それから独立した監査機関を設置したり、従業員を含めた企業を取り巻く利害関係者と協調して進めることもポイントとなるんだよ。」


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【MBA講座:今回のTake Away】


◆コーポレート・ガバナンスとは?
→企業経営の際の意思決定の主体およびその仕組み

◆日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの問題点
1.経営者と監査役が親密な関係にある。
2.社外取締役に対する情報開示が不十分。
3.経営者が長期に実権を握り、外部からは意思決定方法がわかりにくい。

◆株主によるコーポレートガバナンスのチェック方法
1.企業運営にふさわしい経営者を選出する。
2.社外取締役に経営の健全性を監視させる。
3.自ら経営状態をチェックし、不当な行為は訴訟を起こす。

◆健全なコーポレート・ガバナンスのポイント
1.コンプライアンス(法令遵守)を徹底する。
2.十分な経営情報を開示する。
3.独立した監査機関を設置する。
4.企業を取り巻くステークホルダーとの協調を推進する。

 

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2007年01月04日
 ■ 企業の経営状況を計測するコーポレートメトリックスとは?

タツヤ:「レイナちゃん。前回はコーポレートメトリックスの収益性の指標について学んだよね。」


レイナ:「そうですね。利益率やROAなどの指標の計算方法を学びましたけど。」


タツヤ:「それじゃあ、今回残る流動性と回転率の指標を見ていくことにしようか。」


レイナ:「流動性と回転率ですか。」


タツヤ:「そう。まずは流動性指標について見ていこうか。企業っていうのは資金を調達して製造・販売活動に充てているだろう。だから資金は会社にとって血液のようなものということができるんだ。資金の回転が滞って支払い義務を果たせなくなれば、黒字の会社でも倒産することがあるんだよ。だから流動比率を算出して、短期に資金化する資産と短期に支払う負債とを比べて支払能力を評価することが重要になってくるんだ。ここでいう短期とは1年以内のことを言うんだけどね。式で表わすと次のようになるんだよ。」

 
◎ 流動比率=(流動資産÷流動負債)×100

 
レイナ:「流動比率は企業の短期面における支払能力を評価するための指標なんですね。」


タツヤ:「うん。ただ流動資産の中には現預金という実際に支払いに回せる資金だけじゃなく棚卸資産のように現金化に時間のかかるものもあるから注意が必要なんだ。そういった意味で当座比率も重要な指標になってくるんだよ。」


レイナ:「当座比率?」


タツヤ:「そう。当座比率っていうのは分子に現金預金や有価証券など短期間で資金化できる当座資産を用いて、流動負債に対する比率を表わしたものなんだ。式で表わすと次のようになるんだよ。」

 
◎ 当座比率=(当座資産÷流動負債)×100


レイナ:「ということはこの当座比率が高ければ当面の支払い能力は安全と言えるわけね。」


タツヤ:「そうだね。これら2つの指標をチェックして、常に企業の支払能力に気を配る必要があるんだよ。それじゃあ、次は回転率指標について見ていこう。」


レイナ:「いよいよコーポレートメトリックス最後の回転率指標ですね。」


タツヤ:「そう。企業の収益力は、投入した資金の効率的な運用によって利益を上げられるかどうかが決定するんだ。ここで各種の回転率が高ければ、それだけ効率的な運用が行われているっていうことになるんだよ。」


レイナ:「各種の回転率ってどんなものがあるんですか?」


タツヤ:「うん。じゃあ代表的な回転率の指標を見ていこう。まず固定資産回転率っていう指標があるんだ。式に表わすと次のようになるんだ。」

 
◎ 固定資産回転率=売上高÷固定資産

 
レイナ:「固定資産回転率っていうのは固定資産が売上に対して何回転しているか、つまり固定資産が効率よく使われているか、売上との相対的な大小でみる指標ね。」


タツヤ:「そうだね。次の指標は棚卸資産回転率なんだ。これは資本が製品・仕掛品・商品などに効率的に投入されているかを見る指標なんだ。この率が低いのは棚卸し資産を過度に保有する非効率な経営で、不良在庫がないか注意する必要もあるんだ。また、棚卸資産には粗利を上乗せ後の売上は対応すべきでないという考えから、分子には売上高の代わりに売上原価を用いる場合もあるんだ。」

 
◎ 棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産


レイナ:「棚卸資産回転率を分析することによって、資本が製品などに効率的に投入されているかがわかるってことね。」


タツヤ:「そして最後の指標が売掛金に関するものなんだ。売掛金については、売上高を売掛金で割った回転率のほかに、売掛金回転日数などもあるんだ。この日数は販売から代金回収までどれだけの期間があるかを示しているんだよ。売掛金回転日数は短い方が資金繰り上は望ましいということになるんだ。ただここで注意しなきゃいけないのは売上高のほとんどが信用販売であることが前提になっているんだ。もしそうでなければ、総売上高ではなく掛け売上だけを抽出して使用する必要があるんだよ。」


レイナ:「どうやって売掛金回転率や回転日数を算出することができるんですか?」


タツヤ:「うん。それらは次のような公式で算出することができるんだよ。」

 
◎ 売掛金回転率=売上高÷売掛金

◎ 売掛金回転日数=売掛金÷1日あたりの売上高

 
タツヤ:「ただ、これらのコーポレートメトリックスの指標を実務で活用するためには、指標をただ計算して終わりにするだけじゃあ不十分なんだ。」


レイナ:「それじゃあ、どうすればいいんですか?」


タツヤ:「ああ。過去のデータを集めてグラフ化するなどして数年間の動きをつかんだり、競合他社や業界平均水準との比較を行って、各指標からどのような意味が読み取れるか考えて意思決定に役立てることが重要になってくるんだ。」


レイナ:「そうね。ただ単にその年の財務指標を算出してもそれが果たして過去に比べて改善しているのか、同業他社に比べていいものなのかは比較してみないとわからないものね。」


タツヤ:「そうだね。ただ複数の会社について比較するときは、勘定科目名が同じでも対象としている内容が同じとは限らないので、その科目が指しているものについて可能な限り確認しておく必要があるんだ。さらに各種の指標の値の高い低いは相対的なものだから、業種によって平均的な水準がかなり違う場合もあるから注意が必要だね。」


【MBA講座:今回のTake Away】


◆コーポレートメトリックス(流動性の指標)
1.流動比率=(流動資産÷流動負債)×100

2.当座比率=(当座資産÷流動負債)×100


◆コーポレートメトリックス(回転率の指標)
1.固定資産回転率=売上高÷固定資産

2.棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産

3.売掛金回転率=売上高÷売掛金

4.売掛金回転日数=売掛金÷1日あたりの売上高


◆コーポレートメトリックス実務活用の注意点
1.時系列で比較する

2.競合他社と比較する

 

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