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2007年02月22日
 ■ ビール業界再編で話題となっているTOBとは?

レイナ:「タツヤ先輩、最近ビール業界再編の話題が新聞紙上を賑わしてますね。なんでも食品業界再編の時にも主要な役割を演じた投資ファンドのスティールパートナーズが今回も絡んでいるらしいですね。」


タツヤ:「そうだね。スティールパートナーズがサッポロビールに対してTOBを提案して経営権を握ろうと画策しているからね。サッポロビールは恵比寿にガーデンプレースという優良不動産を抱えているし、『エビスビール』というブランドでプレミアムビールの分野ではシェアNo.1の割には株価が低迷していたから、投資ファンドにとっては恰好の投資対象になったんだろうね。」


レイナ:「ところで、そのTOBって一体どんなものなんですか?」


タツヤ:「ああ。TOBっていうのはTake Over Bidの略で株式公開買付のことなんだ。」


レイナ:「株式公開買付?」


タツヤ:「そう。上場企業などの株式会社の株式を5%以上市場外から購入する時は原則TOBを実施する必要があるんだ。また、市場外での株式購入後、議決権割合が3分の1を超える場合は強制的にTOBが適用となるんだよ。」


レイナ:「TOBっていうのはそのように市場で株式を購入するのではなく、あくまでも市場外で株式を購入する手段てことですね。でも、なぜ市場で購入できる株式を市場外で購入する必要があるんでしょう?」


タツヤ:「市場で一時期に多くの株式を購入すると株価が急騰するだろう。株価が急騰すれば買収側の企業にとっては買収価格が当初の計画から大きく乖離する場合が考えられるんだ。一方でTOBによる買収だと公表した買付価格で行なわれるから資金計画も立てやすくなるメリットがあるんだよ。」


レイナ:「そうか。株価って言うのは需要と供給で決まっているから、ある期間に集中して大口の買い注文が入れば、株価が急騰しても不思議ではないものね。その点市場外で買付価格を宣言して株式を購入すれば株価の変動リスクを避けられるってことなんですね。」


タツヤ:「そういうこと。TOBには他にもメリットがあって、買付目標株数に達しない場合は既に応募している株主に株券を返して購入をキャンセルすることができるんだ。」


レイナ:「ということは、経営権を握るために過半数の株式を購入する公開株式買付を実施したとして、結局49%しか買付期間に集まらなかった場合は、買付の申し出をキャンセルができて株式を購入する必要はないってことなんですね。」


タツヤ:「ああ。市場で買付した株式の場合、目標の株式買付数に達しない場合は、市場で買い付けた株を売却する必要があって株価
の変動リスクにさらされるけど、TOBによる株式買付の場合は目標買付数に達しない場合は応募をキャンセルするだけで株式を購入する必要が無いから、失敗した場合でも資金負担のリスクが無いというメリットがあるんだ。」


レイナ:「ふーん。TOBによる企業買収にはそのようなメリットがあるんですね。」



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【MBA講座:今回のTake Away】


◆TOBとは?
→Take Over Bidの略。株式を市場外で公開買付すること。

◆TOBを実施する場合
1.上場企業などの株式会社の株式を5%以上市場外から購入する場合。
2.市場外での株式購入後、議決権割合が3分の1を超える場合。

◆TOBのメリット
1.株価の急騰による資金負担の増大を防ぐ。
2.目標買付数に達しない場合は取引をキャンセルすることができるので買付リスクが発生しない。


 

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2007年02月15日
 ■ 価格ギャップを演出したパブリシティ戦略とは?

レイナ:「タツヤ先輩、昨日朝のテレビで2箱3000円の高級ティッシュが販売されるって情報が流れていたんですけど、私も気になってサイトにアクセスしたら既に完売御礼ですって。ドラッグストアのセールだったら5箱で200円前後で買えるのにどんな人がそんな高級ティッシュを買うんですかね。」


タツヤ:「2箱で3000円とは高い価格設定だね。でも企業側とするとパブリシティ戦略の一環としてそのような高い価格設定をしたんだと思うよ。」


レイナ:「パブリシティ戦略?それって一体どんな戦略なんですか?」


タツヤ:「ああ。パブリシティ戦略っていうのは企業がテレビや新聞などのニュースとして商品やサービスを取り上げてもらえるように戦略を練っていくことなんだ。」


レイナ:「ということは今回の高級ティッシュはテレビや新聞などに取り上げてもらうために意図的に高い価格設定をしたということなんでしょうか?」


タツヤ:「そうだね。きっぱりとは言えないけどその可能性は十分にあると思うよ。」


レイナ:「でも、なぜ高い価格とパブリティ戦略が繋がるんですか?」


タツヤ:「たとえば、今回の高級ティッシュが500円程度の価格設定だったとしたら、マスコミは果たしてこの商品を取り上げたと思う?」


レイナ:「そうですね。500円程度のボックスティッシュだったら、どちらかというとありふれた価格設定だからマスコミの話題にもならなかったと思いますけど・・・」


タツヤ:「そうだろう。だから、通常価格が安い商品には非常識に高い価格を設定したり、逆に通常価格が高い商品には非常識に安い価格設定をすることによって話題性が増すんだ。」


レイナ:「企業側とするとこれまでに無かったことを行なって話題を提供し、マスコミに取り上げてもらうという戦略ですね。そういえば、毎年百貨店が1億円の福袋とか企画しますけど、これなんかも実際に売ると言うよりはマスコミに話題を提供して取り上げてもらうパブリシティ戦略なのかしら。」


タツヤ:「そうだね。ニュースというのは普段と違った話題性のある出来事を取り上げる傾向があるから、少しでもパブリシティとしてマスコミに取り上げてもらいたい時は、そのような通常では考えられないことを行えば確率が高まるって訳さ。」


レイナ:「そうしてニュースとしてマスコミに取り上げられれば、いかに高額な商品でも多くの人の目に留まって、売れる確率がそれだけ高まるってことですね。」


タツヤ:「ただ、パブリシティのメリットはそれだけじゃないんだ。」


レイナ:「他にどんなメリットがあるんですか?」


タツヤ:「ああ。たとえば、企業はテレビや新聞に広告を出す場合、数百万円から数億円の広告費を支払わなければいけないんだ。ところが記事として自社の商品やサービスが取り上げられれば、無料で宣伝できるのと同じことなんだ。つまり、数百万円から数億円の広告費を節約できるって訳さ。」


レイナ:「ニュースとして取り上げる場合は、広告としてではなく話題として取り上げられるから、企業側としてはお金を払う必要がないんですね。今回の高級ティッシュもそうですけど、特にテレビで取り上げられればその効果は計り知れないものになりますね。そういえば、捏造で大変なことになりましたけど、『あるある大事典』で取り上げられた納豆なんかも放送終了後は飛ぶように売れて手に入れることさえ難しい状況が続いていましたよね。あれなんかもパブリシティ効果と言えそうですね。」


タツヤ:「そうだね。他にもパブリティは消費者の信頼を得やすいというメリットもあるんだよ。」


レイナ:「それはどういった理由で?」


タツヤ:「たとえば、広告は企業側の言い分ばかりで消費者としてはどこかしら疑問を抱きながらその商品やサービスの情報を受け止めているんだ。ところが、パブリシティの場合、テレビ局や新聞社など第三者がその商品やサービスを評価して情報を提供するから、情報を受け取る側としては信頼しやすいんだ。」


レイナ:「本人が『この商品はいい』って言うより、第三者が『この商品はいい』って言う方が信頼性が増すっていう原理ですね。」


タツヤ:「そういうこと。だから企業とするともちろん広告などのプロモーションにも力を入れるけど、常に話題性のある商品やサービスの提供に心掛けて、マスコミに情報を提供するプレスリリースなどを通してパブリシティを成功させるための努力を行なっていく必要があるんだよ。」


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【MBA講座:今回のTake Away】


◆パブリシティ戦略とは?
→パブリシティとは、企業がテレビや新聞などのマスメディアに対して費用を負担することなく自社の商品やサービスを紹介してもらうよう働きかける活動のこと。

◆パブリシティ戦略のメリット
1.通常数百万円から数億円する広告費用を負担することなく、商品やサービスのプロモーションが行なえる。
2.一旦ニュースとしてマスメディアに取り上げられれば、多くの人の目に触れ商品やサービスが売れる確率が高まる。
3.マスメディアという第三者の立場から商品やサービスが紹介されるので、消費者の信頼度がアップする。

◆パブリシティを成功させるポイント
→価格ギャップの演出、これまでになかった商品やサービスの開発、社会的貢献活動などニュースとして話題に取り上げられそうな活動をプレスリリースを通して随時マスメディア側に伝えていくパブリシティを行っていく。

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超高級ティッシュの事例につきましてはオールアバウトで更に詳しく記事にしています。よろしかったらご訪問下さい!

『3千円の超高級ティッシュ!あなたは買う?』
http://allabout.co.jp/career/marketing/closeup/CU20070212A/

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2007年02月01日
 ■ 高すぎるWindows Vistaその訳は?PSM分析

レイナ:「タツヤ先輩、遂にWindows Vistaが発売されましたね。ニュースによれば、1月にして今年最大の大型商品という触れ込みもありますけど。」


タツヤ:「そうだね。Microsoft officeも同時にバージョンアップしたからMicrosoftとすると今年は書き入れ時だね。ところでレイナちゃんはもうバージョンアップはしたの?」


レイナ:「もちろんしてないですよ。だって、最新の機能がそこそこ使えるホームプレミアムにしたってアップグレードで2万円近くもかかるんですよ。そんなお金あったら、おいしい食事とか、ちょっとしたアクセサリーを買ったほうが賢いお金の使い方じゃないですか。」


タツヤ:「確かにMicrosoftは独占企業のようなものだから強気の価格設定ができて、アップグレードといえども世の中の常識以上の価格になっているよね。まあ、Microsoftにとっては買い替えの時にVista搭載のパソコンが売れて徐々にシェアを上げていけばいいのかもしれないけど・・・」


レイナ:「そうよ。私なんてXPで全然不便は感じないもの。高いお金を払ってまでVistaにする理由がないわ。」


タツヤ:「ただ、企業とすると今回レイナちゃんがVistaに対して思っているような『顧客がその価格に対してどのように感じるか』を知ることも重要なポイントだよね。」


レイナ:「顧客の価格に対する感受性を知るってことですか?」


タツヤ:「そう。たとえば、多くの顧客が自社製品を高いと感じれば購入する顧客が少なくなるし、逆に安いと感じれば多くなるだろう。また高いと感じてても売上が維持されていればそれは競合他社の製品とうまく差別化できている証拠にもなるんだ。」


レイナ:「確かに言われてみればそうですね。」


タツヤ:「このような顧客の価格に対する反応のことをマーケティングではプライス・センシティビティと言うんだよ。」


レイナ:「プライス・センシティビティ?」


タツヤ:「ああ。プライス・センシティビティでは顧客が価格に対して注目する程度や価格の動きに反応する程度が表わされるんだよ。」


レイナ:「でもどうやってそのプライス・センシティビティを把握することができるんですか?」


タツヤ:「うん。それはPSM分析で把握するんだ。」


レイナ:「PSM分析?」


タツヤ:「そう。PSM分析っていうのはPrice Sensitivity Measurement分析の略で、顧客がある製品の価格に対してどのような認識を持っているかを明らかにする手法なんだ。」


レイナ:「PSM分析ってなんだか難しそうですけど、具体的にはどのような方法なんでしょうか?」


タツヤ:「内容は至って簡単だよ。この分析ではまず消費者に製品の価格に対して次の4つの質問をするんだ。『いくらから高いと感じ始めるか?』、『いくらから安いと感じ始めるか?』、『いくらから高すぎて買えないと感じ始めるか?』、『いくらから安すぎて品質に問題があるのではないかと感じ始めるか?』ってね。次に消費者から得た回答をグラフに埋め込んで製品に対する消費者の認識や受容性を明らかにするってわけさ。」


レイナ:「そうなんですか?PSM分析は結構単純なものなんですね。」


タツヤ:「そう。この質問をグラフにすると4つの曲線が描かれるんだけど、この曲線が交わったポイントにいろいろ意味が込められているんだ。」


レイナ:「たとえば?」


タツヤ:「たとえば、『高すぎる』と『安い』が交わるポイントは企業にとって最も利益が高くなるんだけどこれ以上価格を高くすると誰も製品を買ってくれないという最高価格になるし、『高い』と『安い』が交わるポイントは消費者にとってこの製品ならこの価格は仕方がないと思う妥協価格になるんだ。また『安すぎる』と『高い』が交わる価格はこれ以上安くすると消費者が『品質に問題があるんじゃないか』って疑い始める製品品質保証価格ってことだし、最後の『高すぎる』と『安すぎる』が交わるポイントは消費者にとって高すぎず安すぎず、丁度いい価格ということで理想価格になるっていうわけさ。」


レイナ:「へぇー、面白いですね。Microsoftは独占企業のようなものだから、きっとVistaに最高価格を設定しているんですね。製品品質保証価格と言わないまでも、妥協価格や理想価格だったら私でもアップグレードしたかもしれないのに。」


タツヤ:「はははっ、そうだね。やはり、企業とすると自社の都合による価格設定だけでなくこのようなPSM分析を通した顧客の観点からの価格設定も重要になってくるんだけどね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】


◆プライス・センシティビティとは?
→顧客の価格に対する受容性のこと。

◆PSM分析とは?
→『いくらから高いと感じ始めるか?』、『いくらから安いと感じ始めるか?』、『いくらから高すぎて買えないと感じ始めるか?』、『いくらから安すぎて品質に問題があるのではないかと感じ始めるか?』という4つの質問を通して『最高価格』、『妥協価格』、『理想価格』、『製品品質保証価格』を探っていく分析手法。

◆PSM分析における『最高価格』
→企業にとって最も利益が高くなるが、これ以上価格を高くすると誰も製品を買ってくれないという価格。『高すぎる』と『安い』が交わるポイント。

◆PSM分析における『妥協価格』
→消費者にとってこの製品ならこの価格は仕方がないと思う価格。『高い』と『安い』が交わるポイント。

◆PSM分析における『理想価格』
→消費者にとって高すぎず、安すぎず丁度いい価格。『高すぎる』と『安すぎる』が交わるポイント。

◆PSM分析における『製品品質保証価格』
→消費者が『品質に問題があるのでは?』と疑い始める価格。『安すぎる』と『高い』が交わるポイント。

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グラフ付きの解説は下記リンクからご利用いただけます。

http://www.mbasolution.com/onepointmba/lesson128.htm

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