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2007年03月22日
 ■ ブランドが与える企業へのメリット、消費者へのメリット

レイナ:「タツヤ先輩、去年立ち上げた女性用衣料を取り扱う事業部なんですけど当初の計画から大幅に乖離して不振らしいですね。特にブランディングがうまくいってないみたいなんですけど・・・」

タツヤ:「製品のブランディングは企業にとってもちろんメリットのあることだけど、同時に消費者にとってもメリットのあることだからなあ。だから、ブランドが確立できるかどうかで業績に大きな違いができることになるんだけどね。」

レイナ:「えっ、ブランドっていうのは企業にとってメリットのあることだと思ってましたけど、消費者にとってもメリットのあることなんですか?」

タツヤ:「ああ、一般的にブランドっていうのは企業が消費者に製品やサービスを売る場合に役に立つだけだと思われているみたいだけど、実はそれだけじゃないんだ。確かに情報の送り手である企業にとってブランドというのは大きなメリットがあるんだけど、同時に情報の受け手である消費者にとってもメリットがある話なんだ。」

レイナ:「そうなんですか?一体、消費者がブランドによってどのようなメリットを享受できるか興味深いですね。」

タツヤ:「そうだな、それじゃあ今日はそのブランドが与えるメリットについて整理してみようか。まずはレイナちゃんに聞きたいんだけど、企業にとってブランドのメリットはどんなものがあると思う?」

レイナ:「そうですね。簡単なところで言えば他社の製品と差別化することができるということかしら。」

タツヤ:「それは特に重要なポイントだね。他にもブランドネームなどを通して製品への意味づけが行えたり、顧客のロイヤリティを確保できたりというメリットもあるんだ。」

レイナ:「やっぱりあるブランドのファンになると、そのブランドばかりを購入する顧客っていうのは必ずいますからね。私なんかもルイヴィトンの熱狂的なファンで、その名前を聞いただけでなんだか欲しくなっちゃって、それ以外のブランドには目もくれないほどのロイヤリティだものね。」

タツヤ:「そうだろう。それに加えてブランドっていうのは競争優位や財務的成果の源泉にもなるんだよ。」

レイナ:「ライバルよりも多く売れて、しかも利益率が高くなるから、企業の収益にも貢献するってことね。」

タツヤ:「そう。このような観点に立てば、ブランドっていうのは企業にとって“モノを言わない優秀な営業マン”って言うこともできるよね。それから、このブランディングによって競合他社に対して競争優位を確立することもできるし、もし強いブランドを育成することができれば企業の売上向上に多大な影響を与えることにもなるしね。」

レイナ:「企業のブランドから受けるメリットはわかりましたけど、今度は逆に消費者が受けるブランドのメリットにはどんなものがあるんですか?」

タツヤ:「ああ、消費者にとってブランドっていうのは製品の製造元を識別する効果あるんだ。」

レイナ:「それってどんなメリットになるんですか?」

タツヤ:「つまり、ブランドによって責任の所在がはっきりするし、製品の購入を決定する時に品質の低いものを購入するというリスクを軽減することができるんだよ。」

レイナ:「そうか。やっぱり有名なブランドであれば初めてでも安心して購入できるし、もし以前に購入して満足していなければ二度とそのブランドは購入しないってことになるものね。」

タツヤ:「また、ブランドによって消費者は製品を探す手間やコストを省くことができるってことも言えるよね。たとえば、消費者はブランドを通して自分がなりたいイメージを投影させることによって目的の製品を探す手間が省けるからね。」

レイナ:「そういえば、私もファッション雑誌なんかでモデルが着ている服なんか見ると『こんな風になりたい』って思ってお店に買いに行くことがよくあるわ。」

タツヤ:「そうだろう。このようにブランドと消費者の関係っていうのはある種の『約束』とみることができるんだ。消費者はそのブランドの製品やサービスであれば、一貫して安定した品質、適切な価格、適切なプロモーション、適切な流通によって提供されると認識しているから、ロイヤリティを高めてそのブランドを購買し続けることになるのさ。」

レイナ:「そして企業側とするとその消費者との約束を守るために信用や保証を提供し続けることがブランド戦略っていうことになるんですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】


◆ブランドがビジネスに与える影響とは?
<企業に与えるメリット>
1.他社製品との差別化
2.製品への意味づけ
3.顧客ロイヤリティの確保
4.競争優位性の確保
5.高い収益性の確保

<消費者に与えるメリット>
1.責任の所在の明確化
2.品質リスクの軽減
3.探索する手間やコストの軽減

◆ブランドとは?
→ブランドとは企業と消費者との『約束』であり、企業はこの『約束』を守るために信用や保証を提供し続ける必要がある。

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2007年03月08日
 ■ 為替変動のリスク要因“円キャリー取引”って何?

レイナ:「タツヤ先輩、2月末に上海株式市場の暴落に始まった世界同時株安で日本の市場もおかしくなってきていますよね。」


タツヤ:「そうだね。日経平均株価も1万8千円台に乗せたと思ったらこの世界同時株安で1万6千円台まで下落しちゃっただろう。」


レイナ:「世界同時株安以降、円レートも急激に円高に振れたから、輸出企業が多い日本企業の先行きを不安視して更に株が売り込まれるという展開でしたね。」


タツヤ:「為替も120円台だったのが急激に115円台まで円高が進んだからね。ただ、この円高には現代特有の事情が背景にあるんだよ。」


レイナ:「その円高の原因て何なんですか?」


タツヤ:「ああ、その原因は円キャリー取引と呼ばれるものなんだ。」


レイナ:「円キャリー取引?」


タツヤ:「そう。今、日本はついこの前利上げしたとはいえ政策金利は0.5%だろう。この金利は世界の主要国であるアメリカの5.25%やヨーロッパの3.5%に比べて異常に低い水準にあるんだ。通常レイナちゃんだったらこのような金利差があったらどうする?」


レイナ:「そうですね。金利の安いところで借りて、金利の高いところで運用すれば、自己資金が無くても利鞘を稼ぐことができますね。」


タツヤ:「そうだろう。だから、レイナちゃんと同じように世界のヘッジファンドはこの金利差を利用して、利鞘を稼ぐ取引を拡大しているんだ。この取引が円キャリー取引と呼ばれるものなんだ。」


レイナ:「ということは日本で低金利で資金を調達し、それを金利の高い欧米で運用して利益を上げる取引が円キャリー取引っていうことですね。」


タツヤ:「そう。だから日本で円を借りて、それを現地の通貨に変換して運用するということで円キャリー取引は円安の要因にもなっているんだ。」


レイナ:「円を売って現地通貨を買うということで円安を誘発するんですね。でもそれがなんで今回の逆の円高に繋がったんですか?」


タツヤ:「ああ、今回の世界同時株安で日本円で調達して運用していた資金を解消する流れができたんだ。ということは円キャリー取引の逆の流れだから、急激な円高が進む要因になったっていうことさ。」


レイナ:「同時株安で世界の金融市場が不安定になったから、世界のヘッジファンドが一旦円キャリー取引を解消してリスクを避ける行動に出たんですね。だから、現地通貨を売って円を買い戻す動きが加速して円高に振れたってことね。それだけ円キャリー取引は為替市場に与えるインパクトが大きいってことが言えますね。」


タツヤ:「そうだね。円キャリー取引の主役はヘッジファンドなんだけど、個人においても今爆発的な人気を誇る少額の資金で数倍の為替売買取引が可能なFXなども円キャリー取引に分類されるんだ。これらの取引を合わせた規模は正確な数字は把握されていないけど今では数十兆円と言われているんだ。だからこの円キャリー取引は現在の為替水準を決定する大きな要因になっているんだよ。」


レイナ:「貿易による売上が大きい企業にとっては安定した為替相場が理想ですけど、現代は実需に基づく為替の変動よりも、投資による為替の変動の方が影響力を強めているから、事業計画を立てるのが難しそうですね。」


タツヤ:「たとえばトヨタ自動車などは1円円高に振れると300億円の利益が吹き飛んでしまうと言われているんだ。このような企業にとっては為替の乱高下というのは極力避けたいところなんだけどね。」


レイナ:「今日本経済を牽引している主要企業は輸出が主力の企業ですものね。そのような企業にとってはこの円キャリー取引っていうのは頭の痛い存在なんですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】


◆円キャリー取引とは?
→資金を金利の低い円で調達し、現地通貨に交換して株式や債券、商品先物などで運用し、利益を上げる金融取引。

◆円キャリー取引の為替相場に与える影響
→円を売って現地通貨を買う取引なので円安の要因になる。円キャリー取引の解消は逆に現地通貨を売って、円を買う取引なので円高の要因になる。世界同時株安後の急激な円高は円キャリー取引の解消に伴って起こった。

◆円キャリー取引の主要プレーヤー
→機関投資家などから大口の資金を集めて運用するヘッジファンドが主要プレーヤーであるが、現在は少額でも数倍の為替売買ができるFX取引が個人投資家を中心に人気を集め、円キャリー取引の一部を担っている。

◆円キャリー取引の規模
→統計がないために正確な規模は不明であるが、財務省の財務官によれば数十兆円の規模に達している。

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