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2007年05月17日
 ■ インターネット全盛時代の新たな消費者心理プロセスAISASって何?

第134回:インターネット全盛時代の新たな消費者心理プロセスAISASって何?


レイナ:「タツヤ先輩、見て下さいよ。このバッグ。先日東京ミッドタウンのショップで買ったんですけど、インターネットで評判の商品だったから、手に入れるのも結構難しかったんですよね。」

タツヤ:「ほんとにお洒落なバッグだね。でもレイナちゃん、手に入れたと同時に自分のブログに写真付きでアップしたりしたんじゃない?」

レイナ:「え!?どうして私がこのバッグを買ったことを写真付きでブログにアップしたことを知ってるんですか?まさか、タツヤ先輩私のブログをチェックしてるんですか?」

タツヤ:「いやいや、レイナちゃんがどんなブログを開設しているかはわからないけど、レイナちゃんの行動は何となく想像できるよ。」

レイナ:「どうしてですか?」

タツヤ:「ああ、最近の消費者の行動は一定のパターンがあることが消費者行動分析から判明しているからなんだ。」

レイナ:「消費者行動のパターン?」

タツヤ:「そう。インターネットが発達するまでは消費者行動のパターンというのはAIDMAの法則というものに従っていたんだ。」

レイナ:「そういえば以前AIDMAの法則は学びましたね。確か消費者はAttention(注意)→Interest(興味)→Desire(欲望)→Memory(記憶)→Action(行動)というプロセスを経て購買活動を起こすということでしたよね。」

タツヤ:「そうだね。ところがWeb2.0といった消費者が自由に情報発信できる現代ではそのプロセスが変化して、AISAS、つまりAttention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)というように変わってきたんだ。」

レイナ:「そうか。私の場合もインターネットで商品情報を発見して興味を持つと、次はその商品に関する情報を検索して評判を確認したわ。そして、商品が確かなものと分かった段階でお店に出掛けて商品を購入して、その感動を誰かに伝えたいからブログに写真付きでアップして体験を共有した。つまりこれがAISASの法則に則った行動になるってことなんですね。」

タツヤ:「そう。このAISASっていうのは電通が2004年に提唱した比較的新しいマーケティングの法則だけど、このAISASの変化形でAISCEASというのもあるんだ。」

レイナ:「AISCEAS?」

タツヤ:「うん。AISCEASは消費者はAttention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Compare(比較)→Examination(検討)→Action(行動)→Share(共有)という行動プロセスを経るというものなんだよ。」

レイナ:「AISCEASはAISASよりも細かく消費者行動プロセスを表すものなんですね。どちらかというとAISCEASの方が現実の消費者行動にマッチしていそうですね。」

タツヤ:「このような消費者行動のパターンがわかれば、それをマーケティング戦略に活かすことができるんだ。」

レイナ:「たとえば?」

タツヤ:「ああ、たとえば最近テレビや電車の中刷りなどでも“続きはWebで”とか検索窓があってそこにキーワードを入れて検索して下さいというような広告があるだろう。」

レイナ:「そういえば最近特定のキーワードで検索してくれっていう広告がやたら増えてきましたね。」

タツヤ:「そのようにテレビや新聞、電車の中刷りなどで顧客の興味を引けば、顧客が検索して情報を入手するという行動パターンがわかっているので、Webサイトに顧客が求める情報を提供すればいいんだ。サイトに十分な情報があれば顧客は次の行動プロセスに移る可能性が高まるからね。このような手法はテレビや新聞などのマスメディアとインターネットを連動させるプロモーション手法としてクロスメディア戦略と呼ばれているんだよ。」

レイナ:「クロスメディア戦略ですか?」

タツヤ:「そう。加えて最後の部分のShareという行動に関して言えば、最近ではインターネット上の口コミで商品の購入を決定する人も増えてきているんだ。特にその分野のカリスマ的な人の発言は効果絶大で、企業はそのようなカリスマ的な人に商品を提供してブログを通じて商品の口コミを広げる活動も行っているんだよ。もちろんその商品の口コミはやらせだと逆効果だけどね。」

レイナ:「企業とするとAISASやAISCEASなど消費者の行動パターンを分析してその都度効果的なマーケティング戦略を実施していけば着実な成果があげられるってことですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆AISASとは?
→インターネット時代における消費者の行動プロセス。以前はAIDMA理論に基づいてマーケティング戦略が立てられていたが現在ではAttention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Action(行動)→Share(共有)というAISASに基づいてプロモーション戦略を構築する企業も多い。

◆AISCEASとは?
→AISASと同じように新たな消費者の行動プロセスを表したもの。AISASをより細かく分類して、Attention(注意)→Interest(興味)→Search(検索)→Compare(比較)→Examination(検討)→Action(行動)→Share(共有)という7段階の行動パターンに分けている。

◆AISASやAISCEASに基づいた最新のプロモーション戦略
→テレビや新聞などマスメディアとインターネットを活用したクロスメディア戦略を採用する企業が増加。また、インターネット上で口コミを利用してヒット商品を生み出すマーケティングも新しい消費者の行動プロセスに基づいてマーケティング戦略が組み立てられている。

<関連MBA講座>

『AIDMAとAMTULモデル』
http://mbasolution.com/onepointmba/lesson83.htm

『インターネット時代の最新マーケティングAIDEESとは?』
http://mbasolution.com/onepointmba/lesson94.htm

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2007年05月03日
 ■ 三角合併とは?

第133回:海外企業の新たな日本企業買収法『三角合併』って何だ?


レイナ:「タツヤ先輩、この5月からいよいよ三角合併が解禁になったって新聞でも話題ですけど、一体三角合併って何なんですか?」

タツヤ:「ああ、三角合併っていうのは国境を越えた企業買収の一つの手法なんだ。」

レイナ:「国境を越えた企業買収?」

タツヤ:「そう。これまで海外企業が日本企業を買収する場合は現金を用意して買収する必要があったんだけど、この三角合併によって現金を用意する必要が無くなったんだ。」

レイナ:「現金を用意せずに買収するってどういうことですか?」

タツヤ:「それは株式交換の方法を取るということなんだよ。」

レイナ:「株式交換?」

タツヤ:「ああ、株式交換ていうのは合併する企業の株式を合併される企業の株主に割り当てて買収を行う手法で、日本企業同士では1999年の商法改正で認められるようになったんだ。その手法を海外企業にも認めたのが今回の三角合併ということなんだよ。」

レイナ:「ということは、海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てることで買収を行えるってことなんですね。でもそれじゃあなんで三角合併っていうんですか?」

タツヤ:「それは、この三角合併の仕組みがただ単に海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てるだけじゃないからだよ。」

レイナ:「と言いますと・・・」

タツヤ:「まず、海外企業は日本に100%出資の子会社を設立するんだ。この子会社と日本企業を合併させて、対価として親会社、つまり海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てるという仕組みになっているんだよ。」

レイナ:「と言うことはこの三角合併には海外企業、海外企業の100%出資の日本企業、そして合併される日本企業の三社が介在する合併の仕組みだから三角合併って言われるんですね。」

タツヤ:「その通り。この仕組みは新会社法の『合併対価の柔軟化』規定によって、合併される企業に対して現金やその他の財産を交付してもいいと決められたために実現されたものなんだよ。」

レイナ:「でもこの三角合併にはどんなメリットがあるんですか?」

タツヤ:「ああ、海外企業は株式交換という手法を取ることができるようになると、日本企業を買収する際に多額の現金を用意する必要がなくなるんだ。」

レイナ:「そういえば、以前成長著しいIT企業が自社の高い株価を背景に次々と株式交換で企業買収を行っていましたけど、これと同じことが三角合併にも言えるわけですね。」

タツヤ:「そう。株式交換では株式の時価総額が高い企業が有利になるんだ。そうすると世界の時価総額の高い企業はアメリカのエクソンモービルやGE、マイクロソフト、シティグループなど海外企業がトップを占めているから、日本企業にとっては外資の買収攻勢にさらされる危険性もあるんだけど、外資による直接投資を促進する意味でこの三角合併を解禁することになったんだよ。」

レイナ:「ただ、三角合併での株式交換では、合併される日本企業の株主は海外企業の株式を割り当てられるから、面倒なことになりそうね。」

タツヤ:「そうだね。現行の制度によれば合併される日本企業の株主は海外企業の株式を手にした段階で株式譲渡益課税が科せられることになっているんだけど、海外企業の100%子会社が一定の条件を満たせば実際に海外企業の株式を売却するまで課税を繰り延べることができるというように財務省が決定したんだよ。」

レイナ:「いずれにしろ、この三角合併の解禁でどのように日本における企業買収が変化するのか、今後に注目ですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆三角合併とは?
→国境を越えた企業買収の手法。海外企業は日本に設立した100%子会社を通して日本企業を吸収合併する。その対価として海外企業の株式を支払い、買収を完了させる。日本企業同士の株式交換による企業買収の仕組みを海外企業に解禁するもの。

◆三角合併の法律的背景
→新会社法において「合併対価の柔軟化」が規定され、これまで吸収合併の際は吸収する側の企業の株式を吸収される側の企業の株主に割り当てるしかできなかったものを現金やその他の財産にて賄うことが可能になった。

◆三角合併のメリット
→海外企業は多額の現金を用意しなくても日本企業を“実質的に買収”することが可能になった。時価総額の大きい企業にとっては非常に有利な仕組み。

◆被合併先企業の株主への対応
→現行の制度では被合併先企業の株主は海外企業の株式を割り当てられた段階で株式譲渡益課税を支払わなければならないが、海外企業の100%子会社が一定の条件を満たせば、実際に株式を売却するまで課税を繰り延べることができる。

 

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