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2007年05月03日

 ■ 三角合併とは?

第133回:海外企業の新たな日本企業買収法『三角合併』って何だ?


レイナ:「タツヤ先輩、この5月からいよいよ三角合併が解禁になったって新聞でも話題ですけど、一体三角合併って何なんですか?」

タツヤ:「ああ、三角合併っていうのは国境を越えた企業買収の一つの手法なんだ。」

レイナ:「国境を越えた企業買収?」

タツヤ:「そう。これまで海外企業が日本企業を買収する場合は現金を用意して買収する必要があったんだけど、この三角合併によって現金を用意する必要が無くなったんだ。」

レイナ:「現金を用意せずに買収するってどういうことですか?」

タツヤ:「それは株式交換の方法を取るということなんだよ。」

レイナ:「株式交換?」

タツヤ:「ああ、株式交換ていうのは合併する企業の株式を合併される企業の株主に割り当てて買収を行う手法で、日本企業同士では1999年の商法改正で認められるようになったんだ。その手法を海外企業にも認めたのが今回の三角合併ということなんだよ。」

レイナ:「ということは、海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てることで買収を行えるってことなんですね。でもそれじゃあなんで三角合併っていうんですか?」

タツヤ:「それは、この三角合併の仕組みがただ単に海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てるだけじゃないからだよ。」

レイナ:「と言いますと・・・」

タツヤ:「まず、海外企業は日本に100%出資の子会社を設立するんだ。この子会社と日本企業を合併させて、対価として親会社、つまり海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てるという仕組みになっているんだよ。」

レイナ:「と言うことはこの三角合併には海外企業、海外企業の100%出資の日本企業、そして合併される日本企業の三社が介在する合併の仕組みだから三角合併って言われるんですね。」

タツヤ:「その通り。この仕組みは新会社法の『合併対価の柔軟化』規定によって、合併される企業に対して現金やその他の財産を交付してもいいと決められたために実現されたものなんだよ。」

レイナ:「でもこの三角合併にはどんなメリットがあるんですか?」

タツヤ:「ああ、海外企業は株式交換という手法を取ることができるようになると、日本企業を買収する際に多額の現金を用意する必要がなくなるんだ。」

レイナ:「そういえば、以前成長著しいIT企業が自社の高い株価を背景に次々と株式交換で企業買収を行っていましたけど、これと同じことが三角合併にも言えるわけですね。」

タツヤ:「そう。株式交換では株式の時価総額が高い企業が有利になるんだ。そうすると世界の時価総額の高い企業はアメリカのエクソンモービルやGE、マイクロソフト、シティグループなど海外企業がトップを占めているから、日本企業にとっては外資の買収攻勢にさらされる危険性もあるんだけど、外資による直接投資を促進する意味でこの三角合併を解禁することになったんだよ。」

レイナ:「ただ、三角合併での株式交換では、合併される日本企業の株主は海外企業の株式を割り当てられるから、面倒なことになりそうね。」

タツヤ:「そうだね。現行の制度によれば合併される日本企業の株主は海外企業の株式を手にした段階で株式譲渡益課税が科せられることになっているんだけど、海外企業の100%子会社が一定の条件を満たせば実際に海外企業の株式を売却するまで課税を繰り延べることができるというように財務省が決定したんだよ。」

レイナ:「いずれにしろ、この三角合併の解禁でどのように日本における企業買収が変化するのか、今後に注目ですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆三角合併とは?
→国境を越えた企業買収の手法。海外企業は日本に設立した100%子会社を通して日本企業を吸収合併する。その対価として海外企業の株式を支払い、買収を完了させる。日本企業同士の株式交換による企業買収の仕組みを海外企業に解禁するもの。

◆三角合併の法律的背景
→新会社法において「合併対価の柔軟化」が規定され、これまで吸収合併の際は吸収する側の企業の株式を吸収される側の企業の株主に割り当てるしかできなかったものを現金やその他の財産にて賄うことが可能になった。

◆三角合併のメリット
→海外企業は多額の現金を用意しなくても日本企業を“実質的に買収”することが可能になった。時価総額の大きい企業にとっては非常に有利な仕組み。

◆被合併先企業の株主への対応
→現行の制度では被合併先企業の株主は海外企業の株式を割り当てられた段階で株式譲渡益課税を支払わなければならないが、海外企業の100%子会社が一定の条件を満たせば、実際に株式を売却するまで課税を繰り延べることができる。

 

投稿者 MBA : 2007年05月03日 12:22