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2007年06月28日
 ■ ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(後編)

第137回:ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(後編)


タツヤ:「レイナちゃん、前回はイノベーションの7つの機会のうち、産業の内部にある4つの機会について学んだよね。」

レイナ:「ええ、産業内部にあるイノベーションの機会は『予期せぬ成功や失敗』、『ギャップの存在』、『ニーズの存在』、『産業の構造変化』ということでしたね。」

タツヤ:「そうだね。今回は残りの3つ。産業外部にある3つのイノベーションの機会について学んでいこうか。」

レイナ:「産業の外部に存在する要因を基にイノベーションの機会を発見するってことですね。」

タツヤ:「そう。早速まず一つ目の機会なんだけど、それは人口構造の変化なんだ。」

レイナ:「人口構造の変化って、人口の構成が変わることですよね。たとえば、今の日本で言えば高齢者が増えて、逆に子供が少なくなったっていう。」

タツヤ:「ああ、レイナちゃん言ったように今の日本は少子高齢化が進んでいるだろう。だから、この人口構造の変化のトレンドを見極めて先取りすることによって、イノベーションを起こすことが可能になるんだ。」

レイナ:「たとえば、高齢化社会の到来を予測して高齢者がより便利に暮らせる革新的なビジネスを考えたり、少子化によって若年層などの働き手が少なくなることを予測して労働生産性を上げるような商品を開発したりしてイノベーションの機会を広げることができるってことですね。」

タツヤ:「具体的にはいろいろな商品やサービスがあるけど大体そんなところだね。次は二つ目の機会として認識の変化ということが挙げられるんだ。」

レイナ:「認識の変化って一体どういうことですか?」

タツヤ:「うん。たとえば、さっき言った高齢化とか少子化なんていうのは取りようによってはポジティブにもネガティブにも取れるだろう。」

レイナ:「そうですか?少子化なんて言うのは子供向けの商品やサービスを取り扱う企業にとってはネガティブな状況としか思えないんですけど。」

タツヤ:「そうでもないよ。少子化っていうことは子供が少なくなるってことだろう。だから一人の子供あたりにかけるお金っていうのは多くなる傾向があるんだ。現実に今では“シックスポケット”と呼ばれて一人の子どもに両親とその両方の親の6つの資金の出どころがあるとされているんだ。」

レイナ:「そうか。子供向けの商品を扱う企業は子供というよりはその資金の出どころとなる両親や祖父母をターゲットにしてイノベーションを起こせばいいんですね。」

タツヤ:「その通り。だから、少子化という現実に悲観的になるんじゃなくて、逆に一人当たりの子供にかける予算が高まるから、高付加価値の商品を提供するビッグチャンスが到来すると発想を転換することによって新たなイノベーションの機会が現れるんだよ。」

レイナ:「気持ちの持ちようでイノベーションの機会が変わるって面白いですね。」

タツヤ:「そうだね。そして最後の三番目は新たな知識を獲得することとされているんだよ。」

レイナ:「やっぱり、産業の外部にアンテナを張って常に新しい知識を獲得することによって、業界を変革するようなイノベーションを起こすことができるようになるんですね。」

タツヤ:「そう。たとえば、世界的な優良企業のビジネスプロセスを分析してそこから得た知識を自社に取り入れることによって革新的な商品やサービス、業務プロセスを実現することが可能になるからね。新たな知識の獲得は企業のイノベーションにとって必要不可欠のものになるんだよ。」

レイナ:「ということは産業外部にあるイノベーションの機会を整理すると『人口構造の変化』、『認識の変化』、『新しい知識の獲得』の3つということになるんですね。」

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【MBA講座:今回のTake Away】

◆産業の外部にあるイノベーションの機会
1.人口構造の変化
→ 高齢化、少子化など将来確実に訪れる人口構造の変化を予測することによって、先回りしてイノベーションを起こすことが可能になる。

2.認識の変化
→ある事象をポジティブにとらえるか、ネガティブにとらえるかによって結果が大きく変わってくる。物事をポジティブにとらえることによってイノベーションの機会が拡大する。たとえば、少子化というのは子供用の商品やサービスを取り扱う企業にとってはネガティブなニュースであるが、子供一人当たりにかける金額が大きくなるチャンスととらえ商品開発を行うことによりイノベーション機会は拡大する。

3.新しい知識の獲得
→知識は陳腐化していくので、常に新しい知識を獲得することにより、イノベーションを促進することが可能になる。逆に言えば、新しい知識を獲得し続けなければイノベーションを起こすことは不可能である。

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2007年06月14日
 ■ ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(前編)

第136回:ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(前編)


レイナ:「タツヤ先輩、最近うちの会社の業績も停滞気味ですね。この状況を何とか打破しなきゃいけないって部長もしゃかりきになってますよ。」

タツヤ:「そうだね。このところあまりいいニュースがないよね。やっぱりこの停滞した現状を打破するにはイノベーションの機会を発見するしかないんだけどね。」

レイナ:「イノベーション?」

タツヤ:「そう。イノベーションっていうのは、事業の革新を行うことでドラッカーの経営論では7つの機会があるとされているんだ。」

レイナ:「へぇー。7つもイノベーションを行う機会があるんですか?」

タツヤ:「そう。そのうち4つは産業の内部、3つは産業の外部にある機会に分けられるんだけどね。今回は産業の内部にある4つのイノベーション機会についてみていこうか。」

レイナ:「産業の内部にある4つの機会か。それって一体どんなものなんですか?」

タツヤ:「ああ、まず一つ目は“予期せぬ成功と失敗”と呼ばれるものなんだ。この予期せぬ成功や失敗の中から新たな事業の芽が出ることがあるんだよ。」

レイナ:「企業の思惑とは外れたところから、新しい事業が育っていくことなんかもあるんだ。」

タツヤ:「そう、たとえばスリーエムはかつて強力な接着剤を研究していた際に、粘着力はあるんだけどはがれやすい接着剤を開発したんだ。」

レイナ:「接着剤なんてよくくっつくかどうかが商品選びのポイントになるから、はがれやすい接着剤なんて完全な失敗ですね。」

タツヤ:「確かに誰もがレイナちゃんのようにように失敗作だと思ったんだけど、この失敗から革新的な商品が生まれたんだ。」

レイナ:「えっ、そんな失敗からどんな商品が生まれたんですか?」

タツヤ:「ポストイットだよ。簡単に貼れて、しかもはがれやすいポストイットを開発して各企業の秘書に配布したところ非常に好評を得て、瞬く間に口コミが広まって大ヒット商品になったんだよ。」

レイナ:「革新的なヒット商品のポストイットが発明された背景にはそんな予期せぬ失敗があったんですね。」

タツヤ:「そういうこと。次に2番目の機会なんだけど、2番目の機会は“ギャップの存在”なんだ。現実には技術的なものや業績的なものなど必ずギャップが存在するんだけど、このギャップをどうにかして埋めることができないかと考えることによってイノベーションを起こすことができるんだよ。」

レイナ:「たとえば、インターネットなんかは以前大きなファイルや画像の多いサイトが増えてダウンロードにすごく時間がかかるという技術的な問題があったけど、ADSLや光ファイバーなどの技術を開発して、技術のギャップを解消したイノベーションなどがこの機会にあてはまりそうですね。」

タツヤ:「そうだね。ITの分野などは特に技術ギャップによるイノベーションの事例が多く見られる産業だと思うよ。それじゃあ、続いての機会なんだけど、3番目は“ニーズの存在”なんだ。企業は生活者のニーズを明らかにして、それを満たす方法を考えることによってイノベーションを起こすことができるんだよ。」

レイナ:「ニーズか。人の欲求って尽きることがないですからね。私なんか今はどうやって楽して痩せるかってことばっかり考えてますよ。(笑)」

タツヤ:「そんなレイナちゃんのニーズを満たすためにただ座っているだけでシェイプアップできる機械を開発したらどうなる?」

レイナ:「あっ、乗馬型のマシンですね!座ってるだけでフィットネスができるっていう。私もそんな機械が欲しかったんです!」

タツヤ:「こんな風に生活者のニーズに耳を傾けているとそんな今までにない革新的な商品を開発するヒントを得ることができるってことさ。それじゃあ、最後の4番目。4番目の内部機会は“産業の構造変化”なんだ。産業構造は時代とともに変化していくんだけど、この産業構造が変化する時がイノベーションの機会になるんだよ。」

レイナ:「産業構造の変化か。たとえば、インターネットが産業として主流になってきた現代ではWeb2.0を標榜するブログやSNSなんていう革新的なサービスが次々に登場しましたね。今後は携帯電話での様々なインターネットサービスなんかが期待できそうですね。」

タツヤ:「そうだね。このように産業の内部だけを見回してもいろいろなイノベーションの機会がそこかしこにあるはずなんだ。だから企業としては機会を見つけたらそれを逃さず、イノベーションに繋げて継続的に生活者に新たなものを提供していくことがビジネス成功の秘訣になるってことだね。」

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【MBA講座:今回のTake Away】

◆イノベーションとは?
→常に革新的な商品やサービスを開発して需要を切り開いていくこと。

◆産業の内部にあるイノベーションの機会
1.予期せぬ成功と失敗
→ 企業の予期せぬ成功や失敗で革新的な商品が生まれる可能性がある。たとえば、ポストイットは強力な接着剤を開発しようと試みたスリーエムが“粘着力はあるけれどもはがれやすい接着剤”という失敗から生まれた画期的な商品。

2.ギャップの存在
→技術的な問題がある場合にそれを解消する商品やサービスを開発することによりイノベーションを達成することができる。たとえば、ファイルの大容量化に伴ってインターネット回線の大容量化を実現する技術の開発など。

3.ニーズの存在
→企業は生活者のニーズを明らかにし、それを満たすための商品やサービスを提供することにより、爆発的なヒット商品を生み出すことができる。たとえば、楽して痩せたい人向けに乗馬型フィットネスマシンを開発するなど。

4.産業構造の変化
→産業構造は時代と共に変化するが、産業構造が変化した時にイノベーションの機会が現れる。たとえば、インターネットが産業の主流になることによって、『セカンドライフ』など仮想現実で収入が得られるといった画期的なサービスが提供される。

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2007年06月01日
 ■ マーケティングを左右する顧客の5つのタイプとは?(イノベーター理論とは?)

第135回:マーケティングを左右する顧客の5つのタイプとは?


レイナ:「タツヤ先輩、最近ボトルで1000円ほどする高級シャンプーが続々と発売されるじゃないですか。私なんかは“新し物好き”だから新製品が出ると真っ先に飛びついちゃうんですよね。」

タツヤ:「そういえばレイナちゃんはいつも流行の最先端をいくような買い物が多いよね。俺なんてじっくりその製品の評判や評価を確認しないと購入しないんだけど。」

レイナ:「ほんとタツヤ先輩は仕事もそうですけど、買い物に対しても慎重派ですよね。インターネットなんかで十分な情報をチェックして納得した上でしか買い物をしないんだから・・・」

タツヤ:「まあまあ、お互いに相手の消費スタイルを指摘し合ってもしょうがないよ。でもその消費スタイルにはマーケティング上、重要ポイントが隠されているって知ってた?」

レイナ:「いいえ。ところでその消費スタイルに隠された重要ポイントって何ですか?」

タツヤ:「ああ、企業としては市場で製品を販売する際はどのようなタイプの顧客が製品のライフサイクル上のどの時期に購入するかを把握することによりうまくマーケティングを軌道に乗せることができるってことなんだ。この場合の顧客のタイプ分けにはスタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授によって確立されたイノベーター理論というものが利用されているんだけどね。」

レイナ:「イノベーター理論?」

タツヤ:「そう。イノベーター理論では消費者を製品購入に対する態度で5つのタイプに分類しているんだ。」

レイナ:「その5つのタイプにはどんなものがあるんですか?」

タツヤ:「ああ、イノベーター、オピニオンリーダー、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードというものなんだよ。」

レイナ:「やけに難しいカタカナ用語ですね(^^;」

タツヤ:「用語は難しいかもしれないけど、概念は簡単だから説明していこうか。まず、最初のタイプはイノベーターと呼ばれ、日本語では革新者と訳されているんだ。全体の2.5%の消費者がこの層に属するんだよ。」

レイナ:「革新者って言うぐらいだから、このタイプは新しいものが大好きで、またそれを購入するだけの経済的余裕のある消費者かしら。すぐに新製品に飛びつく私は革新者ってことね(^^)」

タツヤ:「そうだね。革新者は消費者全体の2.5%にしか存在しないから非常に珍しい存在って言えるよね。加えて社会的通念にとらわれず独自の判断で新技術や新ノウハウを使い始めるのもこのタイプの特徴なんだよ。」

レイナ:「社会的通念にとらわれないってことは“個性的”ととらえていいのね(^^)」

タツヤ:「それから、次のタイプはオピニオンリーダーで日本語では初期少数採用者と呼ばれているんだ。この層は消費者全体の13.5%を占めるんだよ。」

レイナ:「次のタイプは初期少数採用者ですか。このタイプは文字通りオピニオンリーダーになる存在ですよね。新しい製品に対して主観的評価を周りの者に伝えて新製品が社会に普及する重要な役目を担う消費者ってことか。」

タツヤ:「そういうこと。そして、次はアーリーマジョリティで初期多数採用者なんだけど、この消費者層は非常に多くて全体の34%を占めるんだ。」

レイナ:「初期多数採用者は消費者全体の3分の1以上に達するってことですか。そして、このタイプの消費者はオピニオンリーダーの意見や評価を参考にして新製品の購入を決定する消費者なんですね。」

タツヤ:「そうだね。次はレイトマジョリティもしくは後期多数採用者と呼ばれ、このタイプも消費者の34%を占めるんだ。」

レイナ:「後期多数採用者はタツヤ先輩みたいに新製品の購入に慎重で、前の3タイプの消費者によっての新製品の評価が出揃ったところで購入に踏み切る消費者ってことですね。」

タツヤ:「そう。そして最後はラガードまたは伝統主義者と呼ばれ、消費者の16%はこのタイプに属するんだよ。」

レイナ:「伝統主義者は伝統的なライフスタイルを守って、新製品には目もくれない人達ということか。」

タツヤ:「そうだね。ロジャースによれば製品の普及はまず少数のイノベーターやオピニオンリーダーがカギを握っているんだ。この比較的少数の消費者層で高い評価が得られれば次のアーリーマジョリティが消費し始めることによって市場が一気に拡大してくるんだ。そして、遂にはレイトマジョリティ層へと波及していく過程を辿って新製品は市場に浸透していくんだ。」

レイナ:「ということは、企業にとって自社の新製品を市場に普及させるためには、いきなり大きなシェアを占めるからといってアーリーマジョリティやレイトマジョリティにアプローチするのではなく、まず最初にイノベーターやオピニオンリーダーに積極的に語りかけていくことが重要になってくると言えるんですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆イノベーター理論とは?
→スタンフォード大学のエベレット・M・ロジャース教授によって確立された理論。顧客をイノベーター、オピニオンリーダー、アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ、ラガードという5つのタイプに分類するもの。

◆イノベーター
→革新者。新しいものが大好きで、またそれを購入するだけの経済的余裕のある消費者。社会的通念にとらわれず独自の判断で新技術や新ノウハウを使い始める。消費者全体の2.5%に相当する。

◆オピニオンリーダー
→初期少数採用者。新しい製品に対して主観的評価を周りの者に伝えて新製品が社会に普及する重要な役目を担う消費者。消費者全体の13.5%を占める。

◆アーリーマジョリティ
→初期多数採用者。オピニオンリーダーの意見や評価を参考にして新製品の購入を決定する消費者。消費者全体の34%に達する。

◆レイトマジョリティ
→後期多数採用者。新製品の購入に慎重で、前の3タイプの消費者によっての新製品の評価が出揃ったところで購入に踏み切る消費者。アーリーマジョリティと同じく消費者全体の34%を占める。

◆ラガード
→伝統的なライフスタイルを守って、新製品には目もくれない消費者。消費者の16%がこのタイプ。

◆イノベーター理論とマーケティング
→企業は製品のライフサイクルと消費者のタイプを見極めて適切なマーケティング戦略を構築していくことにより最高の結果を出すことが可能になる。

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