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2007年06月14日

 ■ ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(前編)
第136回:ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(前編)


レイナ:「タツヤ先輩、最近うちの会社の業績も停滞気味ですね。この状況を何とか打破しなきゃいけないって部長もしゃかりきになってますよ。」

タツヤ:「そうだね。このところあまりいいニュースがないよね。やっぱりこの停滞した現状を打破するにはイノベーションの機会を発見するしかないんだけどね。」

レイナ:「イノベーション?」

タツヤ:「そう。イノベーションっていうのは、事業の革新を行うことでドラッカーの経営論では7つの機会があるとされているんだ。」

レイナ:「へぇー。7つもイノベーションを行う機会があるんですか?」

タツヤ:「そう。そのうち4つは産業の内部、3つは産業の外部にある機会に分けられるんだけどね。今回は産業の内部にある4つのイノベーション機会についてみていこうか。」

レイナ:「産業の内部にある4つの機会か。それって一体どんなものなんですか?」

タツヤ:「ああ、まず一つ目は“予期せぬ成功と失敗”と呼ばれるものなんだ。この予期せぬ成功や失敗の中から新たな事業の芽が出ることがあるんだよ。」

レイナ:「企業の思惑とは外れたところから、新しい事業が育っていくことなんかもあるんだ。」

タツヤ:「そう、たとえばスリーエムはかつて強力な接着剤を研究していた際に、粘着力はあるんだけどはがれやすい接着剤を開発したんだ。」

レイナ:「接着剤なんてよくくっつくかどうかが商品選びのポイントになるから、はがれやすい接着剤なんて完全な失敗ですね。」

タツヤ:「確かに誰もがレイナちゃんのようにように失敗作だと思ったんだけど、この失敗から革新的な商品が生まれたんだ。」

レイナ:「えっ、そんな失敗からどんな商品が生まれたんですか?」

タツヤ:「ポストイットだよ。簡単に貼れて、しかもはがれやすいポストイットを開発して各企業の秘書に配布したところ非常に好評を得て、瞬く間に口コミが広まって大ヒット商品になったんだよ。」

レイナ:「革新的なヒット商品のポストイットが発明された背景にはそんな予期せぬ失敗があったんですね。」

タツヤ:「そういうこと。次に2番目の機会なんだけど、2番目の機会は“ギャップの存在”なんだ。現実には技術的なものや業績的なものなど必ずギャップが存在するんだけど、このギャップをどうにかして埋めることができないかと考えることによってイノベーションを起こすことができるんだよ。」

レイナ:「たとえば、インターネットなんかは以前大きなファイルや画像の多いサイトが増えてダウンロードにすごく時間がかかるという技術的な問題があったけど、ADSLや光ファイバーなどの技術を開発して、技術のギャップを解消したイノベーションなどがこの機会にあてはまりそうですね。」

タツヤ:「そうだね。ITの分野などは特に技術ギャップによるイノベーションの事例が多く見られる産業だと思うよ。それじゃあ、続いての機会なんだけど、3番目は“ニーズの存在”なんだ。企業は生活者のニーズを明らかにして、それを満たす方法を考えることによってイノベーションを起こすことができるんだよ。」

レイナ:「ニーズか。人の欲求って尽きることがないですからね。私なんか今はどうやって楽して痩せるかってことばっかり考えてますよ。(笑)」

タツヤ:「そんなレイナちゃんのニーズを満たすためにただ座っているだけでシェイプアップできる機械を開発したらどうなる?」

レイナ:「あっ、乗馬型のマシンですね!座ってるだけでフィットネスができるっていう。私もそんな機械が欲しかったんです!」

タツヤ:「こんな風に生活者のニーズに耳を傾けているとそんな今までにない革新的な商品を開発するヒントを得ることができるってことさ。それじゃあ、最後の4番目。4番目の内部機会は“産業の構造変化”なんだ。産業構造は時代とともに変化していくんだけど、この産業構造が変化する時がイノベーションの機会になるんだよ。」

レイナ:「産業構造の変化か。たとえば、インターネットが産業として主流になってきた現代ではWeb2.0を標榜するブログやSNSなんていう革新的なサービスが次々に登場しましたね。今後は携帯電話での様々なインターネットサービスなんかが期待できそうですね。」

タツヤ:「そうだね。このように産業の内部だけを見回してもいろいろなイノベーションの機会がそこかしこにあるはずなんだ。だから企業としては機会を見つけたらそれを逃さず、イノベーションに繋げて継続的に生活者に新たなものを提供していくことがビジネス成功の秘訣になるってことだね。」

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【MBA講座:今回のTake Away】

◆イノベーションとは?
→常に革新的な商品やサービスを開発して需要を切り開いていくこと。

◆産業の内部にあるイノベーションの機会
1.予期せぬ成功と失敗
→ 企業の予期せぬ成功や失敗で革新的な商品が生まれる可能性がある。たとえば、ポストイットは強力な接着剤を開発しようと試みたスリーエムが“粘着力はあるけれどもはがれやすい接着剤”という失敗から生まれた画期的な商品。

2.ギャップの存在
→技術的な問題がある場合にそれを解消する商品やサービスを開発することによりイノベーションを達成することができる。たとえば、ファイルの大容量化に伴ってインターネット回線の大容量化を実現する技術の開発など。

3.ニーズの存在
→企業は生活者のニーズを明らかにし、それを満たすための商品やサービスを提供することにより、爆発的なヒット商品を生み出すことができる。たとえば、楽して痩せたい人向けに乗馬型フィットネスマシンを開発するなど。

4.産業構造の変化
→産業構造は時代と共に変化するが、産業構造が変化した時にイノベーションの機会が現れる。たとえば、インターネットが産業の主流になることによって、『セカンドライフ』など仮想現実で収入が得られるといった画期的なサービスが提供される。

投稿者 MBA : 2007年06月14日 16:19