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2007年07月26日
 ■ 戦略に従う理想の組織を作り上げる“4S”とは?

第139回:戦略に従う理想の組織を作り上げる“4S”とは?

レイナ:「タツヤ先輩、最近うちの会社も組織が肥大化して、何だか組織活動の効率が悪くなってきましたね。」


タツヤ:「そうだね。組織が現状に合わなくなってきているから、ここでどうにかしなきゃいけないね。」


レイナ:「でも一体どうしたら理想の組織を作ることができるのかしら?」


タツヤ:「ああ、それには組織と戦略についてまず考える必要があるんだ。」


レイナ:「組織と戦略ですか?」


タツヤ:「そう。組織と戦略との関係には、『戦略に従ってあるべき組織を設計する』という考え方と、『組織の特性に合わせて取りうる戦略を策定する』という考え方と2種類があるんだ。」


レイナ:「へぇー。ということは戦略中心で組織を合わせていくのか、組織中心で戦略を合わせていくのかを選択しなきゃいけないってことですね。」


タツヤ:「そう。この2種類の考え方双方にメリット・デメリットがあるんだけど、現在のように事業環境の劇的な変化に柔軟に対応して方向転換を図っていくには戦略中心の考え方が重要になってくるんだよ。」


レイナ:「そういえばドラッカーと並ぶ経営学の権威アルフレッド・チャンドラーは『組織は戦略に従う』って言ってますものね。だから、戦略を中心とした組織の再設計が環境の変化に対応するために重要になってくるんですね。」


タツヤ:「そういうことになるね。そして、このような戦略中心の考え方では『4S』というフレームワークで組織の再設計を行っていくことになるんだ。」


レイナ:「『4S』?一体『4S』って何なんですか?」


タツヤ:「うん。『4S』っていうのは、『Strategy(戦略)』、『Structure(組織)』、『System(システム)』、『Staffing(人材)』のことなんだ。」


レイナ:「『Strategy』、『Structure』、『System』、『Staffing』の頭文字をとって『4S』ってことですか。」


タツヤ:「そう。戦略に従ってあるべき組織を設計する場合は、まず企業が何を目指していくのかという方向性を定めるビジョンを決定し、それから企業の全体戦略や事業戦略を立案していくんだ。ここで戦略っていうのは“計数的な裏付けを持って、実現までのマイルストーンが明確な具体的目標”や“それらの目標を実現するためのアクションプラン”、“マーケットやライバル企業への対応策”などが盛り込まれたものになるんだけどね。戦略の策定に向けては、目標と企業風土を合致させたり、施策の整合性を取ったり、自社独自の優位性を活かすことが重要になるんだよ。」


レイナ:「へぇー。戦略というのはそのような特徴を持っているんですね。」


タツヤ:「ああ。そして次に戦略を合理的かつ効率的に実行するために『Structure』を構築していくことになるんだけど、この『Structure』では必要な組織や機能、およびそれらの関連性や役割分担を定義しなきゃいけないんだよ。」


レイナ:「定義付けるってどうするんですか?」


タツヤ:「ああ。簡単に言えば組織図を作るんだよ。組織図を作ることによって、企業の戦略的狙いや社員の動き方、組織ユニットの社会的ポジションなどが明確になるからね。言ってみれば組織図は戦略を実現するための設計図の一部みたいなものだよね。」


レイナ:「組織図ってこれまで何気に見てたけどそんな重要な役割があったのね。」


タツヤ:「そうだよ。そして戦略とそれを実現するハコモノである組織ができたら次は『System』で組織を機能的に動かす仕組みとなる制度とかルールを作成していくことになるんだ。このシステムは大きく“人事制度”や“資産管理や運用ルール”、“会計制度”、“意思決定システム”の4つに分類することができるんだけどね。」


レイナ:「俗に言う“ヒト、モノ、カネ、情報”ってやつですね。『System』ではそのような経営資源を最適に配分するルール作りを行うことになるんですね。」


タツヤ:「そう。そして最後の『Staffing』では組織の機能を実現するために“誰をどこに配置するか”、“どのような人材を育てていくか”ということを決定していくんだ。ここでは必要なスキルやノウハウ、経験などの求める人材の定義を行ったり、場合によっては、積極的に人材派遣などの社外リソースを活用することも検討する必要があるんだよ。」


レイナ:「ふーん。このような『4S』のフレームワークを使えば急激な環境の変化に対応できる理想の組織を作り上げることが可能になるってことなんですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆組織再構築のパターン
1.戦略に従ってあるべき組織を設計する
2.組織の特性に合わせて取りうる戦略を策定する
→現在のように事業環境の劇的な変化に柔軟に対応して方向転換を図っていくには戦略中心の考え方が重要。

◆組織再構築の4S
1.Strategy(戦略)
2.Structure(組織)
3.System(システム)
4.Staffing(人材)
→戦略に基づいて組織や制度を構築し、人材を適切に配置することによって理想の組織を実現できる。

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2007年07月12日
 ■ 競争のない市場を創造するバリューイノベーションとは?(ブルーオーシャン戦略)

第138回:競争のない市場を創造するバリューイノベーションとは?


レイナ:「タツヤ先輩、最近営業部長が『価格競争が激しくなって売上を上げるのも難しいし、売上を上げたとしても利益は雀の涙だ』って愚痴ってますね。」

タツヤ:「そうか。やっぱり、今は市場に物が溢れる時代だし、消費者の目も肥えてきたからなかなか売上を上げるのも大変だし、それ以上に利益を確保することはもっと大変なことだよね。」

レイナ:「こんな時何かいい方法はないんでしょうか?」

タツヤ:「そうだな。ブルーオーシャンを開拓するとそんな悩みから解放されるんだけどな。」

レイナ:「ブルーオーシャン?」

タツヤ:「そう。ブルーオーシャンっていうのは競争のない未開拓の市場っていう意味なんだけど、この競争のない市場を開拓していく戦略がブルーオーシャン戦略と呼ばれるものなんだ。」

レイナ:「ブルーオーシャン戦略ですか?なんだかかっこいい名前ですね。」

タツヤ:「ああ。この戦略は世界のトップビジネススクールINSEADのキム教授とモボルニュ教授がハーバード・ビジネス・レビューに発表して話題になったんだ。」

レイナ:「名前はかっこいいですけど、中身はどうなってるんですか?」

タツヤ:「そうだね。ブルーオーシャン戦略はとてもじゃないけどひとことでは説明できないから、今回はその基本となる考え方について学んでいこうか。」

レイナ:「ブルーオーシャン戦略の基本ですか?」

タツヤ:「そう。ブルーオーシャン戦略の基本は“バリューイノベーション”という言葉で表わされるんだ。」

レイナ:「バリューイノベーション?イノベーションという言葉はよく聞くけど、バリューイノベーションは初めて聞く言葉ですね。それは一体どんなものなんですか?」

タツヤ:「バリューイノベーションっていうのは『買い手に対していまだかつてない価値を提供しつつ、利益の上がるビジネスモデルを構築することによって既存市場の境界を再定義すること』なんだ。」

レイナ:「全く意味がわからないんですけど・・・」

タツヤ:「まあ、簡単に言えば製品の差別化と低コストを同時に実現するという考え方なんだよ。」

レイナ:「差別化と低コストを同時に実現する、ですか・・・?」

タツヤ:「そう。」

レイナ:「でも以前“ポーター教授の3つの基本戦略”では企業が競争優位に立つには、差別化もしくは低コストのいずれかを選択する必要があると教えていただいた記憶があるんですけど。」

タツヤ:「そうだね。ポーター教授によれば競争優位を確立するには差別化、低コスト、集中のいずれかの戦略を採用する必要があるということだったね。ただ、ブルーオーシャン戦略では差別化と低コストを同時に実現するバリューイノベーションという考え方に基づいているから非常に注目されているんだよ。」

レイナ:「差別化と低コストを同時に実現するということはある意味最強の戦略ですからね。でも現実にそんなことを実現できる企業は存在するんですか?」

タツヤ:「もちろんさ。たとえば、Nintendo DSがバリューイノベーションを実現した良い事例と言えるよね。」

レイナ:「Nintendo DSと言えば2004年に発売されたというのにいまだに手に入りにくい超ヒット商品ですよね。」

タツヤ:「そう。任天堂はこのDSを開発するに当たって、それまでのゲーム機の高性能化という競争要因を敢えて避け、新しい技術を詰め込むことなく開発費を削減して低コスト化を実現したんだ。」

レイナ:「そういえば、同じ時期にPSPという携帯ゲーム機がソニーから発売されたけど、こちらはPlaystation2が外に持ち出せるという高性能が話題になりましたよね。」

タツヤ:「それから製品の差別化という意味ではソフトで差別化を図ったんだ。」

レイナ:「DSでは、それまでになかった“脳トレ”のような誰にでも簡単にできて楽しめるソフトが次々と販売されましたからね。」

タツヤ:「そうだね。Nintendo DSはこのように最新の技術を追わずに低コストを実現し、誰もが楽しめるソフトを開発する製品の差別化を行ってバリューイノベーションを起こしたんだ。」

レイナ:「そのようなバリューイノベーションが実現できたから、ブルーオーシャンを開拓して、DSは2年半経った今でも手に入りにくいロングヒット状態が続いているのね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆ブルーオーシャン戦略とは?
→これまでどの企業も参入していない市場を開拓して、競争ない市場を作り出す戦略。

◆バリューイノベーションとは?
→キム教授によれば、バリューイノベーションとは『買い手に対していまだかつてない価値を提供しつつ、利益の上がるビジネスモデルを構築することによって既存市場の境界を再定義すること』。簡単に言えば製品の差別化と低コストを同時に実現すること。

◆バリューイノベーションが画期的な理由
→これまではマイケル・ポーター教授の3つの基本戦略により差別化と低コストは同時に実現できないとされていたが、バリューイノベーションによって差別化と低コストが同時に実現できることが証明された。

◆バリューイノベーションの実例
→Nintendo DSはそれまでのゲーム機の高性能化という競争要因を重視しないことによって開発コストを低くすることに成功。またそれまでゲームをしなかった女性や年配の層にも楽しめる“脳トレ”などのソフトで差別化を行い、爆発的なヒットを記録した。

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