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2007年07月12日

 ■ 競争のない市場を創造するバリューイノベーションとは?(ブルーオーシャン戦略)
第138回:競争のない市場を創造するバリューイノベーションとは?


レイナ:「タツヤ先輩、最近営業部長が『価格競争が激しくなって売上を上げるのも難しいし、売上を上げたとしても利益は雀の涙だ』って愚痴ってますね。」

タツヤ:「そうか。やっぱり、今は市場に物が溢れる時代だし、消費者の目も肥えてきたからなかなか売上を上げるのも大変だし、それ以上に利益を確保することはもっと大変なことだよね。」

レイナ:「こんな時何かいい方法はないんでしょうか?」

タツヤ:「そうだな。ブルーオーシャンを開拓するとそんな悩みから解放されるんだけどな。」

レイナ:「ブルーオーシャン?」

タツヤ:「そう。ブルーオーシャンっていうのは競争のない未開拓の市場っていう意味なんだけど、この競争のない市場を開拓していく戦略がブルーオーシャン戦略と呼ばれるものなんだ。」

レイナ:「ブルーオーシャン戦略ですか?なんだかかっこいい名前ですね。」

タツヤ:「ああ。この戦略は世界のトップビジネススクールINSEADのキム教授とモボルニュ教授がハーバード・ビジネス・レビューに発表して話題になったんだ。」

レイナ:「名前はかっこいいですけど、中身はどうなってるんですか?」

タツヤ:「そうだね。ブルーオーシャン戦略はとてもじゃないけどひとことでは説明できないから、今回はその基本となる考え方について学んでいこうか。」

レイナ:「ブルーオーシャン戦略の基本ですか?」

タツヤ:「そう。ブルーオーシャン戦略の基本は“バリューイノベーション”という言葉で表わされるんだ。」

レイナ:「バリューイノベーション?イノベーションという言葉はよく聞くけど、バリューイノベーションは初めて聞く言葉ですね。それは一体どんなものなんですか?」

タツヤ:「バリューイノベーションっていうのは『買い手に対していまだかつてない価値を提供しつつ、利益の上がるビジネスモデルを構築することによって既存市場の境界を再定義すること』なんだ。」

レイナ:「全く意味がわからないんですけど・・・」

タツヤ:「まあ、簡単に言えば製品の差別化と低コストを同時に実現するという考え方なんだよ。」

レイナ:「差別化と低コストを同時に実現する、ですか・・・?」

タツヤ:「そう。」

レイナ:「でも以前“ポーター教授の3つの基本戦略”では企業が競争優位に立つには、差別化もしくは低コストのいずれかを選択する必要があると教えていただいた記憶があるんですけど。」

タツヤ:「そうだね。ポーター教授によれば競争優位を確立するには差別化、低コスト、集中のいずれかの戦略を採用する必要があるということだったね。ただ、ブルーオーシャン戦略では差別化と低コストを同時に実現するバリューイノベーションという考え方に基づいているから非常に注目されているんだよ。」

レイナ:「差別化と低コストを同時に実現するということはある意味最強の戦略ですからね。でも現実にそんなことを実現できる企業は存在するんですか?」

タツヤ:「もちろんさ。たとえば、Nintendo DSがバリューイノベーションを実現した良い事例と言えるよね。」

レイナ:「Nintendo DSと言えば2004年に発売されたというのにいまだに手に入りにくい超ヒット商品ですよね。」

タツヤ:「そう。任天堂はこのDSを開発するに当たって、それまでのゲーム機の高性能化という競争要因を敢えて避け、新しい技術を詰め込むことなく開発費を削減して低コスト化を実現したんだ。」

レイナ:「そういえば、同じ時期にPSPという携帯ゲーム機がソニーから発売されたけど、こちらはPlaystation2が外に持ち出せるという高性能が話題になりましたよね。」

タツヤ:「それから製品の差別化という意味ではソフトで差別化を図ったんだ。」

レイナ:「DSでは、それまでになかった“脳トレ”のような誰にでも簡単にできて楽しめるソフトが次々と販売されましたからね。」

タツヤ:「そうだね。Nintendo DSはこのように最新の技術を追わずに低コストを実現し、誰もが楽しめるソフトを開発する製品の差別化を行ってバリューイノベーションを起こしたんだ。」

レイナ:「そのようなバリューイノベーションが実現できたから、ブルーオーシャンを開拓して、DSは2年半経った今でも手に入りにくいロングヒット状態が続いているのね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆ブルーオーシャン戦略とは?
→これまでどの企業も参入していない市場を開拓して、競争ない市場を作り出す戦略。

◆バリューイノベーションとは?
→キム教授によれば、バリューイノベーションとは『買い手に対していまだかつてない価値を提供しつつ、利益の上がるビジネスモデルを構築することによって既存市場の境界を再定義すること』。簡単に言えば製品の差別化と低コストを同時に実現すること。

◆バリューイノベーションが画期的な理由
→これまではマイケル・ポーター教授の3つの基本戦略により差別化と低コストは同時に実現できないとされていたが、バリューイノベーションによって差別化と低コストが同時に実現できることが証明された。

◆バリューイノベーションの実例
→Nintendo DSはそれまでのゲーム機の高性能化という競争要因を重視しないことによって開発コストを低くすることに成功。またそれまでゲームをしなかった女性や年配の層にも楽しめる“脳トレ”などのソフトで差別化を行い、爆発的なヒットを記録した。

投稿者 MBA : 2007年07月12日 17:58