2006年07月13日
 ■ 勝つ確率を高める交渉術とは?:限界値、BATNA、ZOPA

レイナ:「はぁ~。」

タツヤ:「どうした、レイナちゃん、深いため息なんかついて。」

レイナ:「えぇ、以前購入したブランド品を定期的に買い取ってもらってるんですけど、いつも鑑定人の言いなりの低い値段で妥協してるからなんだかブランド品を買うのがばかばかしくなっちゃって・・・」

タツヤ:「レイナちゃんは意外と交渉下手なんだね。やっぱり、少しでも高く買い取ってもらうためには、交渉戦略をきっちり立てとかないと自分の思い通りの結果は得られないよ。」

レイナ:「交渉戦略って、そんなブランド品の買取の時にも使えるんですか?」

タツヤ:「もちろん。人と交渉するってことは政治での外交であろうが、仕事であろうが、ブランド品の買取であろうが同じことだからね。」

レイナ:「それじゃあ、どうすればもっと高くブランド品を買い取ってもらうことができるのかしら?」

タツヤ:「そうだね。それにはまず交渉の構造を理解する必要があるんだ。」

レイナ:「交渉の構造?」

タツヤ:「そう。交渉の構造を理解するためには限界値、BATNA、ZOPAを知らないと。」

レイナ:「限界値、バトナ、ゾーパってなんですか?」

タツヤ:「うん。限界値って言うのはたとえばレイナちゃんがこれ以上安くブランド品を売りたくないという価格だし、逆に買い取る方にとってはこれ以上高い価格では引き取りたくないという価格なんだ。」

レイナ:「お店に持ち込んだときに大体これくらいの価格を提示してもらえればいいなという希望価格はあるけど、鑑定がそれと大幅に乖離していたとしても妥協してしまうのがいけないのね。交渉の際ははっきりとこれ以下では受け入れられないという限界値を定めて望まなきゃいけないのか。」

タツヤ:「次にBATNAだけど、これはBest Alternative to Negotiated Agreementの頭文字を取ったもので交渉相手から提示された条件以外で最高の代替案のことなんだ。」

レイナ:「たとえば、私の場合はどうなのかしら?」

タツヤ:「そうだね。レイナちゃんの場合はブランド品の買取を依頼する時にどのくらいのお店を回っているの?」

レイナ:「いつも一店舗だけですけど。」

タツヤ:「そうするとBATNAはありえないよね。やっぱり二店舗以上お店を回って大体の買取相場を知っておかなくちゃ。そのような交渉の妥結点を類推する情報は交渉においては参照値と呼ばれているんだ。」

レイナ:「このような交渉の時には、二店舗以上回って鑑定してもらわなきゃいけないのね。そうすることによってもし一店舗での評価が低かった場合は、交渉の時に高く評価してくれた別のお店の評価をBATNAとして強気の交渉に望めるってことになるのね。」

タツヤ:「そうだね。交渉というのはやっぱりお互い自分に有利な結果をもたらしたいと思うのは当然だから、BATNAがあれば強気の交渉も可能になるよね。通常はこのBATNAが交渉の限界値になるんだ。」

レイナ:「そうね。たとえば、ある店舗で20万円という買取価格が提示されていれば、別の店舗で10万円という買取価格が提示された時に20万円を限界値としてそれから更に上乗せできなければ交渉を続ける意味がないものね。」

タツヤ:「その事例で言えば、レイナちゃんが20万円以上でなければブランド品を売らないという妥結範囲を持っているように、業者の方も最初は10万円という価格を提示したけどたとえば30万円を限界値としてそれ以下でしか買取をしないという妥結範囲を持っているんだ。交渉ではこの2人の妥結範囲の組み合わせ、つまり20万円以上30万円以下の範囲の中で最終価格が決定されることになるんだ。このような交渉妥結範囲がZone of Possible Agreement、ZOPAって呼ばれるんだよ。」

レイナ:「やっぱり最初は少しでもふっかけて自分にいい条件で交渉成立を目指しますよね。だから、最初に提示された条件をそのまま鵜呑みにするんじゃなくて話し合いの中で先方の限界値を探っていくってことも重要なのね。それでZOPAがあれば、できる限り自分に有利な条件での妥結を目指すってことか。」

タツヤ:「そう。これまでのレイナちゃんの交渉では、自分の限界値も無かったし、相手の限界値を推測すること無しにそのまま相手の言い値に甘んじていたけど、今回の説明で交渉の構造を理解することができただろう。交渉ではこのように構造を理解した上で、はっきりとした目標値を定めて、相手の限界値に近い条件を引き出すことが重要なんだよ。それにはBATNAを持つなど強気の交渉に望める体制を整えておく必要もあるってことさ。」


【MBA講座:今回のTake Away】
 
◆交渉を優位に進めるためには?
→限界値、BATNA、ZOPAを把握し、交渉を構造的に捉える必要がある。

◆限界値とは?
→その条件を下回る場合には交渉が決裂する値。たとえば、価格交渉においては買い手にとってはそれ以上高ければ買わない価格であり、売り手にとってはそれ以上安ければ売らない価格。

◆BATNAとは?
→Best Alternative to Negotiated Agreementの頭文字を取ったもの。交渉において相手から提示された条件以外で最高の代替案。BATNAがある場合はBATNAが限界値となる。

◆ZOPAとは?
→Zone of Possible Agreementの頭文字を取ったもの。自分の妥結範囲と相手の妥結範囲の交わる部分。交渉ではZOPAの範囲で最終的な条件が決定されることになる。

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