2006年07月06日
 ■ ゲーム理論における『男女の争い』とは?

レイナ:「タツヤ先輩、さっき新規事業に関する会議が終わったんですけど田中課長は携帯事業に参入すべきって主張してるし、一方で鈴木課長はオンライン金融事業に参入すべきって譲らなかったんだって。」

タツヤ:「まるでゲーム理論における『男女の争い』みたいだね。」

レイナ:「ゲーム理論の『男女の争い』って?」

タツヤ:「うん。ゲーム理論の『男女の争い』っていうのは最終的には協調して一致する行動をとることにはお互い同意しているんだけど、協調の方法については異なる選択を主張するゲームのことなんだ。」

レイナ:「ということは田中課長も鈴木課長も意見は異なるけどもし一方に決まれば協調してプロジェクトを成功に導く努力を行うってことですね。」

タツヤ:「そう。ここで面白いのはこの『男女の争い』には関係者が納得する結論、ゲーム理論では『均衡点』と呼ばれるんだけど、それが2つあるっていうことなんだ。」

レイナ:「納得する結論が2つあるってどういうことですか?」

タツヤ:「以前、ゲーム理論で『囚人のジレンマ』について学んだ時は必ずどの選択肢よりも良い結果が得られる『支配戦略』というものがあったよね。」

レイナ:「そうね。確か『囚人のジレンマ』の時は第3のビールを値上げするかどうかで値上げせずに価格を据え置くというのがどの選択肢よりも効果が高く『支配戦略』になるってことでしたよね。」

タツヤ:「ただ、この『男女の争い』はそのような支配戦略が無くて、一旦両者にとってベストな選択でなくても、その選択を変更しにくいという状況に陥るんだ。」

レイナ:「たとえば?」

タツヤ:「たとえば、レイナちゃんと彼氏が今度のデートでどこに行くか相談したとしようか。アミューズメントパークの好きなレイナちゃんはディズニーランドに行きたいって彼氏におねだりしたけど、彼としてはウィンドサーフィンをしに海に行きたいと思っている。このようなお互いの意見が食い違う状況でも、一旦一方に決まれば一人が決定を翻して一人で自分の行きたい所へ行くことはありえないよね。」

レイナ:「もちろんよ。二人でいるから何でも楽しいわけで、ウィンドサーフィンに決まれば、たとえウィンドサーフィンが第一希望でなくても私は彼と一緒にいるだけで満足よ。それからディズニーランドに決まれば彼もディズニーランドが第一希望でなくても満足すると思うわ。」

タツヤ:「だろう。だから、この『男女の争い』ではディズニーランドとウィンドサーフィンという2つの均衡点があって、一旦どちらかに決まれば相手が共に意見を変えない限り、自分一人が自分の意見を通すと言うインセンティブが働かなくなるのが特徴なんだ。このような関係者が納得する結論はゲーム理論では『ナッシュ均衡』と呼ばれているんだよ。」

レイナ:「ナッシュ均衡ですか?確かに一旦決まれば仮に自分のベストチョイスでなくても、二人のベストチョイスであれば変更する理由はないですからね。」

タツヤ:「この『男女の争い』が面白いのは二人にとってベストチョイスでなくてもナッシュ均衡になるっていうことなんだ。」

レイナ:「二人にとってベストな選択でなくても、一旦決定すれば、他の選択に変更するインセンティブが働かないってことですか?」

タツヤ:「そう。たとえば、次のデートでディズニーランドやウィンドサーフィン以外に『近くの公園でのんびり過ごす』という選択肢が増えたとしよう。この選択肢はお互いの第一希望だったディズニーランドやウィンドサーフィンに比べればお互い満足度は低いんだけど一旦決定すれば、敢えてディズニーランドやウィンドサーフィンに変更しようというインセンティブが働かず、より低いレベルでのナッシュ均衡になってしまうんだ。」

レイナ:「やっぱり、二人で協調して行動するってことが前提だからこのような低いナッシュ均衡に落ち着くっていう場合もあるんですね。」

タツヤ:「このような事例を踏まえると今回の田中課長と鈴木課長の意見の相違もゲーム理論でいうところの『男女の争い』って言ったことが納得できるだろう。」

レイナ:「そうね。この男女の争いではタツヤ先輩がさっき言ったように低いレベルでのナッシュ均衡という可能性もあるから、新規事業を行わないという選択が出てきて低いレベルで均衡して欲しくないものですね。」


【MBA講座:今回のTake Away】
 
◆ゲーム理論『男女の争い』とは?
最終的には協調して一致する行動をとることにはお互い同意しているが、協調の方法については異なる選択を主張するゲームのこと。

◆ゲーム理論『男女の争い』の特徴
複数のナッシュ均衡の可能性があり、一旦ナッシュ均衡に落ち着くとそれがたとえ低いレベルでも一方が選択を変更するインセンティブが働かない。

◆ナッシュ均衡とは?
ゲーム関係者全てが納得する結論。ナッシュ均衡の下ではどのプレーヤーも選択の変更のインセンティブを持たない。

◆ゲーム理論『男女の争い』の事例
恋人同士がデートスポット(ディズニーランドorウィンドサーフィン)を決定する際の争い
 
◎二人でディズニーランドに行く場合の満足度
彼氏 90% 彼女 100% (→ナッシュ均衡)
 
◎二人でウィンドサーフィンに行く場合の満足度
彼氏 100% 彼女 90% (→ナッシュ均衡)

◎彼氏がウィンドサーフィン、彼女がディズニーランドに行く場合の満足度
彼氏 0% 彼女 0%

◎彼氏がディズニーランド、彼女がウィンドサーフィンにいく場合の満足度
彼氏 0% 彼女 0%

この場合のナッシュ均衡は二人でディズニーランド、二人でウィンドサーフィンと言う選択であり、どちらに決定しようが、一方が選択を変更するインセンティブは働かない。(一人だけが選択を変更すると一気に二人の満足度が0%となってしまうため。)

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