2007年07月12日
 ■ 競争のない市場を創造するバリューイノベーションとは?(ブルーオーシャン戦略)

第138回:競争のない市場を創造するバリューイノベーションとは?


レイナ:「タツヤ先輩、最近営業部長が『価格競争が激しくなって売上を上げるのも難しいし、売上を上げたとしても利益は雀の涙だ』って愚痴ってますね。」

タツヤ:「そうか。やっぱり、今は市場に物が溢れる時代だし、消費者の目も肥えてきたからなかなか売上を上げるのも大変だし、それ以上に利益を確保することはもっと大変なことだよね。」

レイナ:「こんな時何かいい方法はないんでしょうか?」

タツヤ:「そうだな。ブルーオーシャンを開拓するとそんな悩みから解放されるんだけどな。」

レイナ:「ブルーオーシャン?」

タツヤ:「そう。ブルーオーシャンっていうのは競争のない未開拓の市場っていう意味なんだけど、この競争のない市場を開拓していく戦略がブルーオーシャン戦略と呼ばれるものなんだ。」

レイナ:「ブルーオーシャン戦略ですか?なんだかかっこいい名前ですね。」

タツヤ:「ああ。この戦略は世界のトップビジネススクールINSEADのキム教授とモボルニュ教授がハーバード・ビジネス・レビューに発表して話題になったんだ。」

レイナ:「名前はかっこいいですけど、中身はどうなってるんですか?」

タツヤ:「そうだね。ブルーオーシャン戦略はとてもじゃないけどひとことでは説明できないから、今回はその基本となる考え方について学んでいこうか。」

レイナ:「ブルーオーシャン戦略の基本ですか?」

タツヤ:「そう。ブルーオーシャン戦略の基本は“バリューイノベーション”という言葉で表わされるんだ。」

レイナ:「バリューイノベーション?イノベーションという言葉はよく聞くけど、バリューイノベーションは初めて聞く言葉ですね。それは一体どんなものなんですか?」

タツヤ:「バリューイノベーションっていうのは『買い手に対していまだかつてない価値を提供しつつ、利益の上がるビジネスモデルを構築することによって既存市場の境界を再定義すること』なんだ。」

レイナ:「全く意味がわからないんですけど・・・」

タツヤ:「まあ、簡単に言えば製品の差別化と低コストを同時に実現するという考え方なんだよ。」

レイナ:「差別化と低コストを同時に実現する、ですか・・・?」

タツヤ:「そう。」

レイナ:「でも以前“ポーター教授の3つの基本戦略”では企業が競争優位に立つには、差別化もしくは低コストのいずれかを選択する必要があると教えていただいた記憶があるんですけど。」

タツヤ:「そうだね。ポーター教授によれば競争優位を確立するには差別化、低コスト、集中のいずれかの戦略を採用する必要があるということだったね。ただ、ブルーオーシャン戦略では差別化と低コストを同時に実現するバリューイノベーションという考え方に基づいているから非常に注目されているんだよ。」

レイナ:「差別化と低コストを同時に実現するということはある意味最強の戦略ですからね。でも現実にそんなことを実現できる企業は存在するんですか?」

タツヤ:「もちろんさ。たとえば、Nintendo DSがバリューイノベーションを実現した良い事例と言えるよね。」

レイナ:「Nintendo DSと言えば2004年に発売されたというのにいまだに手に入りにくい超ヒット商品ですよね。」

タツヤ:「そう。任天堂はこのDSを開発するに当たって、それまでのゲーム機の高性能化という競争要因を敢えて避け、新しい技術を詰め込むことなく開発費を削減して低コスト化を実現したんだ。」

レイナ:「そういえば、同じ時期にPSPという携帯ゲーム機がソニーから発売されたけど、こちらはPlaystation2が外に持ち出せるという高性能が話題になりましたよね。」

タツヤ:「それから製品の差別化という意味ではソフトで差別化を図ったんだ。」

レイナ:「DSでは、それまでになかった“脳トレ”のような誰にでも簡単にできて楽しめるソフトが次々と販売されましたからね。」

タツヤ:「そうだね。Nintendo DSはこのように最新の技術を追わずに低コストを実現し、誰もが楽しめるソフトを開発する製品の差別化を行ってバリューイノベーションを起こしたんだ。」

レイナ:「そのようなバリューイノベーションが実現できたから、ブルーオーシャンを開拓して、DSは2年半経った今でも手に入りにくいロングヒット状態が続いているのね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆ブルーオーシャン戦略とは?
→これまでどの企業も参入していない市場を開拓して、競争ない市場を作り出す戦略。

◆バリューイノベーションとは?
→キム教授によれば、バリューイノベーションとは『買い手に対していまだかつてない価値を提供しつつ、利益の上がるビジネスモデルを構築することによって既存市場の境界を再定義すること』。簡単に言えば製品の差別化と低コストを同時に実現すること。

◆バリューイノベーションが画期的な理由
→これまではマイケル・ポーター教授の3つの基本戦略により差別化と低コストは同時に実現できないとされていたが、バリューイノベーションによって差別化と低コストが同時に実現できることが証明された。

◆バリューイノベーションの実例
→Nintendo DSはそれまでのゲーム機の高性能化という競争要因を重視しないことによって開発コストを低くすることに成功。またそれまでゲームをしなかった女性や年配の層にも楽しめる“脳トレ”などのソフトで差別化を行い、爆発的なヒットを記録した。

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2007年06月28日
 ■ ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(後編)

第137回:ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(後編)


タツヤ:「レイナちゃん、前回はイノベーションの7つの機会のうち、産業の内部にある4つの機会について学んだよね。」

レイナ:「ええ、産業内部にあるイノベーションの機会は『予期せぬ成功や失敗』、『ギャップの存在』、『ニーズの存在』、『産業の構造変化』ということでしたね。」

タツヤ:「そうだね。今回は残りの3つ。産業外部にある3つのイノベーションの機会について学んでいこうか。」

レイナ:「産業の外部に存在する要因を基にイノベーションの機会を発見するってことですね。」

タツヤ:「そう。早速まず一つ目の機会なんだけど、それは人口構造の変化なんだ。」

レイナ:「人口構造の変化って、人口の構成が変わることですよね。たとえば、今の日本で言えば高齢者が増えて、逆に子供が少なくなったっていう。」

タツヤ:「ああ、レイナちゃん言ったように今の日本は少子高齢化が進んでいるだろう。だから、この人口構造の変化のトレンドを見極めて先取りすることによって、イノベーションを起こすことが可能になるんだ。」

レイナ:「たとえば、高齢化社会の到来を予測して高齢者がより便利に暮らせる革新的なビジネスを考えたり、少子化によって若年層などの働き手が少なくなることを予測して労働生産性を上げるような商品を開発したりしてイノベーションの機会を広げることができるってことですね。」

タツヤ:「具体的にはいろいろな商品やサービスがあるけど大体そんなところだね。次は二つ目の機会として認識の変化ということが挙げられるんだ。」

レイナ:「認識の変化って一体どういうことですか?」

タツヤ:「うん。たとえば、さっき言った高齢化とか少子化なんていうのは取りようによってはポジティブにもネガティブにも取れるだろう。」

レイナ:「そうですか?少子化なんて言うのは子供向けの商品やサービスを取り扱う企業にとってはネガティブな状況としか思えないんですけど。」

タツヤ:「そうでもないよ。少子化っていうことは子供が少なくなるってことだろう。だから一人の子供あたりにかけるお金っていうのは多くなる傾向があるんだ。現実に今では“シックスポケット”と呼ばれて一人の子どもに両親とその両方の親の6つの資金の出どころがあるとされているんだ。」

レイナ:「そうか。子供向けの商品を扱う企業は子供というよりはその資金の出どころとなる両親や祖父母をターゲットにしてイノベーションを起こせばいいんですね。」

タツヤ:「その通り。だから、少子化という現実に悲観的になるんじゃなくて、逆に一人当たりの子供にかける予算が高まるから、高付加価値の商品を提供するビッグチャンスが到来すると発想を転換することによって新たなイノベーションの機会が現れるんだよ。」

レイナ:「気持ちの持ちようでイノベーションの機会が変わるって面白いですね。」

タツヤ:「そうだね。そして最後の三番目は新たな知識を獲得することとされているんだよ。」

レイナ:「やっぱり、産業の外部にアンテナを張って常に新しい知識を獲得することによって、業界を変革するようなイノベーションを起こすことができるようになるんですね。」

タツヤ:「そう。たとえば、世界的な優良企業のビジネスプロセスを分析してそこから得た知識を自社に取り入れることによって革新的な商品やサービス、業務プロセスを実現することが可能になるからね。新たな知識の獲得は企業のイノベーションにとって必要不可欠のものになるんだよ。」

レイナ:「ということは産業外部にあるイノベーションの機会を整理すると『人口構造の変化』、『認識の変化』、『新しい知識の獲得』の3つということになるんですね。」

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【MBA講座:今回のTake Away】

◆産業の外部にあるイノベーションの機会
1.人口構造の変化
→ 高齢化、少子化など将来確実に訪れる人口構造の変化を予測することによって、先回りしてイノベーションを起こすことが可能になる。

2.認識の変化
→ある事象をポジティブにとらえるか、ネガティブにとらえるかによって結果が大きく変わってくる。物事をポジティブにとらえることによってイノベーションの機会が拡大する。たとえば、少子化というのは子供用の商品やサービスを取り扱う企業にとってはネガティブなニュースであるが、子供一人当たりにかける金額が大きくなるチャンスととらえ商品開発を行うことによりイノベーション機会は拡大する。

3.新しい知識の獲得
→知識は陳腐化していくので、常に新しい知識を獲得することにより、イノベーションを促進することが可能になる。逆に言えば、新しい知識を獲得し続けなければイノベーションを起こすことは不可能である。

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2007年06月14日
 ■ ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(前編)

第136回:ドラッカーの経営論:イノベーションの7つの機会とは?(前編)


レイナ:「タツヤ先輩、最近うちの会社の業績も停滞気味ですね。この状況を何とか打破しなきゃいけないって部長もしゃかりきになってますよ。」

タツヤ:「そうだね。このところあまりいいニュースがないよね。やっぱりこの停滞した現状を打破するにはイノベーションの機会を発見するしかないんだけどね。」

レイナ:「イノベーション?」

タツヤ:「そう。イノベーションっていうのは、事業の革新を行うことでドラッカーの経営論では7つの機会があるとされているんだ。」

レイナ:「へぇー。7つもイノベーションを行う機会があるんですか?」

タツヤ:「そう。そのうち4つは産業の内部、3つは産業の外部にある機会に分けられるんだけどね。今回は産業の内部にある4つのイノベーション機会についてみていこうか。」

レイナ:「産業の内部にある4つの機会か。それって一体どんなものなんですか?」

タツヤ:「ああ、まず一つ目は“予期せぬ成功と失敗”と呼ばれるものなんだ。この予期せぬ成功や失敗の中から新たな事業の芽が出ることがあるんだよ。」

レイナ:「企業の思惑とは外れたところから、新しい事業が育っていくことなんかもあるんだ。」

タツヤ:「そう、たとえばスリーエムはかつて強力な接着剤を研究していた際に、粘着力はあるんだけどはがれやすい接着剤を開発したんだ。」

レイナ:「接着剤なんてよくくっつくかどうかが商品選びのポイントになるから、はがれやすい接着剤なんて完全な失敗ですね。」

タツヤ:「確かに誰もがレイナちゃんのようにように失敗作だと思ったんだけど、この失敗から革新的な商品が生まれたんだ。」

レイナ:「えっ、そんな失敗からどんな商品が生まれたんですか?」

タツヤ:「ポストイットだよ。簡単に貼れて、しかもはがれやすいポストイットを開発して各企業の秘書に配布したところ非常に好評を得て、瞬く間に口コミが広まって大ヒット商品になったんだよ。」

レイナ:「革新的なヒット商品のポストイットが発明された背景にはそんな予期せぬ失敗があったんですね。」

タツヤ:「そういうこと。次に2番目の機会なんだけど、2番目の機会は“ギャップの存在”なんだ。現実には技術的なものや業績的なものなど必ずギャップが存在するんだけど、このギャップをどうにかして埋めることができないかと考えることによってイノベーションを起こすことができるんだよ。」

レイナ:「たとえば、インターネットなんかは以前大きなファイルや画像の多いサイトが増えてダウンロードにすごく時間がかかるという技術的な問題があったけど、ADSLや光ファイバーなどの技術を開発して、技術のギャップを解消したイノベーションなどがこの機会にあてはまりそうですね。」

タツヤ:「そうだね。ITの分野などは特に技術ギャップによるイノベーションの事例が多く見られる産業だと思うよ。それじゃあ、続いての機会なんだけど、3番目は“ニーズの存在”なんだ。企業は生活者のニーズを明らかにして、それを満たす方法を考えることによってイノベーションを起こすことができるんだよ。」

レイナ:「ニーズか。人の欲求って尽きることがないですからね。私なんか今はどうやって楽して痩せるかってことばっかり考えてますよ。(笑)」

タツヤ:「そんなレイナちゃんのニーズを満たすためにただ座っているだけでシェイプアップできる機械を開発したらどうなる?」

レイナ:「あっ、乗馬型のマシンですね!座ってるだけでフィットネスができるっていう。私もそんな機械が欲しかったんです!」

タツヤ:「こんな風に生活者のニーズに耳を傾けているとそんな今までにない革新的な商品を開発するヒントを得ることができるってことさ。それじゃあ、最後の4番目。4番目の内部機会は“産業の構造変化”なんだ。産業構造は時代とともに変化していくんだけど、この産業構造が変化する時がイノベーションの機会になるんだよ。」

レイナ:「産業構造の変化か。たとえば、インターネットが産業として主流になってきた現代ではWeb2.0を標榜するブログやSNSなんていう革新的なサービスが次々に登場しましたね。今後は携帯電話での様々なインターネットサービスなんかが期待できそうですね。」

タツヤ:「そうだね。このように産業の内部だけを見回してもいろいろなイノベーションの機会がそこかしこにあるはずなんだ。だから企業としては機会を見つけたらそれを逃さず、イノベーションに繋げて継続的に生活者に新たなものを提供していくことがビジネス成功の秘訣になるってことだね。」

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【MBA講座:今回のTake Away】

◆イノベーションとは?
→常に革新的な商品やサービスを開発して需要を切り開いていくこと。

◆産業の内部にあるイノベーションの機会
1.予期せぬ成功と失敗
→ 企業の予期せぬ成功や失敗で革新的な商品が生まれる可能性がある。たとえば、ポストイットは強力な接着剤を開発しようと試みたスリーエムが“粘着力はあるけれどもはがれやすい接着剤”という失敗から生まれた画期的な商品。

2.ギャップの存在
→技術的な問題がある場合にそれを解消する商品やサービスを開発することによりイノベーションを達成することができる。たとえば、ファイルの大容量化に伴ってインターネット回線の大容量化を実現する技術の開発など。

3.ニーズの存在
→企業は生活者のニーズを明らかにし、それを満たすための商品やサービスを提供することにより、爆発的なヒット商品を生み出すことができる。たとえば、楽して痩せたい人向けに乗馬型フィットネスマシンを開発するなど。

4.産業構造の変化
→産業構造は時代と共に変化するが、産業構造が変化した時にイノベーションの機会が現れる。たとえば、インターネットが産業の主流になることによって、『セカンドライフ』など仮想現実で収入が得られるといった画期的なサービスが提供される。

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2007年05月03日
 ■ 三角合併とは?

第133回:海外企業の新たな日本企業買収法『三角合併』って何だ?


レイナ:「タツヤ先輩、この5月からいよいよ三角合併が解禁になったって新聞でも話題ですけど、一体三角合併って何なんですか?」

タツヤ:「ああ、三角合併っていうのは国境を越えた企業買収の一つの手法なんだ。」

レイナ:「国境を越えた企業買収?」

タツヤ:「そう。これまで海外企業が日本企業を買収する場合は現金を用意して買収する必要があったんだけど、この三角合併によって現金を用意する必要が無くなったんだ。」

レイナ:「現金を用意せずに買収するってどういうことですか?」

タツヤ:「それは株式交換の方法を取るということなんだよ。」

レイナ:「株式交換?」

タツヤ:「ああ、株式交換ていうのは合併する企業の株式を合併される企業の株主に割り当てて買収を行う手法で、日本企業同士では1999年の商法改正で認められるようになったんだ。その手法を海外企業にも認めたのが今回の三角合併ということなんだよ。」

レイナ:「ということは、海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てることで買収を行えるってことなんですね。でもそれじゃあなんで三角合併っていうんですか?」

タツヤ:「それは、この三角合併の仕組みがただ単に海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てるだけじゃないからだよ。」

レイナ:「と言いますと・・・」

タツヤ:「まず、海外企業は日本に100%出資の子会社を設立するんだ。この子会社と日本企業を合併させて、対価として親会社、つまり海外企業の株式を合併される日本企業の株主に割り当てるという仕組みになっているんだよ。」

レイナ:「と言うことはこの三角合併には海外企業、海外企業の100%出資の日本企業、そして合併される日本企業の三社が介在する合併の仕組みだから三角合併って言われるんですね。」

タツヤ:「その通り。この仕組みは新会社法の『合併対価の柔軟化』規定によって、合併される企業に対して現金やその他の財産を交付してもいいと決められたために実現されたものなんだよ。」

レイナ:「でもこの三角合併にはどんなメリットがあるんですか?」

タツヤ:「ああ、海外企業は株式交換という手法を取ることができるようになると、日本企業を買収する際に多額の現金を用意する必要がなくなるんだ。」

レイナ:「そういえば、以前成長著しいIT企業が自社の高い株価を背景に次々と株式交換で企業買収を行っていましたけど、これと同じことが三角合併にも言えるわけですね。」

タツヤ:「そう。株式交換では株式の時価総額が高い企業が有利になるんだ。そうすると世界の時価総額の高い企業はアメリカのエクソンモービルやGE、マイクロソフト、シティグループなど海外企業がトップを占めているから、日本企業にとっては外資の買収攻勢にさらされる危険性もあるんだけど、外資による直接投資を促進する意味でこの三角合併を解禁することになったんだよ。」

レイナ:「ただ、三角合併での株式交換では、合併される日本企業の株主は海外企業の株式を割り当てられるから、面倒なことになりそうね。」

タツヤ:「そうだね。現行の制度によれば合併される日本企業の株主は海外企業の株式を手にした段階で株式譲渡益課税が科せられることになっているんだけど、海外企業の100%子会社が一定の条件を満たせば実際に海外企業の株式を売却するまで課税を繰り延べることができるというように財務省が決定したんだよ。」

レイナ:「いずれにしろ、この三角合併の解禁でどのように日本における企業買収が変化するのか、今後に注目ですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】

◆三角合併とは?
→国境を越えた企業買収の手法。海外企業は日本に設立した100%子会社を通して日本企業を吸収合併する。その対価として海外企業の株式を支払い、買収を完了させる。日本企業同士の株式交換による企業買収の仕組みを海外企業に解禁するもの。

◆三角合併の法律的背景
→新会社法において「合併対価の柔軟化」が規定され、これまで吸収合併の際は吸収する側の企業の株式を吸収される側の企業の株主に割り当てるしかできなかったものを現金やその他の財産にて賄うことが可能になった。

◆三角合併のメリット
→海外企業は多額の現金を用意しなくても日本企業を“実質的に買収”することが可能になった。時価総額の大きい企業にとっては非常に有利な仕組み。

◆被合併先企業の株主への対応
→現行の制度では被合併先企業の株主は海外企業の株式を割り当てられた段階で株式譲渡益課税を支払わなければならないが、海外企業の100%子会社が一定の条件を満たせば、実際に株式を売却するまで課税を繰り延べることができる。

 

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2007年04月12日
 ■ 社員の力を最大限に引き出すマクレガーのX理論Y理論って何?

レイナ:「タツヤ先輩、すっごく頭にくる!」


タツヤ:「おやおや、レイナちゃんいったいどうしたんだい?」


レイナ:「部長なんですけど、『この仕事はどうせお前には無理だろうから』って私のこと全然信用してくれないんですよ。」


タツヤ:「部長の話か・・・レイナちゃん部長はセオリーXタイプだからしょうがないよ。」


レイナ:「セオリーX タイプ?なんですかそれは。血液型のRhマイナスのようなタイプですか?そういえば部長と私の血液型の相性は最悪ですからね。その上Xタイプがあったなんて・・・」


タツヤ:「違うよ。セオリーXっていうのは管理者の考え方のタイプなんだ。これはアメリカの経営学者であるダグラス・マクレガーが唱えた理論なんだけど、たとえばセオリーXタイプの管理者は性悪説で物事を考える傾向があるってことなんだ。」


レイナ:「それって将に部長のことですね。いつも部下なんて仕事嫌いで隙があれば仕事から逃げようとするって愚痴ってますからね。」


タツヤ:「そうだね。セオリーXタイプの管理者は部下はみんな仕事嫌いだから組織の目標を達成するためには、部下を管理し、命令し、強制し、信賞必罰で脅かして働かさなければいけないって考えているんだ。簡単に言えばアメとムチってやつだね。」


レイナ:「そんな厳しいことやってちゃ、伸びる部下も伸びなくなっちゃうじゃないですか。そんなセオリーXタイプの上司ばかりだと離職率も高いし、会社の業績も下降の一途じゃないですか。」


タツヤ:「まあ、ただ一概にもそうは言えないんだ。」


レイナ:「それじゃあ、セオリーXタイプの管理手法でも業績が向上するってことなんですか?」


タツヤ:「そう。たとえば工場のラインなどは仕事を標準化して1日の生産高を設定して作業員に割り当てることにより、熟練した従業員でなくても相応の生産性を保つことができるだろう。このようなシステムはセオリーXタイプの管理に基づいて成功した事例と言えるんだ。」


レイナ:「そうか。私個人は人を信用しないセオリーXタイプの管理手法は認めたくはないけど、業績を向上させるために敢えて導入されることもあるのね。」


タツヤ:「ああ、ただこのセオリーXと対極的な考え方で大成功を収めたセオリーYというものもあるんだ。」


レイナ:「セオリーY?」


タツヤ:「そう。セオリーYっていうのは、従業員を性悪説で捉えるセオリーXの対極で従業員を性善説で捉える考え方なんだ。従業員は自ら目標を達成するために創造的に働き、仕事にやりがいを持っているってね。」


レイナ:「セオリーYタイプの上司は仕事を部下の自由な裁量に任せるわけね。私とするとセオリーYタイプの上司だとどんどん力を発揮すると思うな。」


タツヤ:「たとえば、このセオリーYによる管理手法はアメリカのP&Gのジョージア州の工場で採用されて大成功を収めんたんだ。この管理手法によりこの工場はP&Gの全ての工場の中で抜きんでた利益率を達成し続けたらしいよ。そこでP&GはこのセオリーYによる経営管理手法を競争相手に知られないために1990年代半ばまで社外秘にしていたというほどだからね。」


レイナ:「やっぱり、大成功を収めた方法を公開するとライバルに真似されて効果が薄れちゃいますからね。」


タツヤ:「このセオリーYタイプは従業員のやる気を引き出して、採用した企業が続々成功を収めることができたんだ。ただ、実際にはセオリーYタイプの管理手法を導入して失敗する企業もあって、一概にセオリーYタイプの管理手法が完璧ということにはならないんだけどね。」


レイナ:「従業員にも自分で創造的な力を発揮して仕事を進めるタイプと管理されて力を発揮するタイプといろいろなタイプの人がいますからね。」


タツヤ:「そう。そこでこのセオリーX、セオリーYは分極化し過ぎている批判が出た段階でダグラス・マクレガーは新たなセオリーZを提案することになるんだけど研究の半ばで亡くなってしまったんだよ。」


レイナ:「いずれにしろ経営の管理手法は従業員を全く信じないセオリーXと全幅の信頼を置くセオリーYのどちらかに偏るのではなく、部下の性格を捉えてバランスよく使い分ける必要があるってことですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】


◆セオリーXセオリーY(X理論Y理論)とは?
→アメリカの心理学者ダグラス・マクレガーが提案した経営管理手法のタイプ。

◆セオリーX(X理論)とは?
→性悪説に基づく従業員管理手法。通常人間は仕事嫌いであり、業績を上げるためには従業員を管理し、命令し、強制して信賞必罰で臨む必要があるとした経営管理手法。アメとムチで従業員をコントロールする。

◆セオリーY(Y理論)とは?
→性善説に基づく従業員管理手法。ほとんどの人間は仕事嫌いではなく、自主的に目標を設定してそれを達成するために創造的な方法でチャレンジしていくという考え方を基に従業員を厳しく管理することなく自主性に任せる経営管理手法。

◆セオリーZ(Z理論)とは?
→X理論、Y理論は対極に位置するために極端な事例で導入後失敗事例も散見された。そこで終身雇用やコンセンサスによる決定、品質の重要視などを含んでX理論Y理論の修正を図ったもの。

投稿時間 : 08:39 個別ページ表示

 ■ 社員の力を最大限に引き出すマクレガーのX理論Y理論って何?

レイナ:「タツヤ先輩、すっごく頭にくる!」


タツヤ:「おやおや、レイナちゃんいったいどうしたんだい?」


レイナ:「部長なんですけど、『この仕事はどうせお前には無理だろうから』って私のこと全然信用してくれないんですよ。」


タツヤ:「部長の話か・・・レイナちゃん部長はセオリーXタイプだからしょうがないよ。」


レイナ:「セオリーX タイプ?なんですかそれは。血液型のRhマイナスのようなタイプですか?そういえば部長と私の血液型の相性は最悪ですからね。その上Xタイプがあったなんて・・・」


タツヤ:「違うよ。セオリーXっていうのは管理者の考え方のタイプなんだ。これはアメリカの経営学者であるダグラス・マクレガーが唱えた理論なんだけど、たとえばセオリーXタイプの管理者は性悪説で物事を考える傾向があるってことなんだ。」


レイナ:「それって将に部長のことですね。いつも部下なんて仕事嫌いで隙があれば仕事から逃げようとするって愚痴ってますからね。」


タツヤ:「そうだね。セオリーXタイプの管理者は部下はみんな仕事嫌いだから組織の目標を達成するためには、部下を管理し、命令し、強制し、信賞必罰で脅かして働かさなければいけないって考えているんだ。簡単に言えばアメとムチってやつだね。」


レイナ:「そんな厳しいことやってちゃ、伸びる部下も伸びなくなっちゃうじゃないですか。そんなセオリーXタイプの上司ばかりだと離職率も高いし、会社の業績も下降の一途じゃないですか。」


タツヤ:「まあ、ただ一概にもそうは言えないんだ。」


レイナ:「それじゃあ、セオリーXタイプの管理手法でも業績が向上するってことなんですか?」


タツヤ:「そう。たとえば工場のラインなどは仕事を標準化して1日の生産高を設定して作業員に割り当てることにより、熟練した従業員でなくても相応の生産性を保つことができるだろう。このようなシステムはセオリーXタイプの管理に基づいて成功した事例と言えるんだ。」


レイナ:「そうか。私個人は人を信用しないセオリーXタイプの管理手法は認めたくはないけど、業績を向上させるために敢えて導入されることもあるのね。」


タツヤ:「ああ、ただこのセオリーXと対極的な考え方で大成功を収めたセオリーYというものもあるんだ。」


レイナ:「セオリーY?」


タツヤ:「そう。セオリーYっていうのは、従業員を性悪説で捉えるセオリーXの対極で従業員を性善説で捉える考え方なんだ。従業員は自ら目標を達成するために創造的に働き、仕事にやりがいを持っているってね。」


レイナ:「セオリーYタイプの上司は仕事を部下の自由な裁量に任せるわけね。私とするとセオリーYタイプの上司だとどんどん力を発揮すると思うな。」


タツヤ:「たとえば、このセオリーYによる管理手法はアメリカのP&Gのジョージア州の工場で採用されて大成功を収めんたんだ。この管理手法によりこの工場はP&Gの全ての工場の中で抜きんでた利益率を達成し続けたらしいよ。そこでP&GはこのセオリーYによる経営管理手法を競争相手に知られないために1990年代半ばまで社外秘にしていたというほどだからね。」


レイナ:「やっぱり、大成功を収めた方法を公開するとライバルに真似されて効果が薄れちゃいますからね。」


タツヤ:「このセオリーYタイプは従業員のやる気を引き出して、採用した企業が続々成功を収めることができたんだ。ただ、実際にはセオリーYタイプの管理手法を導入して失敗する企業もあって、一概にセオリーYタイプの管理手法が完璧ということにはならないんだけどね。」


レイナ:「従業員にも自分で創造的な力を発揮して仕事を進めるタイプと管理されて力を発揮するタイプといろいろなタイプの人がいますからね。」


タツヤ:「そう。そこでこのセオリーX、セオリーYは分極化し過ぎている批判が出た段階でダグラス・マクレガーは新たなセオリーZを提案することになるんだけど研究の半ばで亡くなってしまったんだよ。」


レイナ:「いずれにしろ経営の管理手法は従業員を全く信じないセオリーXと全幅の信頼を置くセオリーYのどちらかに偏るのではなく、部下の性格を捉えてバランスよく使い分ける必要があるってことですね。」


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【MBA講座:今回のTake Away】


◆セオリーXセオリーY(X理論Y理論)とは?
→アメリカの心理学者ダグラス・マクレガーが提案した経営管理手法のタイプ。

◆セオリーX(X理論)とは?
→性悪説に基づく従業員管理手法。通常人間は仕事嫌いであり、業績を上げるためには従業員を管理し、命令し、強制して信賞必罰で臨む必要があるとした経営管理手法。アメとムチで従業員をコントロールする。

◆セオリーY(Y理論)とは?
→性善説に基づく従業員管理手法。ほとんどの人間は仕事嫌いではなく、自主的に目標を設定してそれを達成するために創造的な方法でチャレンジしていくという考え方を基に従業員を厳しく管理することなく自主性に任せる経営管理手法。

◆セオリーZ(Z理論)とは?
→X理論、Y理論は対極に位置するために極端な事例で導入後失敗事例も散見された。そこで終身雇用やコンセンサスによる決定、品質の重要視などを含んでX理論Y理論の修正を図ったもの。

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2007年01月19日
 ■ 企業の不祥事を未然に防ぐコーポレートガバナンスとは?

レイナ:「タツヤ先輩、最近不二家が賞味期限切れの材料を使用していた問題が明るみになって大変な事態になっていますね。」


タツヤ:「そうだね。最初はシュークリームに賞味期限切れの牛乳を使っていたって事だったんだけど、次々に他の商品にまで賞味期限の材料を使っていることが発覚して、今ではシフォンケーキやスイートポテトなど10品目に亘るからね。」


レイナ:「大手スーパーやコンビニとか、小売店でも次々に不二家商品の販売を停止しているから、業績が急速に悪化する可能性が大きいですね。」


タツヤ:「ああ。雪印乳業も同じような事例だったけど、一旦消費者の信頼を損ねるようなことが起きれば、特に食品関係は競合他社も多いから信頼回復は非常に難しいね。」


レイナ:「雪印乳業の場合は結局そのままでは消費者の信頼回復が難しいということで、牛乳なんかは雪印ブランドを捨てて、メグミルクに変わりましたよね。でもどうしてこのような不祥事が頻発するんですかね?」


タツヤ:「そうだね。やっぱりコーポレートガバナンスに問題があるからなんだ。」


レイナ:「コーポレートガバナンス?」


タツヤ:「そう。コーポレート・ガバナンスっていうのは“企業統治”とも呼ばれるんだけど、企業の意思決定の主体やその仕組みのことを言うんだよ。」


レイナ:「コーポレートガバナンスっていうのは企業を統治する人々や統治する仕組みのことを指すんですか。」


タツヤ:「ああ。法律なんかでは株主が企業の所有者と定められているから、統治の主役は株主っていうことになるけど、実際のところ企業の運営は経営者に任されているから、その経営者による企業運営をどう監査・統治するかがコーポレート・ガバナンスでは重要な問題になってくるんだ。」


レイナ:「ただ、企業というのは多くの社員が働く組織だけに管理を徹底するっていうのは非常に困難が伴いますね。」


タツヤ:「そうだね。今回の不二家の場合は東証一部上場企業といえども創業者一族が経営する同族企業だから企業運営を監査・統治することは余計難しい状況じゃないのかな。」


レイナ:「そんな企業には厳しい外部の監査役が必要になってきますね。」


タツヤ:「ああ。ただ、日本の企業の場合は経営者と親密な関係にある者が監査役を担当することが多いから、企業が抱える問題を解決するには程遠いかもしれないね。」


レイナ:「そうね。でも最近は社外から取締役を迎えて企業の活動を監視するケースもあるんじゃないですか?」


タツヤ:「確かにそういう例も増えてきてはいるよね。でも、多くのパターンはその社外取締役が経営者の友人であったり、経営情報を十分に公開していなかったりと有効に機能しているとは言い難い状況なんだよ。」


レイナ:「ということは不二家の例もそうだと思うんだけど、ある特定の経営者が長く実権を握り続けると、経営の私物化が起こって、コーポレート・ガバナンスは外部の者にとってわかりにくい状況になって不祥事を未然に防ぐということがさらに難しくなるってことですか。」


タツヤ:「まさにレイナちゃんの言うとおりだよ。日本では特に長期間にわたって経営の実権を握る経営者が多く、そのような経営者の中には企業の本来の所有者である株主の利益を無視して自分自身の利益を追求するモラルハザードが発生する問題も深刻なんだ。」


レイナ:「それじゃあ、株主はどのようにして健全なコーポレート・ガバナンスを維持することができるんですか?」


タツヤ:「うん。実際のところ、これっていう決定打があるわけじゃないんだけど、何点かの対策はあるんだ。まず第一点目は株主総会の際に企業運営にふさわしい経営者を選出し、経営にふさわしくないと判断すれば解任請求を行うこと。第二点目は社外取締役を選任し執行役員を監視させること。そして最後の第三点目は選出した経営者が株主の意向に沿って経営しているかを常に監視し、もし株主の利益を損なうような経営が発覚した場合はすぐに株主代表訴訟を起こす姿勢を示すことなんだ。」


レイナ:「株主にとって企業運営にふさわしい経営者を選出して、その後も常に監視の目を光らせることが重要なんですね。ところで経営者側からは健全なコーポレート・ガバナンスを実施するポイントというのはあるんですか?」


タツヤ:「ああ。コーポレート・ガバナンスの基本原理の一つにコンプライアンスというものがあるんだ。」


レイナ:「コンプライアンス?」


タツヤ:「そう。コンプライアンスっていうのはもともと“要求などに従ったり、応じたりする”っていう意味なんだけど、ビジネスにおいては“法令遵守”って訳されているんだ。」


レイナ:「企業は法律や社会的な規則をきっちり守らなきゃいけないってことね。」


タツヤ:「そうだね。加えて社会的な規範や倫理も守る必要があるんだよ。」


レイナ:「お金儲けのために社会性に反する行動を取ってはいけないということですね。」


タツヤ:「そう。他にも健全なコーポレート・ガバナンスを維持するには、まずは経営情報を隠すことなく開示することが最も重要になるんだ。」


レイナ:「今回の不二家もそうだったけど、小出しに不祥事が発覚してきて、消費者の不信感はピークに達したことからもそのポイントはわかりますね。」


タツヤ:「それから独立した監査機関を設置したり、従業員を含めた企業を取り巻く利害関係者と協調して進めることもポイントとなるんだよ。」


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【MBA講座:今回のTake Away】


◆コーポレート・ガバナンスとは?
→企業経営の際の意思決定の主体およびその仕組み

◆日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの問題点
1.経営者と監査役が親密な関係にある。
2.社外取締役に対する情報開示が不十分。
3.経営者が長期に実権を握り、外部からは意思決定方法がわかりにくい。

◆株主によるコーポレートガバナンスのチェック方法
1.企業運営にふさわしい経営者を選出する。
2.社外取締役に経営の健全性を監視させる。
3.自ら経営状態をチェックし、不当な行為は訴訟を起こす。

◆健全なコーポレート・ガバナンスのポイント
1.コンプライアンス(法令遵守)を徹底する。
2.十分な経営情報を開示する。
3.独立した監査機関を設置する。
4.企業を取り巻くステークホルダーとの協調を推進する。

 

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2007年01月04日
 ■ 企業の経営状況を計測するコーポレートメトリックスとは?

タツヤ:「レイナちゃん。前回はコーポレートメトリックスの収益性の指標について学んだよね。」


レイナ:「そうですね。利益率やROAなどの指標の計算方法を学びましたけど。」


タツヤ:「それじゃあ、今回残る流動性と回転率の指標を見ていくことにしようか。」


レイナ:「流動性と回転率ですか。」


タツヤ:「そう。まずは流動性指標について見ていこうか。企業っていうのは資金を調達して製造・販売活動に充てているだろう。だから資金は会社にとって血液のようなものということができるんだ。資金の回転が滞って支払い義務を果たせなくなれば、黒字の会社でも倒産することがあるんだよ。だから流動比率を算出して、短期に資金化する資産と短期に支払う負債とを比べて支払能力を評価することが重要になってくるんだ。ここでいう短期とは1年以内のことを言うんだけどね。式で表わすと次のようになるんだよ。」

 
◎ 流動比率=(流動資産÷流動負債)×100

 
レイナ:「流動比率は企業の短期面における支払能力を評価するための指標なんですね。」


タツヤ:「うん。ただ流動資産の中には現預金という実際に支払いに回せる資金だけじゃなく棚卸資産のように現金化に時間のかかるものもあるから注意が必要なんだ。そういった意味で当座比率も重要な指標になってくるんだよ。」


レイナ:「当座比率?」


タツヤ:「そう。当座比率っていうのは分子に現金預金や有価証券など短期間で資金化できる当座資産を用いて、流動負債に対する比率を表わしたものなんだ。式で表わすと次のようになるんだよ。」

 
◎ 当座比率=(当座資産÷流動負債)×100


レイナ:「ということはこの当座比率が高ければ当面の支払い能力は安全と言えるわけね。」


タツヤ:「そうだね。これら2つの指標をチェックして、常に企業の支払能力に気を配る必要があるんだよ。それじゃあ、次は回転率指標について見ていこう。」


レイナ:「いよいよコーポレートメトリックス最後の回転率指標ですね。」


タツヤ:「そう。企業の収益力は、投入した資金の効率的な運用によって利益を上げられるかどうかが決定するんだ。ここで各種の回転率が高ければ、それだけ効率的な運用が行われているっていうことになるんだよ。」


レイナ:「各種の回転率ってどんなものがあるんですか?」


タツヤ:「うん。じゃあ代表的な回転率の指標を見ていこう。まず固定資産回転率っていう指標があるんだ。式に表わすと次のようになるんだ。」

 
◎ 固定資産回転率=売上高÷固定資産

 
レイナ:「固定資産回転率っていうのは固定資産が売上に対して何回転しているか、つまり固定資産が効率よく使われているか、売上との相対的な大小でみる指標ね。」


タツヤ:「そうだね。次の指標は棚卸資産回転率なんだ。これは資本が製品・仕掛品・商品などに効率的に投入されているかを見る指標なんだ。この率が低いのは棚卸し資産を過度に保有する非効率な経営で、不良在庫がないか注意する必要もあるんだ。また、棚卸資産には粗利を上乗せ後の売上は対応すべきでないという考えから、分子には売上高の代わりに売上原価を用いる場合もあるんだ。」

 
◎ 棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産


レイナ:「棚卸資産回転率を分析することによって、資本が製品などに効率的に投入されているかがわかるってことね。」


タツヤ:「そして最後の指標が売掛金に関するものなんだ。売掛金については、売上高を売掛金で割った回転率のほかに、売掛金回転日数などもあるんだ。この日数は販売から代金回収までどれだけの期間があるかを示しているんだよ。売掛金回転日数は短い方が資金繰り上は望ましいということになるんだ。ただここで注意しなきゃいけないのは売上高のほとんどが信用販売であることが前提になっているんだ。もしそうでなければ、総売上高ではなく掛け売上だけを抽出して使用する必要があるんだよ。」


レイナ:「どうやって売掛金回転率や回転日数を算出することができるんですか?」


タツヤ:「うん。それらは次のような公式で算出することができるんだよ。」

 
◎ 売掛金回転率=売上高÷売掛金

◎ 売掛金回転日数=売掛金÷1日あたりの売上高

 
タツヤ:「ただ、これらのコーポレートメトリックスの指標を実務で活用するためには、指標をただ計算して終わりにするだけじゃあ不十分なんだ。」


レイナ:「それじゃあ、どうすればいいんですか?」


タツヤ:「ああ。過去のデータを集めてグラフ化するなどして数年間の動きをつかんだり、競合他社や業界平均水準との比較を行って、各指標からどのような意味が読み取れるか考えて意思決定に役立てることが重要になってくるんだ。」


レイナ:「そうね。ただ単にその年の財務指標を算出してもそれが果たして過去に比べて改善しているのか、同業他社に比べていいものなのかは比較してみないとわからないものね。」


タツヤ:「そうだね。ただ複数の会社について比較するときは、勘定科目名が同じでも対象としている内容が同じとは限らないので、その科目が指しているものについて可能な限り確認しておく必要があるんだ。さらに各種の指標の値の高い低いは相対的なものだから、業種によって平均的な水準がかなり違う場合もあるから注意が必要だね。」


【MBA講座:今回のTake Away】


◆コーポレートメトリックス(流動性の指標)
1.流動比率=(流動資産÷流動負債)×100

2.当座比率=(当座資産÷流動負債)×100


◆コーポレートメトリックス(回転率の指標)
1.固定資産回転率=売上高÷固定資産

2.棚卸資産回転率=売上高÷棚卸資産

3.売掛金回転率=売上高÷売掛金

4.売掛金回転日数=売掛金÷1日あたりの売上高


◆コーポレートメトリックス実務活用の注意点
1.時系列で比較する

2.競合他社と比較する

 

投稿時間 : 14:16 個別ページ表示

2006年11月16日
 ■ TOBによる企業買収

レイナ:「タツヤ先輩、ここ最近明星食品のM&Aのニュースが話題になっていますね。」


タツヤ:「そうだね。アメリカの投資ファンド、スティール・パートナーズが明星食品に対して仕掛けた敵対的TOBに対して、同業界トップの日清食品が友好的TOBを実施したからね。」


レイナ:「そのTOBって一体何なんですか?」


タツヤ:「ああ、TOBっていうのは『Take Over Bid』の略で、M&A対象企業の株式の公開買い付けを行うことなんだ。」


レイナ:「株式の公開買い付け?」


タツヤ:「そう。上場企業の株式を市場外で5%以上購入する時は原則このTOBを実施する必要があるんだ。また、市場外の株式購入で買取後の議決権が全体の1/3以上になる時には必ずTOBで行わなきゃいけないんだよ。」


レイナ:「今回スティール・パートナーズは明星食品の全株を市場外で取得しようとしているからTOBを実施することになったのね。でもTOBって具体的にはどのようなプロセスになるんですか?」


タツヤ:「うん。TOBでは、企業買収を目指す投資家が、買取の株式数や期間、価格などを公に発表して、不特定多数の株主から市場を通さずに売買の募集を行うんだよ。」


レイナ:「株式市場を通さないってことはどのようにして株の売買価格を決定するんでしょう?」


タツヤ:「通常は市場価格より若干高い価格を提示して多くの株主から幅広く申込を受けるのが通例なんだ。」


レイナ:「そうか。その価格の上乗せ分がプレミアムと呼ばれるものなんですね。今回のスティール・パートナーズは1ヶ月の終値平均に14.6%を上乗せした700円をTOB価格に設定したと新聞に載ってましたよ。」


タツヤ:「そうだね。スティール・パートナーズには彼らなりの思惑があるんだろうけど、一般的に成功するTOBのプレミアムは市場価格の30%程度なんだ。実際に資本提携を目指して友好的なTOBを仕掛けた日清食品の買い付け価格は870円だからね。」


レイナ:「でもスティール・パートナーズや日清食品は、なぜ市場価格より高い買い付け価格を提示してTOBを実施する必要があるんでしょう?そんな面倒なことをしなくても市場で購入すれば済む話なのに・・・」


タツヤ:「うん。たとえば市場で大量の株式を買い集めるとすると、需要と供給のバランスに伴って株価が上昇し、最終的に買収コストがかさむリスクがあるんだ。このようなリスクを避けるにはTOBが有効で、それが多くの企業で利用されるようになった理由でもあるんだ。」


レイナ:「ふーん。そうすると市場での株式購入は買収価格が予測できないけど、TOBっていうのは一定の価格で短期間に大量の株式を購入できるメリットがあるってことね。」


タツヤ:「そう。加えて今回のスティール・パートナーズによる明星食品に対するTOBは経営陣に同業他社との提携を促して、低迷している株価を引き上げる意図もあったかもしれないね。」


レイナ:「日清食品のTOBにスティール・パートナーズが応じれば、多額の売買益を手にすることができるって訳ですね。」


【MBA講座:今回のTake Away】


◆TOBとは?
→『Take Over Bid』の略で、M&A対象企業の株式の公開買い付けを行うこと。上場企業の株式を市場外で5%以上購入する時は原則TOBが行われ、また株式買取後の議決権が全体の1/3以上になる時にはTOBを実施しなければいけない。


◆TOBのプロセス
→企業買収を目指す投資家が、買取の株式数や期間、価格などを公に発表して、不特定多数の株主から市場を通さずに売買の募集を行う。


◆TOBの買付株価
→一般的に市場価格の30%程度のプレミアムが上乗せされる。


◆TOBのメリット
→市場を通しての株式購入では大量の買い注文につられて株価が上昇するリスクがあるが、TOBでは一定の価格で短期間に大量の株式を購入できる。

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2006年09月21日
 ■ バリューチェーンの活用法

タツヤ:「レイナちゃん、前回はバリューチェーンの概要について説明したけど憶えているかな?」


レイナ:「ええ、バリューチェーンっていうのは企業の内部環境を分析するツールで、企業が製品の付加価値を高めていく過程を『購買物流』、『製造』、『出荷物流』、『販売・マーケティング』、『サービス』という主活動と『全般管理』、『人事・労務管理』、『技術開発』、『調達活動』という支援活動に分類して自社の強みや弱みを細かく把握していく方法でしたよね。」


タツヤ:「そうだね。今回はそのバリューチェーンが実際にビジネスでどのように役立つか事例を見ていくことにしよう。」


レイナ:「前回の説明でバリューチェーンの枠組みはわかりましたけど、理論を身につけた上で実戦でどのように役立てるかの方が重要ですからね。」


タツヤ:「それじゃあ、まずはバリューチェーンを使って“活動を省く”ことにより、顧客に対する価値を向上させることを考えていこうか。」


レイナ:「“活動を省く”ですか?」


タツヤ:「そう。バリューチェーンの中で活動を省くことによってコストを削減できる余地がないか分析し、改善することによって価値を高めることができる場合があるんだ。」


レイナ:「たとえば?」


タツヤ:「たとえば、パソコンメーカーであれば『販売・マーケティング』プロセスでこれまで問屋を通して商品を流通させるバリューチェーンが構築されていたんだ。そのようなプロセスは確かに広く販売店に商品を置いてもらうには有効かもしれないけど、在庫を抱えるリスクも高く、結果的にはそのリスク分のコストを消費者に転嫁して高価格の原因にもなるんだ。ところが、この問屋というプロセスを省いて、オンラインで直接消費者から注文を受けてから製造し、販売すれば在庫を持つ必要もなく、その分価格も安くできて、更に消費者に価値を提供することができるようになるだろう。」


レイナ:「テレビや新聞、インターネットを通じてお客さんに商品を直接販売する、いわゆる“デル・モデル”って呼ばれる方法ですね。」


タツヤ:「そう。これらの店舗や営業員を省いてコストを削減し、低価格でマーケットシェアを獲得したのは、何もコンピューターメーカーのデルだけでなく、生保業界でもアフラックやアリコなどが同じように“活動を省く”ことによって急成長を遂げているんだ。」


レイナ:「そういえば、テレビでも日本生命や第一生命と違って、アフラックやアリコのCMは“お申し込みは今すぐ!”なんて言ってフリーダイヤルの番号を連呼していますよね。」


タツヤ:「そうだろう。そして“活動を省く”とは逆に“活動を加える”ことによっても価値を高めることができるんだ。」


レイナ:「今度は“活動を加える”ですね。」


タツヤ:「ああ、たとえば、さっきの事例では問屋や販売店という流通網を省くことにより、コストを削減させるということだったけど、これにオンライン販売という新たな流通手段を“加える”ことによって初めて顧客の利便性を向上させることができるだろう。」


レイナ:「そうですね。販売店を省くだけでは、顧客が商品を手にできる選択肢が少なくなるだけで、価値は向上していかないけど、オンラインショップという新たな流通手段を加えるだけで、24時間好きな時に注文ができて、お店に足を運ぶことなく商品を手にすることができますよね。」


タツヤ:「また、オンラインショップでいえば、検索という機能を加えるだけで、商品を探す手間を省くことができて、その分顧客の利便性も向上していくことになるね。」


レイナ:「そういえば、実際の店舗で商品を探す手間っていうのもありますし、お店に行って目当てのものが置いていないということもありますからね。」


タツヤ:「このように新たな活動を加えることでも顧客に対する価値を向上させることができるんだ。また、その他にもバリューチェーンを使って“活動を束ねる”っていうのもあるんだ。」


レイナ:「活動を束ねる?」


タツヤ:「そう。たとえば、かつて銀行は預金や融資などが主なサービスだったけど、最近では証券会社が行っていた投資信託を販売したり、保険会社が行っていた終身保険を販売したり、様々なサービスを“束ねる”ことによって顧客の利便性を増し、サービスの価値を向上させているんだよ。」


レイナ:「そういえば、今では銀行に寄ればワンストップで様々な金融サービスが受けられますよね。このように“活動を束ねる”ことも顧客にとっての価値を高めるためには有効なことなんですね。」


タツヤ:「そういうこと。それじゃあ、最後のバリューチェーンの活用法で“活動を選択する”について説明しようか。」


レイナ:「最後は活動を選択することなんですか?」


タツヤ:「ああ、活動を選択するってことはバリューチェーンのそれぞれのプロセス、たとえば、購買物流でも製造でも出荷物流でも、どんなプロセスでもいいんだけど、自社で行う場合と外注した場合のコストを比較して、自社で行う方がコストが高ければ、外注を選択してコストを削減し、最終的に価値を高めることもできるんだ。」


レイナ:「たとえば、原材料を運搬するにはトラックなどが必要になりますけど自社でトラックを購入して運搬する方法と運送会社に外注して運搬する方法を比較してコストの安い方を選択すればいいってことになりますね。」


タツヤ:「そう。他にも製造のプロセスで工場を建設して製品を製造する場合と外注して製造する場合を比較して外注の方がコストが低ければ全てを外注して製造するって選択もありだよね。このような企業はファブレスカンパニーって呼ばれているんだけど、ナイキなんかは自社で製造工場を持たずに全て外注に出しているんだよ。」


レイナ:「ふーん。こうしてみるとバリューチェーン分析を通していろいろな方法で価値を高めていくことが可能なんですね。」

【MBA講座:今回のTake Away】

◆バリューチェーンとは?
→企業が製品の付加価値を高めていく過程を『購買物流』、『製造』、『出荷物流』、『販売・マーケティング』、『サービス』という主活動と『全般管理』、『人事・労務管理』、『技術開発』、『調達活動』という支援活動に分類して自社の強みや弱みを細かく把握していくためのツール。


◆バリューチェーンにより“行動を省く”
→バリューチェーン分析により企業活動の無駄を省くことで顧客に対する価値を向上させることができる。たとえば、コンピューターメーカのデルは販売店というプロセスを省いて在庫などにかかるコストを削減し、低価格を実現できた。


◆バリューチェーンにより“行動を加える”
→省くとは逆に加えることでも価値の向上を図ることができる。オンライン販売という顧客に対する販売チャネルを加えることで24時間好きな時に商品を購入できるという利便性が増し、顧客に対する価値は向上する。


◆バリューチェーンにより“行動を束ねる”
→自社の取り扱うサービスを束ねていくことにより価値を向上させることができる。銀行では従来の預金、融資に加え、投資信託や終身保険の販売を束ねていくことでワンストップで金融商品が購入できるという顧客にとっての利便性を高めることが可能となった。


◆バリューチェーンにより“行動を選択”
→バリューチェーンのプロセス一つひとつと外注のコストとを比較することにより価値を高めることができる。ナイキなどは製造過程で全てを外注に出しており、経営資源をマーケティングに集中させ価値を高めている。

投稿時間 : 11:53 個別ページ表示

2006年09月14日
 ■ バリューチェーン分析とは?

レイナ:「タツヤ先輩、我社のパソコン販売事業、販売店などの流通網が確保できずに苦戦しているみたいね。」

タツヤ:「そうみたいだね。一度バリューチェーンを見直してビジネスモデルを再構築した方がいいかもしれないね。」

レイナ:「バリューチェーン?それってフランチャイズチェーンのようなものなんですか?」

タツヤ:「違うよ!バリューチェーンっていうのはハーバードビジネススクールのポーター教授が考案したフレームワークで企業の内部環境を分析するものなんだ。」

レイナ:「内部環境を分析するフレームワーク?」

タツヤ:「そう。企業っていうのは原材料を仕入れて、それを製造・加工して付加価値を高めることによって収益を上げているわけだけど、その収益を上げるプロセスを細かく分類したものがバリューチェーンになるんだよ。」

レイナ:「具体的にはどのような分類になるんですか?」

タツヤ:「ああ、企業っていうのは今言ったようにまずは原材料を仕入れる必要があるだろう。バリューチェーンはその原材料を仕入れて工場まで運ぶ『購買物流』から始まるんだ。そして、その原材料を工場で『製造』して製品が完成すると、販売店へ納入する『出荷物流』を経て、販売店で『販売・マーケティング』が行われる。それから商品が売れた後にも修理やメンテナンスなどの『サービス』を提供することによって原材料とは比べ物にならないくらいの価格で商品が売れ、収益を確保することができるっていう流れになるんだ。」

レイナ:「そうするとバリューチェーンっていうのは『購買物流』→『製造』→『出荷物流』→『販売・マーケティング』→『サービス』という連鎖で企業に収益をもたらすっていうことなのね。」

タツヤ:「そう。今レイナちゃんが言った連鎖はバリューチェーンの『主活動』に当たるんだ。」

レイナ:「バリューチェーンの『主活動』ってことは他にも価値を生むための活動があるってことですね?」

タツヤ:「そうだね。価値っていうのは『主活動』に挙げたような企業の活動だけじゃ創造できないだろう。たとえば、事業にかかわるヒトも必要だし、資金や製品の技術開発、原材料の調達など主活動を支援する『支援活動』もバリューチェーンの重要な要素になっているんだ。」

レイナ:「『支援活動』ですか?。」

タツヤ:「ああ、『支援活動』には今言ったような財務や法務を含めた『全般管理』、人材を管理する『人事・労務管理』、製品の開発を支援する『技術開発』、原材料を仕入れる『調達活動』の4つが挙げられるんだよ。」

レイナ:「ということは主活動の5つのプロセスに4つの支援活動がうまく機能して初めて企業は製品に価値を加えることができるっていうわけね。」

タツヤ:「そう。そして思い通りの収益が上がらないのはこのバリューチェーンのどこかに問題があるっていうことなんだ。」

レイナ:「バリューチェーンによる自社分析は、価値を創造していく過程を9つに分類しているから、細かくどこに問題が発生しているか把握しやすくなるんですね。」

タツヤ:「そういうこと。バリューチェーン分析はそれぞれの活動の収益貢献度とコストの関係を細かく把握することができるから、たとえば、収益貢献度よりコストの方が高くつくものについてはアウトソースするなどより強固なビジネスモデルを構築するのに役立つんだよ。」

レイナ:「バリューチェーン分析ではそのように自社の価値創造活動でどの部分が強みなのか、そして弱みなのかを発見できるってことですね。」

※次週につづく・・・


【MBA講座:今回のTake Away】

◆バリューチェーンとは?
→ハーバードビジネスクールのマイケルポーター教授による自社の製品の価値を生むプロセスを細かく分析するためのフレームワーク。

◆バリューチェーンの主活動
→自社の製品が顧客の手に渡って価値を生むまでの活動の連鎖。製品は原材料を仕入れて工場に運ばれる『購買物流』に始まり、原材料を工場で組み立てる『製造』、出来上がった製品を販売店まで運搬する『出荷物流』、販売店での『販売・マーケティング』を経て顧客の手に渡る。また、製品のメンテナンスや修理などの『サービス』を提供することにより更に製品の価値を向上させることが可能になる。この『購買物流』→『製造』→『出荷物流』→『販売・マーケティング』→『サービス』という一連の流れがバリューチェーンの主活動となる。

◆バリューチェーンの支援活動
→製品の価値を高めることは主活動のみでは成しえない。事業にかかわるカネやヒト、製品の技術開発、原材料の調達などそれに付随する業務も重要な要素になっている。これら『全般管理』、『人事・労務管理』、『技術開発』、『調達活動』はバリューチェーンでは主活動を側面から支える支援活動となる。

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2006年09月07日
 ■ ファイブフォース分析とは?

タツヤ:「レイナちゃん、それじゃあ前回に続いてファイブフォース分析の残りの要因について見ていくことにしようか。」

レイナ:「ファイブフォース分析っていうのは業界の競争構造や収益性を分析するフレームワークで『買い手の力』、『売り手の力』、『代替品の脅威』、『新規参入業者の脅威』、『業界内競合の程度』の5つの観点から分析する手法でしたね。」

タツヤ:「そう。前回はうちの会社がコンピューター製造業に参入するに当たって、業界を『買い手の力』と『売り手の力』から分析したんだけど、今回は『代替品の脅威』、『新規参入業者の脅威』、『業界内競合の程度』から見ていくことにしよう。」

レイナ:「前回、販売先である『買い手の力』と仕入れ業者の『売り手の力』はコンピューター製造業者にとっては不利な条件だったから、今回の分析は楽しみだわ。」

タツヤ:「それじゃあ、『代替品の脅威』なんだけど、コンピューターにとってはどんなものが代替品になるだろう?」

レイナ:「そうね。コンピューターといえば、メールやインターネット、ワープロ、表計算などで必需品ですよね。そんなコンピューターの代替品なんてあるのかしら?」

タツヤ:「たとえば、メールやインターネットなどの機能で言えば今や携帯電
話で代用する人が多くなってきただろう。」

レイナ:「そう言えばそうね。私なんかもパソコンは起動させるまでに時間がかかって面倒だから、携帯でメールやインターネットを済ますことも多いもの。」

タツヤ:「そうした面から、携帯電話って言うのは1億台近い端末が普及しているけど、パソコンの代用品ということができるんだ。」

レイナ:「携帯電話って言うのは機能も日々進化しているし、端末によってはほぼ無料で手に入るものもあるから、代替品としては本当に脅威になりますね。」

タツヤ:「ということはパソコンて言うのは代替品の観点からも競争が厳しいということになるね。次の『新規参入の脅威』はどうだろう?」

レイナ:「やっぱり、コンピューターを組み立てるには大規模な工場が必要だから誰でも参入できるってわけじゃないですよね。」

タツヤ:「実はそうでもないんだ。コンピューターっていうのは言ってみれば規格品だから材料さえあれば誰でも作ることができるんだよ。」

レイナ:「そう言えば『自作パソコン』みたいなタイトルで本もたくさん出てますしね。」

タツヤ:「だから大規模な工場が無くてもパソコン製造業は始められるんだ。実際に自宅の倉庫のようなところで始めて大きくなったパソコンメーカーもあるからね。」

レイナ:「ということはパソコン製造が儲かるビジネスだということになればどんどんと新規に業者が参入してくるってことになるのね。」

タツヤ:「そういうこと。だから『新規参入の脅威』という観点からもコンピューター製造業はうまみがないっていうことになるんだ。」

レイナ:「それじゃあ、最後の『業界内での競争の程度』はどうなのかしら?」

タツヤ:「さっき言ったようにパソコンと言うのは規格品だろう。ということは差別化が非常に難しいから、自ずと価格競争になって、業界内での競争は非常に厳しいものになるのは火を見るより明らかだね。」

レイナ:「実際に採算が厳しくて撤退するメーカーもあるくらいですからね。」

タツヤ:「そう。こうして5つの観点からコンピューター製造業という業界を分析してみるといかに競争が激しく、収益を上げにくい環境であるかが一目瞭然だろう。」

レイナ:「そうですね。事前にこのような厳しい環境がわかっていれば、パソコン製造業に新規参入することは難しいと言わざるを得ませんね。」



【MBA講座:今回のTake Away】

◆ファイブフォース分析とは?
→ハーバードビジネスクールのマイケルポーター教授による業界の競争構造を分析するフレームワーク。業界を『買い手の力』、『売り手の力』、『代替品の脅威』、『新規参入業者の脅威』、『業界内競合の程度』の5つの観点から分析し、競争や収益性の程度を測る。


◆買い手の力
→商品やサービスを購入するグループの相対的な力関係を分析する。次のような場合に買い手の力は強くなる。

1.買い手側で大手企業の寡占が進んでいたり、大量購入できる体力のある企業が存在する場合
2.自社の扱う商品が標準的なもの、もしくは十分に差別化されていない場合
3.買い手にとって自社の製品やサービスがあまり重要でない場合


◆売り手の力
→原材料を供給する企業との相対的な力関係を分析する。次のような場合に売り手の力は強くなる。

1.供給業者側が少数の業者によって支配されている場合
2.供給業者側の製品の独自性が強い、もしくは差別化されている場合
3.供給業者を変更する時に掛かるコストが非常に高い場合


◆代替品の脅威
→自社の提供する商品やサービスと形は異なるが機能が同じものと比較をする。次のような場合代替品の脅威は増す。

1.顧客のニーズを満たす製品やサービスが多い場合
2.代替品へ切り替える際に発生するコストが少ない場合


◆新規参入業者の脅威
→参入障壁の程度を分析する。次のような場合は参入障壁が高くなる。

1.事業に多額の投資が必要な場合
2.製品の製造に特別のスキルやノウハウが必要な場合
3.先行する企業に絶対的なブランド力があり、ブランドの確立に多大な資金が必要な場合
4.製品の流通チャネルが既存の競合他社に抑えられていて新たにチャネルを開拓するのにコストがかかる場合
5.新規参入を規制する法律などが存在する場合


◆業界内競合の程度
→業界内での競争の程度を分析する。次のような場合業界内の競争が激しくなる。

1.業界内の企業数が多い場合
2.需要が停滞している場合
3.業界に法的な規制がない場合
4.業界の技術革新が続いている場合
5.業界を圧倒的に支配する企業が存在しない場合

投稿時間 : 12:04 個別ページ表示

2006年08月31日
 ■ 新規参入で成功しやすい業界を見分けるファイブフォース分析とは?

レイナ:「タツヤ先輩、今の時代ってパソコンなしでは生きていけないような時代になったじゃないですか。だからうちの会社も子会社を通じてパソコンの製造業に参入するっていう話が出ているらしいですね。」

タツヤ:「そうだね。パソコンのマーケットっていうのは巨大だから、うまくいけば業績に与えるインパクトは大きいかもね。でも僕の意見とするとやめておいた方がいいと思うな。」

レイナ:「どうしてですか?パソコン製造業の後発でも2004年に東証マザーズに上場したMCJという好事例もあるじゃないですか。」

タツヤ:「うん。確かにMCJのようにうまく事業を軌道に乗せた企業もあることはあるけど、競争構造を5つの要因から分析するとあまり新規参入には好ましくない業界だってことがわかるんだ。」

レイナ:「競争構造を5つの要因から分析するって?」

タツヤ:「ああ、この競争構造を5つの観点から分析する手法はファイブフォース分析と言って、ハーバードビジネススクールのポーター教授の提唱する理論なんだ。」

レイナ:「ポーター教授と言えば、『差別化』、『コストリーダーシップ』、『集中』の競争を優位に進める3つの基本戦略でも有名ですよね。」

タツヤ:「レイナちゃん、よく知っているね。そのポーター教授の理論では、業界の競争や収益の構造を把握するには5つの観点から分析する必要があるということなんだよ。」

レイナ:「その5つの要因って言うのは実際にどんなものなんですか?」

タツヤ:「うん。『買い手の力』、『売り手の力』、『代替品の脅威』、『新規参入業者の脅威』、『業界内競合の程度』の5つになるんだよ。」

レイナ:「そうすると、その5つの観点から業界を分析することにより、その業界の特色が浮き彫りにされるってことね。」

タツヤ:「そう。たとえば、『買い手の力』の観点からは買い手、つまり顧客や取引先と自社の力関係を見ていくんだ。そこで問題なんだけど、パソコン製造業にとって主な顧客は誰になるだろう?」

レイナ:「そうね。今ではインターネットでダイレクトに販売することもあるけどやっぱり家電量販店などが主な買い手になるんじゃないかしら。」

タツヤ:「そうだね。そうするとパソコン製造業者と家電量販店では力関係はどのようになってるかな?」

レイナ:「やっぱり大量に仕入れて、大量に販売する家電量販店の方が力が強いんじゃないかしら。仕入機種や仕入価格などにも大きな影響を及ぼしていると思うわ。」

タツヤ:「そうすると、レイナちゃんの言う通りにパソコン製造業では『買い手の力』が大きいと結論付けることができるよね。それじゃあ、次の『売り手の力』はどうだろう?パソコン製造業にとっては売り手とはパソコンの製造に必要な原材料を販売してくれる企業なんだけど。」

レイナ:「パソコンの原材料と言えば、CPUや液晶、OSなんかが必要ですね。と言うことはインテルやシャープ、マイクロソフトなどが売り手の主なプレーヤーとなるわけですか。このような原材料の価格の決定権はいくらパソコンを大量生産するといっても、売り手の方に分がありそうね。」

タツヤ:「そうだね。CPUや液晶、OSなどは供給する企業も限られていて自由競争で価格が決まっているわけではないからね。この売り手との力関係でも、やはりパソコン製造業は不利な立場にあるっていうことだ。」

レイナ:「こうして考えてみるとパソコン製造業者っていうのは仕入業者から仕入価格の主導権を、納入業者からは卸売価格の主導権を握られて、利益を生み出す売上とコストをコントロールする幅が極端に狭められているっていうことになりますね。」

タツヤ:「そう。他の観点から見てもパソコン製造業は非常に厳しい競争・収益構造になっているんだけど、残りの3つの要因については次回見ていくことにしようか。」

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2006年08月03日
 ■ 果たして敵対的買収(TOB)は成功するのか?

レイナ:「タツヤ先輩、新聞では王子製紙が北越製紙の敵対的買収を行うって話題になっていますね。」

タツヤ:「そうだね。王子製紙は製紙業界を再編するという目的で高級紙に強く、利益率の高い北越製紙を傘下に収めたいという思惑で北越製紙株のTOBを実施すると発表したよね。」

レイナ:「ところでそのTOBって何なんですか?」

タツヤ:「うん。TOBっていうのはTake Over Bidの略で株式を公開に買い付けることを言うんだ。上場企業などでは市場外で5%以上の株式を買い付ける場合には原則TOBを実施する必要があるんだよ。TOBでは買い付け目的や期間、買い付け価格を新聞公告などで公表して売主を求めるんだ。」

レイナ:「今回は相手企業の承諾なしにそのTOBを実施するから敵対的な買収になるわけね。」

タツヤ:「そうだね。王子製紙が提示したTOB価格も先月の650円程度から20%以上も高い800円という価格を提示しているからそれなりの勝算はあるかもしれないね。」

レイナ:「でも今回の敵対的買収には三菱商事も絡んでいるのよね。」

タツヤ:「うん。北越製紙は三菱商事に対して新潟工場の増設設備資金として300億円の第三者割当増資を行うことを発表しているんだ。」

レイナ:「第三者割当増資?」

タツヤ:「そう。株式で資金を調達する場合には一般の投資家から資金を調達する公募増資と特定の第三者から資金を調達する第三者割当増資があるんだ。」

レイナ:「今回は後者のパターンになるわけね。でもどうして第三者割当増資なんですか?」

タツヤ:「第三者割当増資は会社の経営が悪化して株価が下落し公募増資が難しい場合や資本提携先と関係を強化する場合があるんだけど、今回の北越製紙の場合は原材料の仕入れや製品の販売などで三菱商事との関係を強化するために行うものなんだ。」

レイナ:「ということは今回は三菱商事が敵対的買収に対するホワイトナイトってことなのかしら?」

タツヤ:「実際のところはそうでもないんだ。北越製紙と三菱商事の提携の話は敵対的買収の前からあるからね。ただ、この第三者割当増資は問題点があって、三菱商事に607円で5千万株を割り当てることによって実に30%も発行済み株式数が増えるんだけどダイリューションが起こってしまう可能性が高いんだ。」

レイナ:「ダイリューション?」

タツヤ:「そう。ダイリューションっていうのは株式の価値が希薄化していくことなんだ。株主にとって一株当たりの利益は非常に重要な指標だけど一気に株式数が増えることによって一株当たりの利益は極端に低下していくんだ。」

レイナ:「要は今回の第三者割当増資で北越製紙の株式の価値が下がっていく可能性が高いってことね。」

タツヤ:「今回調達した資金で急激に利益水準を向上させればいいけどなかなかそういうわけにはいかないからね。」

レイナ:「そうすると、北越製紙の既存株主は王子製紙のTOBに応じた方が得策ということも考えられるわね。」

タツヤ:「そうだね。上場企業が株主の場合、株主にメリットのあるTOBに応じなかったら株主代表訴訟で訴えられるということも考えられるしね。」

レイナ:「王子製紙、北越製紙、三菱商事の三社もそうだけど、大株主も難しい判断を迫られるってことか。」

タツヤ:「これまで日本では敵対的買収の成功した事例はほとんどないけど、今回は状況からいって少なからず成功の可能性があるわけだから今後の動向が注目されるね。」



【MBA講座:今回のTake Away】
 

◆TOBとは?
→株式公開買付のこと。証券取引所の上場企業や、未上場でも一定の条件を満たす企業の株を市場外で5%以上買う場合、原則、TOBによって買い付けなければいけない。また、市場外で株式買取後の議決権が全体の3分の1以上になる場合には、TOBが強制的に適用される。

◆第三者割当増資とは?
→特定の第三者に株式を割り当てて資金を調達する方法。会社の経営が悪化して株価が下落し公募増資が難しい場合や資本提携先と関係を強化する場合に利用される。既存の株主に対する利益を損なう可能性があるので、発行条件を含めて株主総会で特別決議を経る必要がある。

◆ダイリューションとは?
→株式の価値の希薄化が発生すること。新株の発行により一株当たりの当期利益などが低下してしまう現象。

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2006年07月20日
 ■ コーポレートガバナンス:不祥事で名を上げる企業と名を下げる企業の違いとは?

レイナ:「タツヤ先輩、最近湯沸かし器の故障事故で多くの人が亡くなったことが話題になっていますね。」

タツヤ:「そうだね。何でも20年以上前に最初の死亡事故が起きているのに企業側でほとんど対策を怠っていたというずさんな事件だね。」

レイナ:「そういえば。去年松下電器も同じような死亡事故があったわね。確か古い石油ファンヒーターによる一酸化炭素中毒だったと思うけど・・・」

タツヤ:「松下電器の場合は死亡事故の報告を受けた段階で経営陣が草の根を分けてでも全石油ファンヒーターの存在を明らかにして今後同じようなことが無いように可能な限りの手段と資金を使って対応したんだ。」

レイナ:「そうね。テレビのCMや新聞での全面広告、果ては郵便局の配達地域指定郵便というサービスを利用して日本の全戸に注意を促していたわね。」

タツヤ:「だろう。このような企業側の素早い真摯な対応は、死亡事故を起こしたというマイナス面を補って、逆に松下電器に対して信頼感を高めたという消費者もいるくらいなんだよ。」

レイナ:「それに比べたら今回のパロマの対応は物足りなさを感じるわね。でも企業によってどうしてこんな対応の違いが生じてしまうのかしら?」

タツヤ:「うん。それはやっぱりコーポレート・ガバナンスの問題なんだよ。」

レイナ:「コーポレート・ガバナンス?それってどういうことですか?」

タツヤ:「うん。コーポレート・ガバナンスっていうのは『企業統治』とも呼ばれるんだけど、企業の意思決定の主体やその仕組みのことを言うんだ。」

レイナ:「企業を統治する人々や統治する仕組みのことですね。」

タツヤ:「そう。法律なんかでは株主が企業の所有者と定められているから、統治の主役は株主っていうことになるけど、実際のところ企業の運営は経営者に任されているから、その経営者による企業運営をどう監査・統治するかがコーポレート・ガバナンスでは重要な問題になってくるんだ。」

レイナ:「でもパロマのように非上場で同族企業の場合なんかは企業の運営のあり方を監査することは難しいんじゃないかしら。」

タツヤ:「そうだね。加えて日本の企業の場合は経営者と親密な関係にある者が監査役を担当することが多いから、企業経営を正常に監査・統治することは非常に難しい状況にあるんだ。」

レイナ:「そのような場合はどうすればいいんですか?」

タツヤ:「一つの解決策とすると社外から取締役を迎えるケースもあるんだ。」

レイナ:「新聞でもたまに目にするけど、社外取締役を受け入れるってケースも増えてきていますね。でも、多くのパターンはその社外取締役が経営者の友人であったり、経営情報を十分に公開していなかったりと有効に機能しているとは言い難い状況じゃないんですか。」

タツヤ:「確かにそんな問題もあるよね。加えてある特定の経営者が長く実権を握り続けると、経営の私物化が起こって、コーポレート・ガバナンスは外部の者にとってよりわかりにくい状況になって不祥事を未然に防ぐということがさらに難しくなるということも深刻な問題なんだよ。」

レイナ:「今回の件も今タツヤ先輩が言ったようなことが背景にありそうね。」

タツヤ:「日本では特に長期間にわたって経営の実権を握る経営者が多くて、そのような経営者の中には企業の本来の所有者である株主やそこで働く従業員、商品やサービスの提供を受ける顧客などの利益を無視して自分自身の利益を追求するモラルハザードが発生してしまうんだ。」

レイナ:「それじゃあ、どうすれば株主側から健全なコーポレート・ガバナンスを維持させることができるんですか?」

タツヤ:「うん。実際のところ、経営者=株主という場合は難しいけど、そうでなければ何点かの対策はあるんだ。」

レイナ:「一体どんな対策なんですか?」

タツヤ:「まずは株主総会の際に企業運営にふさわしい経営者を選出し、経営にふさわしくないと判断すれば解任請求を行うこと。次に社外取締役を選任して執行役員を監視させること。そして最後は選出した経営者が株主の意向に沿って経営しているかを常に監視して、もし株主の利益を損なうような経営が発覚した場合はすぐに株主代表訴訟を起こす姿勢を示すことなんだ。」

レイナ:「株主にとっては企業運営にふさわしい経営者を選出して、その後も常に監視の目を光らせていくことが重要なんですね。それから、顧客の側からも企業の対応に非があれば、マスメディアなどを通して訴えていくというプレッシャーを企業側に与えることも効果があるかもしれませんね。」

タツヤ:「そうだね。以前東芝で担当者が一顧客に対して不適切な対応を行った時にインターネットを利用してその顧客が東芝から謝罪を勝ち取ったこともあったよね。特にWeb2.0と呼ばれる現代では消費者のメディアパワーも馬鹿にできないから、企業側にとってはコーポレート・ガンバナスを維持する上でいいプレッシャーになると思うよ。」

レイナ:「そうですね。ところで経営者側からは健全なコーポレート・ガバナンスを実施するポイントというのはあるんですか?」

タツヤ:「うん。経営者側から健全なコーポレート・ガバナンスを実施するには、まずは経営情報を隠すことなく開示することが最も重要なポイントとなるんだ。それから独立した監査機関を設置したり、従業員を含めた企業をとりまく利害関係者と協調して進めることもポイントとなると思うよ。」

レイナ:「企業の不祥事は隠せば隠すほど、それが発覚した時に世間の信頼を失うことになるものね。それよりも企業にとって不利益な情報でも素早く開示して、それに対する対策を一生懸命実行している姿勢を世の中に示すことが重要になってくるということですね。」 



【MBA講座:今回のTake Away】
 

◆コーポレート・ガバナンスとは?
→企業経営の際の意思決定の主体およびその仕組み

◆日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの問題点
1.経営者と監査役が親密な関係にある。
2.社外取締役に対する情報開示が不十分。
3.経営者が長期に実権を握り、外部からは意思決定方法がわかりにくい。

◆株主によるコーポレートガバナンスのチェック方法
1.企業運営にふさわしい経営者を選出する。
2.社外取締役に経営の健全性を監視させる。
3.自ら経営状態をチェックし、不当な行為は訴訟を起こす。

◆健全なコーポレート・ガバナンスのポイント
1.十分な経営情報を開示する。
2.独立した監査機関を設置する。
3.企業を取り巻くステークホルダーとの協調を推進する。

投稿時間 : 12:28 個別ページ表示

2006年06月22日
 ■ マイケル・ポーター教授の3つの基本戦略

レイナ:「タツヤ先輩、近頃XYZ物産が新規で参入してきて競争が激しくなってきましたね。部長もシェア低下で頭を悩ませてましたよ。」

タツヤ:「XYZ物産はうちよりも規模の大きい手ごわい相手だからね。競争で優位に立つには何らかの戦略を持って戦わなきゃいけないね。」

レイナ:「でもうまい戦略ってあるのかしら?」

タツヤ:「基本的には競争を優位に進めるには3つの基本戦略があると言われているんだ。これは提唱した教授の名前からポーターの競争戦略って呼ばれているんだけどね。」

レイナ:「ポーターの競争戦略?」

タツヤ:「そう。ポーターの競争戦略っていうのはさっき言ったように競争力向上ための戦略で3つの柱から成り立っているんだ。」

レイナ:「3つの柱ですか?それはどんなものなんでしょうか?」

タツヤ:「うん。『コストリーダーシップ』、『差別化』、『集中』の3つなんだよ。」

レイナ:「『コストリーダーシップ』、『差別化』、『集中』の基本戦略で他社との競争を優位にしていくんですね。」

タツヤ:「そう。まずはコストリーダーシップ戦略からだけど、この戦略については大規模な生産設備で大量生産を行うなど規模の経済を利用したり、技術の優秀さ、原材料入手の優位性などを利用することにより低いコストでの生産を実現する戦略なんだ。」

レイナ:「とすると、ユニクロなんかがコストリーダーシップの事例になるのかしら。ユニクロは自社でデザインを行ったり、中国で大量生産したりしてサプライチェーンを効率化して低コストで生産可能な体制を整備しているものね。」

タツヤ:「そうだね。特にユニクロの流通形態はSpeciality Store Retailer of Private Label Apparel、略称SPAと呼ばれて自社で商品開発から製造、販売までを手掛けるものでアメリカの衣料大手GAPが初めて構築して以来世界に広まった仕組みだからね。」

レイナ:「SPAか。SPAの下、大量生産を行って更にコストを下げることが可能になるのね。この大量生産という観点に立てば、コストリーダーシップは大衆商品や標準商品、必需品を取扱う業界に有効な戦略と言えそうね。でも、いかにコストリーダーシップを発揮して低価格の商品を実現できても『安かろう悪かろう』では消費者は認めてくれないわよね。」

タツヤ:「そうだね。レイナちゃんが言ったようにコストリーダーシップ戦略は消費者が最低でも他社と同等の商品であると認めてくれないと成り立たないんだよ。そういった意味からもポーターは差別化を無視できないとしているんだ。」

レイナ:「差別化ですか。差別化戦略っていうのは自社商品を他社が真似できないようなユニークな商品に仕立て上げ、より高い価格で販売することを実現する戦略ですよね。実際にはルイ・ヴィトンやエルメスなどのブランド品は他社に真似できない商品を提供して顧客を魅了し差別化に成功しているって言えそうね。でも、どのようにしたらこの差別化を実現できるんですか?」

タツヤ:「うん。差別化の方法は実はいろいろとあって、製品自体を差別化したり、物流の方法や、プロモーションなどのマーケティング方法でも実現可能なんだ。ただ、注意しなければいけないのは、この戦略を採ろうとする企業は常にコスト効率に目を光らせていなければ競争優位を失う可能性があるということなんだ。」

レイナ:「そうか。たとえば製品自体を差別化するにしたって、他社の製品にはない機能を付加するからそれだけコストがかかるし、宣伝なんかで差別化するにしたって莫大な広告費用が必要だものね。そのようなコストをかけて消費者が差別化を理解できなければ、その企業の存亡に関わってくるってことか。」

タツヤ:「その通りだよ。コストリーダーシップ戦略ではコスト構造のみに注意すればよかったけど、この差別化戦略ではより多くの要因に注意しなきゃいけないから実現するにはより多くの労力を必要とするんだよ。」

レイナ:「製品や流通や宣伝など、どれか一つで差別化できればいいけどなかなかそううまくはいかないものね。」

タツヤ:「そうだね。そして最後の集中戦略はこれら2つの戦略とは異なって、非常に狭い市場で競争する戦略なんだ。たとえば、自動車メーカーのフェラーリなどは高級スポーツカーに特化する『集中』戦略を採用している典型的な企業と言えるんだ。」

レイナ:「狭い市場に経営資源を集中させることによって、より効果的な経営が行え、競争をより優位に進められるってことですね。」

タツヤ:「そうだね。このようにポーターの3つの基本戦略は企業の環境にあわせて最適な戦略を採用すれば厳しい競争をより優位に進めていく事が可能になるんだよ。」

レイナ:「そうするとうちは規模的にはXYZ物産に敵わないし、商品には自信があるから差別化戦略が妥当と言うところかしら。後で部長に伝えとくわ。」



【MBA講座:今回のTake Away】
 
◆ポーターの3つの競争戦略とは?
ハーバード大学のマイケル・ポーター教授が唱える理論で、企業が競争を優位に進めるためには『コストリーダーシップ』、『差別化』、『集中』の3つの戦略のうちいずれかを採用する必要があるというもの。

◆コストリーダーシップ戦略
→大規模な生産設備で大量生産を行うなど規模の経済を利用したり、技術の優秀さ、原材料入手の優位性などを利用することにより低いコストでの生産を実現する戦略。(事例:ユニクロ、GAP、IKEAなど)

◆差別化戦略
→自社商品を他社が真似できないようなユニークな商品に仕立て上げ、より高い価格で販売することを実現する戦略。(事例:ルイ・ヴィトン、シャネル、エルメスなど)

◆集中戦略
→特定の分野に経営資源を集中させ、より効果的な経営が行い、競争を優位に進める戦略。(事例:フェラーリ、ポルシェ、シャープなど)

投稿時間 : 14:04 個別ページ表示

2006年06月15日
 ■ 企業を正しい方向に導くコーポレート・ガバナンスとは?

レイナ:「タツヤ先輩、昨日ライブドアの株主総会が行われましたけど、株主にとっては不満の残る総会だったみたいですね。」

タツヤ:「そうだね。ライブドア自身は日本経済を揺るがした重大な事件を起こしたんだから、新経営陣はコーポレート・ガバナンスを重視して経営に当たる必要があるんだけどね。」

レイナ:「コーポレート・ガバナンス?それってどういうことですか?」

タツヤ:「うん。コーポレート・ガバナンスっていうのは『企業統治』とも呼ばれるんだけど、企業の意思決定の主体やその仕組みのことを言うんだ。」

レイナ:「企業を統治する人々や統治する仕組みのことですね。」

タツヤ:「そう。法律なんかでは株主が企業の所有者と定められているから、統治の主役は株主っていうことになるけど、実際のところ企業の運営は経営者に任されているから、その経営者による企業運営をどう監査・統治するかがコーポレート・ガバナンスでは重要な問題になってくるんだ。」

レイナ:「ただ、ライブドア事件の場合がそうだったけど、大株主が経営者の場合なんかは企業の運営のあり方を監査することは難しいわね。」

タツヤ:「そうだね。加えて日本の企業の場合は経営者と親密な関係にある者が監査役を担当することが多いから、企業経営を正常に監査・統治することは非常に難しい状況にあるんだ。」

レイナ:「そうね。カネボウの時にも監査法人が粉飾を見逃すっていう問題があったものね。でも最近は社外から取締役を迎えて監査を強化する企業もでてきているんじゃないですか?」

タツヤ:「確かにそういう例も増えてきてはいるよね。でも、多くのパターンはその社外取締役が経営者の友人であったり、経営情報を十分に公開していなかったりと有効に機能しているとは言い難い状況なんだよ。」

レイナ:「そういえば、ライブドアも今回の株主総会で親密先であるUSENの宇野社長を社外取締役に起用したわね。」

タツヤ:「宇野社長の社外取締役起用に関しては大株主であるアメリカの投資ファンドが反対していたんだけどね。」

レイナ:「でもライブドア事件の場合もそうだけど、ある特定の経営者が長く実権を握り続けると、経営の私物化が起こって、コーポレート・ガバナンスは外部の者にとってわかりにくい状況になって不祥事を未然に防ぐということがさらに難しくなるってこともあるんじゃないかしら。」

タツヤ:「まさにレイナちゃんの言うとおりだよ。日本では特に長期間にわたって経営の実権を握る経営者が多く、そのような経営者の中には企業の本来の所有者である株主の利益を無視して自分自身の利益を追求するモラルハザードが発生する問題も深刻なんだ。」

レイナ:「それじゃあ、株主はどのようにして健全なコーポレート・ガバナンスを維持することができるんですか?」

タツヤ:「うん。実際のところ、これっていう決定打があるわけじゃないんだけど、何点かの対策はあるんだ。まず第一点目は株主総会の際に企業運営にふさわしい経営者を選出し、経営にふさわしくないと判断すれば解任請求を行うこと。第二点目は社外取締役を選任し執行役員を監視させること。そして最後の第三点目は選出した経営者が株主の意向に沿って経営しているかを常に監視し、もし株主の利益を損なうような経営が発覚した場合はすぐに株主代表訴訟を起こす姿勢を示すことなんだ。」

レイナ:「株主にとっては企業運営にふさわしい経営者を選出して、その後も常に監視の目を光らせていくことが重要なんですね。ところで経営者側からは健全なコーポレート・ガバナンスを実施するポイントというのはあるんですか?」

タツヤ:「そうだね。健全なコーポレート・ガバナンスを維持するには、まずは経営情報を隠すことなく開示することが最も重要なポイントとなるんだ。それから独立した監査機関を設置したり、従業員を含めた企業をとりまく利害関係者と協調して進めることもポイントとなるんだよ。」

レイナ:「ライブドアが今後コーポレート・ガバナンスを徹底して、新たに生まれ変わるといいですね。」


【MBA講座:今回のTake Away】
 

◆コーポレート・ガバナンスとは?
→企業経営の際の意思決定の主体およびその仕組み

◆日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの問題点
1.経営者と監査役が親密な関係にある。
2.社外取締役に対する情報開示が不十分。
3.経営者が長期に実権を握り、外部からは意思決定方法がわかりにくい。

◆株主によるコーポレート・ガバナンスのチェック方法
1.企業運営にふさわしい経営者を選出する。
2.社外取締役に経営の健全性を監視させる。
3.自ら経営状態をチェックし、不当な行為は訴訟を起こす。

◆健全なコーポレート・ガバナンスのポイント
1.十分な経営情報を開示する。
2.独立した監査機関を設置する。
3.企業を取り巻くステークホルダーとの協調を推進する。

投稿時間 : 14:08 個別ページ表示

 ■ 企業を正しい方向に導くコーポレート・ガバナンスとは?

レイナ:「タツヤ先輩、昨日ライブドアの株主総会が行われましたけど、株主にとっては不満の残る総会だったみたいですね。」

タツヤ:「そうだね。ライブドア自身は日本経済を揺るがした重大な事件を起こしたんだから、新経営陣はコーポレート・ガバナンスを重視して経営に当たる必要があるんだけどね。」

レイナ:「コーポレート・ガバナンス?それってどういうことですか?」

タツヤ:「うん。コーポレート・ガバナンスっていうのは『企業統治』とも呼ばれるんだけど、企業の意思決定の主体やその仕組みのことを言うんだ。」

レイナ:「企業を統治する人々や統治する仕組みのことですね。」

タツヤ:「そう。法律なんかでは株主が企業の所有者と定められているから、統治の主役は株主っていうことになるけど、実際のところ企業の運営は経営者に任されているから、その経営者による企業運営をどう監査・統治するかがコーポレート・ガバナンスでは重要な問題になってくるんだ。」

レイナ:「ただ、ライブドア事件の場合がそうだったけど、大株主が経営者の場合なんかは企業の運営のあり方を監査することは難しいわね。」

タツヤ:「そうだね。加えて日本の企業の場合は経営者と親密な関係にある者が監査役を担当することが多いから、企業経営を正常に監査・統治することは非常に難しい状況にあるんだ。」

レイナ:「そうね。カネボウの時にも監査法人が粉飾を見逃すっていう問題があったものね。でも最近は社外から取締役を迎えて監査を強化する企業もでてきているんじゃないですか?」

タツヤ:「確かにそういう例も増えてきてはいるよね。でも、多くのパターンはその社外取締役が経営者の友人であったり、経営情報を十分に公開していなかったりと有効に機能しているとは言い難い状況なんだよ。」

レイナ:「そういえば、ライブドアも今回の株主総会で親密先であるUSENの宇野社長を社外取締役に起用したわね。」

タツヤ:「宇野社長の社外取締役起用に関しては大株主であるアメリカの投資ファンドが反対していたんだけどね。」

レイナ:「でもライブドア事件の場合もそうだけど、ある特定の経営者が長く実権を握り続けると、経営の私物化が起こって、コーポレート・ガバナンスは外部の者にとってわかりにくい状況になって不祥事を未然に防ぐということがさらに難しくなるってこともあるんじゃないかしら。」

タツヤ:「まさにレイナちゃんの言うとおりだよ。日本では特に長期間にわたって経営の実権を握る経営者が多く、そのような経営者の中には企業の本来の所有者である株主の利益を無視して自分自身の利益を追求するモラルハザードが発生する問題も深刻なんだ。」

レイナ:「それじゃあ、株主はどのようにして健全なコーポレート・ガバナンスを維持することができるんですか?」

タツヤ:「うん。実際のところ、これっていう決定打があるわけじゃないんだけど、何点かの対策はあるんだ。まず第一点目は株主総会の際に企業運営にふさわしい経営者を選出し、経営にふさわしくないと判断すれば解任請求を行うこと。第二点目は社外取締役を選任し執行役員を監視させること。そして最後の第三点目は選出した経営者が株主の意向に沿って経営しているかを常に監視し、もし株主の利益を損なうような経営が発覚した場合はすぐに株主代表訴訟を起こす姿勢を示すことなんだ。」

レイナ:「株主にとっては企業運営にふさわしい経営者を選出して、その後も常に監視の目を光らせていくことが重要なんですね。ところで経営者側からは健全なコーポレート・ガバナンスを実施するポイントというのはあるんですか?」

タツヤ:「そうだね。健全なコーポレート・ガバナンスを維持するには、まずは経営情報を隠すことなく開示することが最も重要なポイントとなるんだ。それから独立した監査機関を設置したり、従業員を含めた企業をとりまく利害関係者と協調して進めることもポイントとなるんだよ。」

レイナ:「ライブドアが今後コーポレート・ガバナンスを徹底して、新たに生まれ変わるといいですね。」


【MBA講座:今回のTake Away】
 

◆コーポレート・ガバナンスとは?
→企業経営の際の意思決定の主体およびその仕組み

◆日本企業におけるコーポレート・ガバナンスの問題点
1.経営者と監査役が親密な関係にある。
2.社外取締役に対する情報開示が不十分。
3.経営者が長期に実権を握り、外部からは意思決定方法がわかりにくい。

◆株主によるコーポレート・ガバナンスのチェック方法
1.企業運営にふさわしい経営者を選出する。
2.社外取締役に経営の健全性を監視させる。
3.自ら経営状態をチェックし、不当な行為は訴訟を起こす。

◆健全なコーポレート・ガバナンスのポイント
1.十分な経営情報を開示する。
2.独立した監査機関を設置する。
3.企業を取り巻くステークホルダーとの協調を推進する。

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2006年06月01日
 ■ 戦略に従った組織を再設計する4Sとは?

レイナ:「タツヤ先輩、最近では消費者の嗜好が多様化したり、商品に関する情報が容易に入手できるようになったりしたお陰で商品のライフサイクルが極端に縮まったって部長が嘆いていたわよ。」

タツヤ:「そうだね。一説によると今の商品の寿命は3週間ということなんだ。だから、1ヶ月間隔で新製品を投入している企業もあるくらいなんだよ。」

レイナ:「そういえば、コンビニエンスストアなんかは商品の入れ替わりが早いわね。この前あった商品が1ヶ月後には棚から無くなっていたりするものね。でも企業側とするとそのような消費事情に合わせるのは大変ね。」

タツヤ:「そりゃあ、大変だと思うけど、実際にそのようなライフサイクルで商品を提供しなきゃ売上は上がってこないからしょうがない面があるんだ。このような状況は以前では考えられなかったから企業にとっては、戦略と組織とを実情に合わせて再設計する必要が出来てくるんだよ。」

レイナ:「戦略と組織とを再設計しなきゃいけないんですか?」

タツヤ:「そう。戦略と組織の関係には、『戦略に従ってあるべき組織を設計する』という考え方と、『組織の特性や成約に合わせて取りうる戦略を策定する』という考え方と2種類があるんだけど、現在のように事業環境の劇的な変化に柔軟に対応して方向転換を図っていくには戦略中心の考え方が重要になってくるんだ。」

レイナ:「戦略に従ってあるべき組織を設計する必要があるってことですね。」

タツヤ:「そう。この際の組織の再設計は『4S』の観点から行うことができるんだ。」

レイナ:「『4S』?一体『4S』って何なんですか?」

タツヤ:「うん。『4S』っていうのは、『Strategy(戦略)』、『Structure(組織と機能分担)』、『System(制度・ルール)』、『Staffing(適材適所)』のことなんだ。」

レイナ:「『Strategy』、『Structure』、『System』、『Staffing』の頭文字をとって『4S』ってことですか。」

タツヤ:「そう。戦略に従ってあるべき組織を設計する場合は、まず企業が『自ら継続して提供していきたいと規定する価値』であるビジョンを策定したら、経営戦略および事業戦略を立案することになるんだ。ここで戦略っていうのは『計数的裏付けを持ち、実現までのスケジュールの決められた具体的な目標』、『目標を実現するためのアクションプラン』、『マーケット/競合相手への対応』などが盛り込まれた方法論なんだ。策定に向けては、目標と企業風土との合致、施策の整合性、自社独自の優位性があることが重要になってくるんだよ。」

レイナ:「まずビジョンに則した戦略ありきってことですね。」

タツヤ:「次に戦略を合理的かつ効率的に実行するために必要な組織や機能、およびそれらの関連性や役割分担を定義したものが『Structure』なんだ。ここで企業の組織図を作成することになるんだけど、組織図を見るとその企業の戦略的狙いや社員の動きかた、組織ユニット、社会的ポジションなどが明確にわかるんだよ。」

レイナ:「そうね。どこの部門に入るかで組織の持つ性格が異なってしまうものね。」

タツヤ:「次の『System』では組織を機能的に動かす仕組みとなる制度やルールを作成することになるんだ。このシステムには大きく分けて『人事制度(ヒト)』、『資産管理/運用ルール(モノ)』、『会計制度(カネ)』、『意思決定システム(情報)』が含まれるんだけどね。」

レイナ:「『System』ではヒト、モノ、カネ、情報のルール作りをするわけね。」

タツヤ:「そう。そして最後の『Staffing』では組織の機能を実現するために『誰を配置するか』、『どのような人材を育てるか』ということを行うんだ。ここでは必要なスキルやノウハウ、経験などの求める人材の定義や、必要な期間によっては、積極的に人材派遣などの社外リソースを活用することも検討する必要があるんだ。」

レイナ:「ふーん。このような『4S』の観点から急激な環境の変化に対応できる戦略を中心とした組織の再設計を行うことができるのね。」


【MBA講座:今回のTake Away】
 
◆現代の企業を取り巻く環境
→情報技術の発達、消費者の多様性、国際競争の激化により企業を取り巻く環境が短期間で変化する厳しい状況になっている。

◆戦略や組織の再設計の必要性
→激動の時代にうまく対応していくには戦略を中心とした組織の再設計が不可欠となる。(戦略に従ってあるべき組織を設計する。)

◆4Sの観点に立った組織の再設計
1.Strategy(戦略)
2.Structure(組織と機能分担)
3.System(制度・ルール)
4.Staffing(適材適所)

◆1.Strategy(戦略)
→ビジョンに則した戦略を構築する。

◆2.Structure(組織と機能分担)
→戦略を合理的かつ効率的に実行するために必要な組織や機能、およびそれらの関連性や役割分担を定義する。

◆3.System(制度・ルール)
→組織を機能的に動かす仕組みとなる制度やルールを作成する。

◆4.Staffing(適材適所)
→組織の機能を実現するために人材配置や人材育成を行う。

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