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Lesson60 カニバリゼーションとは?
「タツヤ先輩、社内ニュースに載っていたんですけど、飲料部門では主力のABCコーラに加え、新製品として価格が安く飲み口が爽やかなABCサイダーを投入するらしいですね。これで飲料部門の来期の売り上げ増は確実ってところですかね。」
「そうだといいんだけど、現実問題はそんなに簡単じゃないんだよ。」
レイナ:「というと現在好調な主力製品の上に安価な新製品を投入しても売上げが上がらない可能性があるってことなんですか?」
タツヤ:「そう。そのような現象はマーケティングの世界では『カニバリゼーション』って呼ばれるんだ。」
レイナ:「カニバリゼーション?」
タツヤ:「うん。カニバリゼーションっていうのは新規事業が既存事業を食いつぶすという意味で実際の売上げが新規事業を起す前よりも下がってしまう現象なんだ。」
レイナ:「でも、なぜ好調な既存事業の上に、より消費者に受け入れられそうな安価な新製品を投入するのに売上げが下がるんでしょう?」
タツヤ:「たとえば、ビール業界を考えてみようか。ビール業界では税金の問題から、ビールより税率の低い発泡酒を投入したよね。これにより消費者は価格の高いビールから発泡酒に切り替える人が出てきて、結局はビールの売上げを発泡酒が食いつぶすという形になったのは記憶に新しいだろう。」
レイナ:「そうか。企業側とすると既存のビールの売上げはそのままで、発泡酒で新たな市場を開拓して売上げを上げることができれば思い通りだったんだけど、これまでビールを高いと思いつつも購入していた層が一気に発泡酒に移っただけで新規の需要が開拓できずに売上げが下がるカニバリゼーションが起こったってことね。」
タツヤ:「そうだね。このカニバリゼーションは決して特殊な例じゃなくてどの業界でも起こりうるから注意が必要なんだ。たとえば、自動車メーカーでは低価格の新型車を投入することによりワンランク上の車が売れなくなったり、住宅メーカーでは単価の安いリフォームに力を入れることにより新規の物件が売れなくなるってことは十分ありえることだろう。」
レイナ:「カメラメーカーがデジカメを投入することにより、アナログのカメラが売れなくなったり、旅行代理店で安価な国内旅行や近場の海外旅行が増えることで単価の高い欧米への旅行が減少するっていうのもカニバリゼーションの一例ですね。」
タツヤ:「いい例だね。このように企業とすると新規事業を行う際はカニバリゼーションが起こらないように状況を慎重に分析し、商品カテゴリを変更したり、流通チャネルを変えるなど対策を立てる必要があるんだよ。」

【MBA講座:今回のTake Away】
◆カニバリゼーションとは?
→新規事業が既存事業を食いつぶすという意味で実際の売上げが新規事業を起
す前よりも下がってしまう現象。
◆カニバリゼーションの具体例
1. 安価な発泡酒がビールの売上げを食いつぶす
2. 低価格の新型車がワンランク上の主力車の売上げを食いつぶす
3. 単価の安いリフォームが新規住宅売上げを食いつぶす
4. デジカメがアナログカメラの売上げを食いつぶす
5. 安価な近場の旅行が豪華な海外旅行の売上げを食いつぶす
◆カニバリゼーション対策
1. 違う商品カテゴリの新規事業を行う
2. 違う流通チャネルを利用する
3. 違う顧客ターゲットを対象とする
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