

Lesson79 黄金株とは?
「タツヤ先輩、最近敵対的M&A防衛策の一つとしての黄金株に制限をかけるという記事を新聞で読んだんですけど黄金株って一体どんなものなんですか?」
「うん。黄金株っていうのは特定の株主に拒否権を与える特殊な株式のことなんだ。」
レイナ:「拒否権のある株式?それと企業防衛にはどのような関連性があるんですか?」
タツヤ:「たとえば、今回楽天がTBSに経営統合を申し込んでいるよね。今は総発行済み株式の19%だから、株主提案をしても他の株主がうんと言わなければ、経営統合はできないんだけど、これがTOBを実施して50%以上のシェアを獲得すれば、TBSの経営側としても過半数以上の株主の賛成に基づいて、経営統合せざるを得ないんだ。」
レイナ:「そうね。会社は株主のものだから、過半数を楽天が握ったら、経営陣を総入れ替えっていうことも可能だものね。」
タツヤ:「だから、企業とすると黄金株を友好的な第三者に発行して、いざという場合は拒否権を発動してもらうんだ。黄金株では株式シェアに関わらず、拒否権が発動できる決まりになっているから、シェア50%以上の大株主の提案に関わらず拒否することができるんだよ。」
レイナ:「そうか。ということはこの黄金株を発行している企業は黄金株を含めて100%の株式が敵対的買収側に渡らなければ、実質敵対的企業の支配は不可能になるってことね。」
タツヤ:「そうだよ。だからたとえばTBSが黄金株を発行しているとすると、いくら楽天がTOBで過半数の株主シェアを獲得しても、TBSの経営陣が経営統合に反対であれば、黄金株を持っている友好取引先に協力を依頼しても経営統合に拒否権を発動して阻止できるってわけさ。」
レイナ:「黄金株にはそのような敵対的買収防衛の意味があるのね。でもなぜそんな黄金株の発行を制限する必要があるんですか?」
タツヤ:「うん。黄金株はこれまで説明してきたような巨大なパワーを持っているから、コントロールが非常に難しいんだ。たとえば、経営陣の個人的な保身のためだけにこの拒否権が発動されることもあり、一般的な株主に極端な不利益も発生することがあるからね。」
レイナ:「たとえば、買収されて経営陣を総入れ替えしたほうが、更なる成長が望め、一般株主にとっては好都合なのに、経営陣が自分が残りたいばっかりに黄金株を割り当てた友好取引先に頼み込んで拒否権を発動してもらうっていうことも可能ですものね。」
タツヤ:「そう。だからアメリカなんかでは主要な証券取引所で上場後の黄金株の発行は禁止されているし、EUでも各国に対して黄金株の廃止が訴えられているんだ。」
レイナ:「日本だけでなく、そのような世界各国でも黄金株は規制されているってことね。」
【MBA講座:今回のTake Away】
◆黄金株とは?
→特定の株主に拒否権を与える特殊な株式。
◆黄金株のメリット
→黄金株を友好取引先に割り当てておけば、たとえ敵対的買収で過半数以上の株式を買い占められていたとしても、黄金株の拒否権を発動して、株主提案を拒否することができる。
◆黄金株のデメリット
→黄金株が不正に利用されれば、経営者の保身のために使われ、一般株主に不利益が生じる可能性がある。
◆黄金株に関する現状
→日本では黄金株発行に対する規制の動きがある。アメリカでは主要証券取引所で黄金株の発行が禁止されているし、EU(欧州)では各国で廃止が訴えられている。
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TOB→Lesson44 『TOBとは?』をご参照下さい。
http://www.mbasolution.com/onepointmba/lesson44.htm
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MBA講座講師プロフィール:安部徹也
大学卒業後、都市銀行に入行。米国MBA留学を経て、MBA
Solutionを設立し、代表に就任。現在All About よくわかるマーケティングのガイドとしても活躍中。 |
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